第11話 拘置所よりもまずい飯
最悪な想像を、いつまでも続けていても仕方がない。気がめいって来るだけで、生産的に活動しようとする気概さえもが、見るみる削がれてしまう。
気分を変えようと、
「
だが、
「これだけあれば十分でしょう! そんなことより、この洞窟に逃げこめるのかどうか、今のうちに確かめておかないと!」
先ほどの一件から、
「自分は先に食べたので、もう要りませんってか? お前、何様だよ」
だが、それに対して、
「それは
なるほど。
実際は、真逆と言ってもよかった。
食事を先に摂ったらどうかと話した
悪化する班の雰囲気に、
「……。この中を覗きに行くとしても、飯が先だ。入ったっきり、しばらくは出て来られないなんてことに、なりたくはないからな。食える物があるなら、その場そのばで手にいれるべきだろう」
宣言どおり、
正直、
三人が森の中へと入っていく。
少しして、
「さっきは悪かった。……頭に血が上っていて、冷静じゃなかった」
もちろん、
第一、そもそもの原因は
「いや、さすがにあれは
「それについては、いまだに俺は否定的だよ。
言いかけた台詞の続きが気になって、
「わからん。事情は変わるかもしれん」
食料の調達に専念しよう。
そうやって集めたいくらかの新芽と、食べられるかどうかのわからない腐りかけの果実とを、全員で分けていく。
ようやくの食事だ。
洞窟に戻る体力もなかったので、休憩がてら、三人はその場に座りこんでいた。
体を動かす熱量に飢えている。
一同が真っ先に手にしたのは、もちろん果実のほうだ。
口端から出かかる涎を拭いながら、がぶりと思い切りかじりつけば、舌の上に新鮮な甘みが広がった。
旨い……。
だが、直後に感じる猛烈なえぐみは、ぺっと唾を吐き出すには十分過ぎるものであり、口に残ったびりびりとした感触を紛らわすために、
とてもではないが、食えたものではない。
見れば、
果実は諦め、仕方なく新芽に手を伸ばす。
「……」
先ほどとは違って、食べられないほどに酷い味でこそないものの、これを主食に生きていきたくはないという、薬品のような苦みがした。
意外だったのは、ここでも
「まずいに決まっているじゃない、馬鹿なの?」
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