第22話 同盟成立。からの、合同⑤班の開始
「でまかせ言い出してんじゃねえよ。パースのことを何も知らねえお前に、車の有無なんかわかるわけねえだろうが」
良くも悪くも、この世界の知見の量に、調査員同士での差異はない。
当然である。
数日前に着いたばかりの死刑囚――厳密には、ここに派遣された時点で、刑の執行がなされたとみなされるので、元死刑囚――に、何が解明できるというのか。
情報の程度に違いがないからこそ、
だが、そんな
「いや。ここにいる全員が理解しているはずだ。そうと気がついていないだけでな」
「もったいぶるな。ごまかしてねえで、証明できるならさっさと言え」
「……ゴミだよ。ペットボトルなどのプラスチック類を、俺たちはまだ、パースに来てから一度も目にしていない。竜巻や台風、洪水や海流の動きによって、地球上であれば、どこにいたってプラスチックゴミが手に入る。この世界が、俺たちのよく知る地球と同じくらい、文明を発達させているんだとすれば、そういったゴミを
沈黙。
何も言い返せない
それでも、俄かには納得できない
「
「あ~……そ~いや、何も見ね~な。昨日は氾濫していたから、
思わぬ方向から来た、
たしかに、
今が好機だと言わんばかりに、
「
「ん~、たしかに? 俺、あんまり頭よくね~から、わかんね~けど」
所詮、
あくまでも、本命は
だが、どうやらそれも心配ないようだ。すでに彼の心は変わりつつあるらしく、しきりに首を揺らすように捻っていた。
「車……車か。なしは、さすがにきついな。これじゃあ、わざわざ司法取引に応じた意味がねえ。……
「う~ん……。そっちは最悪、芋を噛んで吐き出せば、たぶん俺たちだけでも作れると思うんだけど、自家製で作ってもまずいだけっしょ。地酒とだって、そんなに違いはね~と思うよ。文明が発達していないなら、缶ビールなんて夢のまた夢になっちまうかな~。俺もちょっと飲みたかったんだけど……。旨いものをたらふく飲み食いしたいなら、やっぱ日本に戻るのが一番じゃね? 帰ったら、俺たちは金も自由も貰えるんしょ?」
その答えは、概ね
「……そうなるよな」
言うが早いか、
その口元に微笑が浮かんでいるところからして、どうやら
「地球に帰るっつう話なら、さすがにお前らを、手下の関係にしとくわけにはいかねえか……。この土壇場で
降参だ。
そう言外に伝えるように、
もっとも、
⑤班は武器を所持していなかったからこそ、ここ数日は、気にし過ぎなくらいに周囲を用心していた。そこに来て、車軸を流すような昨日の大雨である。ずっと飽きることなく、同じ景色を見つめていた
だが、それでも結果は結果。勝者は、いずれ勝者である。
ゆえに、
「いいぜ。わかった。④班は今から⑤班と同盟を結ぶ。目的は、お互いを日本に帰すこと。裏切りはなしだ」
意図を察した
「助かるよ。心強い味方だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます