Epsode 生理的欲求と安全の欲求
この世にはジャナンもものもクリプティッドもいなくなったわ。あるのはひとりのデイバだけ。これからどれほどの時間をひとりで過ごさなくてはならないのだろう。浄土でも地獄でもよかった。どちらかの世界になれば少しはデイバにも刺激のある世界になったのかもしれない。だが、浄土化、地獄化を企むクリプティッドがあまりに無力、無能であった為、世界が変わるのを待っていられなかった。どんな能力を持っていいようとも世界にひとりきりではその能力も役には立たないの。
デイバと化したからといって利里の身体も心も消失したわけではない。利里の意思で翔を殺したのだ。翔が憎かったわけではない。ジャナンという存在がこの世には必要ないと判断したのだ。その為には翔の命を犠牲にしなければならなかったのだ。
みなもとからジャナンを経てヒトとなり、最後にはデイバと進化した自分もこの世に不必要な存在だと思った。不必要だからといって自死など出来ない。利里は母に、母は祖母にせっかく創って貰った大事な心なのだから。デイバというものは欲求が強すぎる。生理的欲求と安全の欲求と自己実現の欲求が。食欲がおさまらない。一番喰いたいのはクリプティッドだが人でも、動物でも構わない。ときには植物でもよい。ただ、喰う量が半端でないので生態系を乱すことは間違いないだろう。ただ今は穢れの濃度の濃いマヤの血を吸うことに夢中である。
近未来人形戦闘兵器はサトバも喰える 三鷹たつあき @leciel2112
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