【最終回】香澄の気持ち

 と言った、香澄の元夫である卓也君を諦めさせた俺。しかし、その間に俺が話した言葉に香澄は疑問を抱く。


うまく納得してくれれば良いが…。場合によってはシスコンを暴露するかもな。



 「あたしは実家を出た社会人なんだよ。そんなあたしに“愛が足りてない”とか“俺が守る”なんて変だって。どういうつもりなの? 兄さん?」


「それは…」


彼女の言う通り、普通の兄妹であればおかしい発言だ。だが、俺が香澄に抱いている気持ちは兄妹の関係を超えている。個人的に違和感はない。


「あの時の感じからして、ではなさそうだし…。意味が分からないよ」


「……」

どう言えば良いんだろう? 必死に考えても、答えが見つからない。


「ここんとこずっと兄さんの家に泊まってるから、あたしをいずれ作る彼女として見てるのかな~。……なんてね」


そう考えれば、さっきの言葉は不自然じゃなくなるか…?


「……」

それでもうまくまとまらない。どうすれば良いんだ?


「冗談なんだから早くツッコんでよ。恥ずかしくなってきたじゃん…」


これ以上引き伸ばすのは限界だし、が点と線で結ばれている今がベストタイミングかもしれない。


「…もしその冗談が本当だったらどうする?」


「え?」


「正確には、ちょっと違うんだがな」


「どう違うの?」


「香澄をとして見てるんじゃなくて、として見てるんだ」


「それってまさか…」


「そうだ。俺は昔からお前が好きなんだよ! 妹じゃなくて、異性として!」


ついに告白してしまった。もう…、引き返せない。



 俺の告白を聴いた香澄は黙っている。こういう時はどうすれば良い? 道を示したほうが良いんだろうか?


「香澄。正直な気持ちを教えて欲しい」


「……すごくビックリした。兄さんにそういう風に見られてるとは思わなかったし」


だろうな。問題はその後なんだが…。


「だけど…、嫌な気持ちにはならなかった」


香澄は落ち着いているように見える。嘘は言ってないだろう。


「そう…なのか?」

俺からすれば、ありがたいことだが…。


「生理的に無理な人ならともかく、そうじゃない人に『好き!』って言われたんだよ。嫌がる理由ある?」


俺が言われる立場をイメージしたが、確かに悪い気はしないな。


「今のところ、あたしは兄さんを異性として見れないよ。時間が経てば変わるかもしれないけど、何とも言えないね…」


突然のことだ。すぐ結論が出るとは思っていない。


「だからさ、あたしのことは諦めて彼女作りなよ。そのほうが良いって!」


「そのつもりはない。この人生で会ってきた女性の中で、香澄が一番タイプだ!」


「…よくそんなこと堂々と言えるね。兄さん、変わったんじゃない?」


「歳と環境が変われば、性格も変わるもんさ。お前が高卒で実家を出てから、俺は大学新卒で内定を貰うまで実家にいたんだ。離れていた時間はそこそこあるだろ?」


その時間があったからこそ、己を見つめ直すことができたんだ。その結果、香澄への愛が高まったのは言うまでもない。


「そうだね…」



 「香澄。俺との同居はどうする? 嫌なら引き止めるつもりはないぞ」

本心を暴露したことで、関係が変わったからだ。


「…このまま泊まり続けるけど?」


「良いのか? 俺はお前を異性として見てるんだぞ。つまり…」

手を出されても文句は言えないはずだ。


「わかってるよ。あたしの気分が乗ってきたら、相手しても良いかもね」


「…それ、マジで言ってるのか?」


「マジだよ。ていうか、そうして欲しいんでしょ?」


「まぁな…」

俺の一方的ではなく、香澄が色々してくれる可能性がある?


…想像するだけで心が躍る。気分と連動し、も少しずつ元気になっていく。


「今想像したよね? ニヤついてたから、すぐわかったよ」


「仕方ないだろ。男の性だ」


「変態兄さんの相手は大変そう…」


「今なんて言った?」

香澄がボソッと言ったから聞き取れなかった。


「何でもない! …いくら喫茶店でも、長居は程々にしないとね。早く行こうよ」


「ああ…」

釈然としないが、俺達は席を立ち会計を済ませた。



 それからというもの、俺と香澄は普通の社会人らしい生活を送る。だが、俺の行動は変えた。一部始終を撮ることと、夜の手出しは止めたのだ。


こんなのに満足するより、香澄の気分が乗ることに賭けてみた。その時が来るかはわからないが、もし乗ってくれたらは大いに暴れるだろう…。


祝日は部屋でゴロゴロしながら香澄と一緒にアニメを観たり、ショッピングや映画館に行くなど、デートっぽいことをする場合がある。そういう時は気合を入れた格好にしないとな。ダサいのは、兄以前に男として失格だ。



 ……今日は3連休を利用し、香澄と一緒に温泉旅館に行くことにした。彼女が「休日の楽しみ方がワンパターンだよね~」と言ってきたので、俺が提案したのだ。


温泉旅館にした理由はシンプルで、浴衣姿の香澄を観るためだ。彼女の見慣れない姿を脳裏に焼き付けて満足しようと考えた、下心100%のプランになる。


香澄もそれはわかっていると思うが、訊くのはデリカシーに欠けるよな。



 旅館の夕食と温泉を済ませて部屋で待機していると香澄が戻って来た。…やはり浴衣姿の香澄は良い! 思わず見惚れてしまう。


「兄さん。ジロジロ見過ぎだって~」


「ご、ごめん…」

魅力的なんだから仕方ないよな。


「エロい兄さんにはわかっちゃうのかな? 今のあたし、下着付けてないんだ♡」


「…え?」

香澄の浴衣姿を舐め回すように観る。


「旅行先って、いつもとテンション変わるよね~。開放的になるっていうか」


「そうだな」

修学旅行の時は、大人しい子もはしゃいでいた気がする。これが旅行先の魔力か。


「…今は相手してあげても良いんだけどな~」

香澄は浴衣をはだけさせ、俺を誘惑する。


「おいおい、そんな事されたら最後まで止まらないぞ。…良いのか?」

今すぐにでも、手を出したい…。


「良いよ♡ いつでも来て♡」


香澄の許可が出たことで、俺のタガは一瞬で外れた。彼女の浴衣を脱がしてから俺も脱ぎ、ついに俺達は初めて体を重ねる…。

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【完結】俺の家に押しかけて来た離婚後の妹が可愛くて、手を出しちゃいました! あかせ @red_blanc

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