第40話 臙脂という鮮やかなキス

そこである日、不思議なことが起こる。

城の外から

「ここに我の運命の人がいると聞いたんじゃがなあ」

神獣は

「げっ?!」

と一言。

「お、おぬしか〜?!」

「よう、その魔力、エルフだな、さて、探し人は」ゆっくり方々を見渡して、

「うん、お前じゃな、娘」

完全な不意打ちのキス。

「なっ!」

コクヨウも皆動けない。

すると、私の髪が太陽のように輝いてから、白金の、エルフ様の美青年姿の時と近い、白銀の髪へと呪が解かれる。

「これが、私の、髪色……?」

人を惑わす妖精種の色に、嫉妬を抱かせるような美麗な艶やかさ。

「うん、はるばる飛んできた甲斐がある。我と結婚しろ、娘」

「臙脂、貴様、正気か。この者には恋人がおったのだぞ……」

「うん?」ずらりと並んだ人を見て、

「うむ、見知った夫婦がいるな。まあ、転生してからは初対面だが、たしかに、このお子ちゃまがそうか」

臙脂というただならぬ存在がコクヨウを見る。 

十二歳くらいの少年だ。

「まあ、呪はなんとかなろう?早めに命を絶てば魔王になることもなし、さて、三毛猫模様が素敵だった髪色の娘よ、嫌だったのならその白金の髪、戻そう。とにかく我は運命に目覚めた。誰にも命令されることなく、自分の婚姻は自分で決める!」

「それお前がいうかー?!」

と叫ぶエルフ神獣。

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