第23話 愛莉がずっと恐れていたものの正体
⑤班が得られた知見は、
そのどれもが、
とりもなおさず、以前に
対する
「俺たちはそんなに動き回ってねえからな。そういう意味で、新種の生物は見かけちゃいねえよ。だが、一度だけあいつと鉢合わせた」
「あいつ?」
「わかるだろう? 紫色の靄だよ」
これとの遭遇は、もはや不運な事故以外の何物でもない。
そばに寄ること自体が、半ばタブーの域にある。
無論、
「……よく平気だったな」
「ああ。と言うより、向こうが何もして来なかったっていうのが、現実だろうな。でなけりゃ、今頃俺たちは閻魔と歓談しているぜ。ただ、見逃してくれた原因はまるでわからん。銃声ほどじゃないが、俺たちも騒いでいた最中だったからな。静かかどうかは、たぶん重要じゃない」
そんなこともあるのかと、
もっとも、
打って変わって、話題はこれからの方針に移る。
当面の間、食料の確保に専念するという点に、違いはなかったが、
そうやって、みなで目標を定めていれば、いったい何事だというのか。突如として、
指示され、促されるままに周囲に耳を済ませれば、なるほど、葉擦れの音が、僅かだが確かに聞こえて来ている。注意していれば、すぐに、そこに人間の足音が混じっていることにも、気がつけた。
「妙だな……。まるでこっちを探っているような足取りだ。お前らの時とは全く違う。うぜえから、警戒しながら見に行くか」
独り言ちるような
焦ったように反応したのは
「相手は一人よね?」
「たぶんな」
「殺しましょう、それしかないわ! これだけの人数差なら、間違いなく排除できる」
彼女の極端な考えを前に、今度は
どうしてそうなってしまうんだと、驚いて制止する
「馬鹿じゃないの!? ⑥班の人間に決まっているじゃない。私たちを殺しに来たのよ!」
「だから、なんでそんなにラディカルなんだよ……」
舌打ち。
わからず屋の子供を叱りつける母親のごとく、
「よく考えてもみなさいよ!
『でも、人じゃなくてよかった』
ずっと
端的に言えば、⑥班の生き残りに強襲されるのを、
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