第39話 恋人同士になる

あれからクロキ様やトキ様に教育を受けたコクヨウが、ミケの湯上がり後を狙って添い寝にやってくる。

「まだ髪乾いてないから」

「二十分は待つじゃないか」

と寝台をばしばし叩いて催促する。


「コクヨウ、私の胸に触りたいと思う?」

「体を、お互い裸にして見たいとか」

「あとは、触りたい場所があるとか」


「破廉恥だ!」


お城の王子様にセクシャル・ハラスメントをしてしまった。

それでもコクヨウがミケを少し伸びた背で、腕で体をすっぽり覆い。

呪を頑張って解こう!作戦が実施されている。

あれから胸の発作はないらしいので嬉しい限りである。本当に辛そうだった。

だがいつかはわからないがこの世の魔の痛みが強く多く、いずれコクヨウを襲うことになる。

その時は世界に暗雲立ち込め、人々の命を奪う風が吹き、大地は割れ、草原は枯れて、この黒い森と黒い城だけが魔王の居城となるだろう。

そして世界は、死者の帝国へと愛を無くす。 


抱きしめられる。

心地よい。

でも寝返りが打ちやすいよう優しい力にしてもらっている。コクヨウの寝つきは良い。

「コクヨウ知ってる?ダンとメアリー、付き合いだしたんだって」

「知っている。ダンから聞いた。メアリーからも、今まで追いかけまわしてすまないと……」

うとうと、うとうと。

「私達も付き合う?」

「付き合うと何する?」

どうなる?

「友達以上のことができる。まあ、今と変わらない」

「付き合う」

「ほんと?」

「恋人同士になるということだろう?そっちが先だ」

ほんとに、この呪、解けるのかな……。

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