第13話 見てしまう夢まであと

氷の針で心臓を刺されるような痛みを、発作と呼んでいる。きょうは、二度。

またあの、メイドがうるさかったな。

いつも何を言おうとしているんだ。

たまにダンに言われる。

どうか最後まで聞いてあげてくれませんか?

どうか、どうか、やっぱりいいです。

やっぱりいいです?

どう言う意味だ。あのいとこ同士はわからない。

顔立ちも雰囲気も似ていないのに、どこかが、そうどこか。


〈魂が似ている……〉


そう、心の形が、というより生きていく中で選択していく自分の在り方があの二人は似ている。


〈両方食べよう……〉


いやな声だな。今夜は。早く、深く、深く、眠るだけ。


自分の意識と屋敷の明かりは繋がっている。


ゆっくりと、落ちていく光量たち。やわらかなオレンジ。


いやだな、思い出す。自分を偽っているわけでも無いのに。否定しているわけでも無いのに。


きょうはなぜ。


もう寝よう。


そうだ。


あの三毛猫模様の髪の女のせいだ。

あの女に、詰め寄られて、心の臓に負担がかかったんだ。


ちがう。


一度目は、特別な人。

そんなの、応じようが無い。ダンのことだろうと思った。


二度目は、女に興味はない、明日帰れ、だったか。

あの女は、もう、わかったんだろうな。


自分の探し人が。


こんな時、どうして、父も、母も、神獣すらいないんだろう。


また今日もあの夢を見る。


そう思うと見てしまう

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