【22回の裏】そろい踏み。

7月19日(火)【小原由香ダルトン】対NYヤーナーズ戦。


 沢村は7番左翼手での先発。2回裏ベテラン右腕クーロンのシンカーを右翼上段への先制32号2ラン本塁打。先発投手の親友エリクソンに貴重な援護弾。エリクソンに9勝目をプレゼント。


7月20日(水)対NYヤーナーズ戦。


 沢村は5番左翼手での先発。1回裏、初球ど真ん中に投じられたカーブを右中間スタンドに放り込む連日の33号3ラン本塁打。続く打席では二塁一塁にもかかわらず敬遠気味の四球だった。ただその判断は正しく3対4でヤーナーズが逃げ切った。グレンダーソンが26号本塁打。


7月21日(木)対NYヤーナーズ戦。


 沢村は2番左翼手で先発出場。相手は苦手とするサバティア。無安打1四球と連続安打もストップ。ただドンゴリアの12号ソロ本塁打で2対1でレイザースが勝利した。


 ここで沢村にサプライズが。AAAダーラムでプレーを続けていたデズモンド・ジェンキンスがレイザースへ昇格を果たし、今日出発の遠征から加わることになったのだ。AAモンゴメリー時代から駆け上がった3人が再び揃ったのだ。


「これで『三バカ』が揃ったとか言われそうですね。」

いや、三バカって昭和でしょ。ただ10日間にわたる長期遠征である。


7月22日(金)カンザスシティ・ロバスツ戦。


 カンザスシティ・ロバスツとの地区交流戦インターディビジョンのためにカンザスへ。真夏のアメリカ中西部の暑さはハンパない。ナイトゲームにも関わらず気温37℃。ただし湿度はほぼ無いに等しいので不快さはない。


 沢村は5番指名打者。先発のホッジバーは沢村の同僚ドンゴリアと同じ年のドラフトの全体1位指名。


 なぜMLBで全体順位が強調されるのかというとNPBと違い、競合指名の無い完全ウエーバー制であることと、FAによる戦力補償のためにドラフト指名権が譲渡されるからだ。さらに1巡目と2巡目の間に前年のドラフトで1巡目選手と契約できなかった場合の救済措置として1巡目補足指名という制度が挟まれている。


 なので年によっては同じチームに1巡目の選手が2人誕生することもある。とりわけ高額年俸のFA選手を置いておけないレイザースのような貧乏……財政的に苦しい球団にはよくあることだ。なのでドラ1ドラ2と言った言い方よりも「全体〇位」と言った方が判りやすいのだ。


沢村は「全体1位対決」について日本人記者に尋ねられると

「ステータスとしての『全体1位』の有効期限はマイナー時代くらいまでですかね。上に上がれば『メジャーデビューの早さ』とか『球宴出場』とか『タイトル』とかの方が気になりますけど。」

 ただ沢村は同期指名者の中でそのすべてにおいて1番乗りなのだ。


 最初の打席でいきなり満塁のチャンス。ホッジバーのもとにコーチが向かい間を取る。だが初球のナックルカーブはど真ん中へ。沢村の容赦ないバットの一閃は乾いた音を残し右翼席上段へ。34号は満塁弾。静まり返った観客を背に淡々とダイヤモンドを回る。


 ただロバスツも打線も反撃。打ち合いとなって10対8でレイザースは敗北。ヤーナーズのテシェイラが26号本塁打。


7月23日(土)カンザスシティ・ロバスツ戦。


 沢村は先発投手としての出場。本日は左投げだ。MLBでは唯一といっていい「両投げ」なのだが、1試合の中でスイッチするわけではないのであまり話題になることはないのが残念ではある。


 今日はジェンキンス選手が今季初先発ということで「足を引っ張られないか心配です」と言っていた。ジェンキンス選手はアフリカ系アメリカ人なので、白人のエリクソン、そして日本人(アジア人)の沢村の「仲良しトリオ」が一堂に会すると「ワールドワイド」さを感じる。


 ただ今日の投球はあまりピリッと来ず。さすがにデータがたまってきたデビュー3年目。しっかりと予習されている。4回、先頭打者が三塁手ドンゴリアの送球ミスで出塁を許すと、2安打を許して2失点。6回にも犠牲フライを許す。味方が4点を取っていたので勝利投手の権利をもってマウンドを降りたがブルペン陣が2点を失って延長10回5対4でサヨナラ負けでの連敗。沢村には負けはつかなかった。


7月24日(日)カンザスシティ・ロバスツ戦。


 沢村は本日休養日。本拠地球場ではなるべく休ませたくはないだろうがやはり遠征中だと主力も交代で休ませるのが定石となる。チームは次の遠征地オークランドへ向かった。


 ヤーナーズのグランダーソンが27号。


ア・リーグ本塁打(7月24日現在)

 

沢村(TB) 34

バチスカーフ(TOR)31

グレンダーソン(NYY)27

テシェイラ(NYY)26


今季の沢村健の成績(7月24日現在)


打撃

(左)打席199 打数164 安打65 単打15 二塁打17 三塁打5 本塁打27 

打点69 四球32(敬遠8死球2)犠打1(犠飛1)敵失1

(右)打席66 打数57 安打21 単打9 二塁打5 三塁打1 本塁打7 打点26 四球9(敬遠2死球1)


合計 打席265 打数221 安打86 単打24 二塁打22 三塁打6 本塁打34 

打点95 四球41(死球3敬遠10)犠打1(犠飛1)盗塁8 敵失1

打率.389 出塁率.493 長打率1.005 OPS1.497


投手

(左)試合9(先発9)67回 自責点12 防御率1.61 5勝0敗 QS8 被安打50 四球14 三振5 WHIP 0.9552(とても良い)

(右)試合8(先発8)55回 自責点17 防御率3.26 3勝3敗 QS6 被安打45 四球11 三振49 WHIP1.018(良い) 

 




 


 

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