第9話 愛莉という人間
何度か、
さすがに、その対応には
黙って座っているだけの退屈さと、
運よく、不完全なシェルターを見つけられたとはいえ、それ以外の必須道具は何も得られていない。
幸いにして、二四時間くらいをパースで過ごしただけでも、ここでは小雨が頻繁に降ることがわかったので、飲み水の確保には困らないだろう。雨を集めるだけでも、十分な量の水を蓄えられるに違いない。
問題なのは、やはり火と食料とだろうか。
これだけ湿気が酷いと、食べ物がすぐに傷んでしまう。ただでさえ長期の保存が難しいのに、火も起こせていないのだ。喫緊の問題は、食料の発見に違いない。
そう思うと、じっとなんかしていられなかった。
立ちあがり、
「どこに行くつもり?」
少しの腹立たしさを、努めて抑えた
「近くを見て回るだけだ。心配なら、目の届く範囲にいるよ」
そうは答えたものの、当たり前だが、洞窟が絶えず視界に入っているような状態で、探すことが可能な場所なぞ、高が知れている。歩くのに夢中になって、ちょっとでも
「行き過ぎよ! ……早く、戻って来て」
そのうえでなお、
仮にも、
「……」
いいや、相手が
結局、ほとんど何もできないまま、
手に入ったのは、草木の新芽が数個。触った限りでは、まだ柔らかそうなので、きっと食べられるのではないか。
全員が武器を手にすれば、
「先に食べちゃってもいいんじゃないか? 俺がまた、あとで見つけて来るよ」
『悪いわね』
そんな言葉を期待していた
「当たり前でしょう? びっくりさせないでよ」
お前がそれを言うのか。
そんなフレーズにも似た感想が胸に残る。
もっともな主張に対して、
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