【第一章 異世界入門編】-8話- 自分にできること

魔力球を作成する。

 これは魔法の初期、基礎も基礎という技術。

 俗にいう魔弾と呼ばれる技術だ。

 言語を用いない唯一の魔法になるため、俺でも使用できる魔法だ。

 それを正面の岩に向かってうつ。


 ドン‼︎


 魔弾の当たった岩は当たった箇所にヒビが入るだけで終わった。


 上泉「魔弾の威力は普通この程度っと……」

 次……。


 身体全体に魔力を流して身体を強化する。

 冒険者にはほぼ必須といっていいほどの技術だ、とはいえ……。


 上泉「基本は一般人がトップアスリートになるレベル、かな。」

 魔力なんていう摩訶不思議な力を使ってこのレベル、要は死に物狂いで鍛えれば到達できるレベル、まあトップアスリートがこれを使えば超人になれるかもだけど……。

 身体強化はベースの身体能力が高ければその分上がる、なので俺はエルフの2人からいろいろと教わった後から身体を鍛えていた。


 俺が異世界へ来てからおおよそ一月がたっていた。

 ハリィさんとアリシアさんに魔力の使い方、身体強化と魔弾の魔法を教えてもらってからは冒険者ギルドの仕事をこなしつつ身体を鍛えて身体強化と魔弾の練習をしながら毎日を過ごしていた。

 泊まるところはギルド併設の安宿に泊まっている、異世界人って事で一週間はタダにしてもらったがその後はギルドの仕事をしながら支払いをしているって事だ。


 後は時たまハリィさんと飲みながら異世界の話をしたり、アリシアさんとはハリィさんと喧嘩した時なんかに愚痴を聞いたりしていた、まあなんだかんだあの2人は仲良いよな、そしてなんで俺に愚痴を言いにくるのかわからん、友達いないのか?


 まああの2人は一緒のパーティメンバーの他3人のエルフさん達以外で話している人はほとんど見たことがない、まあ見た目キツそうだし話しにくいのは分かるけど話してみると普通だよな。

 ハリィさんは起伏穏やかで喋り方自体は偉そうだけどどうやら生まれに影響してるっぽいだけだし、アリシアさんは口調きつい時はあるけど根はいい人だし率先して喋れば知り合いなんか増えそうなんだけどな。


 まあそんな感じで日々を過ごしている。

 ちなみに冒険者の仕事で街の外には行っていない、まだ戦いに慣れていないし街の中の仕事でもできることはあるしな、戦い方に関しても最初の頃にあの2人に教わった、その後は自分でいろいろ試している最中だ、この世界じゃあ魔法やら特殊な技術があったりするから基本戦い方なんて人それぞれになるからってことでホントに基礎だけ教わった形だ。




 上泉「さて、それじゃあ試しますか。」

 今度はまた魔弾を生成する。

 ただ今度は生成した魔弾に魔力を注いで威力を上げるようにする。

 この技術も魔弾の特性の一つだ、ただの魔力弾だから出来る技術で魔法になってくると形成する要素が決まっているため魔力を多く注いでも意味がない、ていうかそそげないらしい。

 まあ例えば魔弾の威力を魔法のファイアーボールと同等の威力にするには魔弾の約20倍、ファイアーボールの約10倍の魔力を注がなければならないため、魔弾の需要はほとんどないんだけどな、素直にファイアーボールうったほうが良いってなる、この世界の人ならファイアーボールを覚えるのも苦労しないだろうし、ただ俺はそのファイアーボールを覚えるのにまず言語を覚えなきぁあならないからしょうがないってことだ、素直に魔弾に魔力を注ぐ、直し……


 上泉「んー、やっぱどれだけ魔力注いでも減った感じないんだよな……」

 俺の魔力量は規格外、測定できなかったのでその最大量は判らないんだけど魔弾生成に必要な魔力量のおよそ500倍魔力を注いでも減った気がしない。

 上泉「魔弾の500倍って最上位魔法レベルの魔法の消費量ぐらいって話だったんだけど……」

 上位魔法は魔力消費が多いからそう何発も撃てないってレベルの魔法のはず……

 ……とりあえず作った魔弾を撃ってみた。


 チュドーン‼︎


 先程魔弾を当てた岩に当たったら岩どころかそこを中心にクレーターが出来た。


 上泉「威力的には中級魔法レベル……かな。」

 以前ハリィさんに見せてもらった中級魔法と同じくらい、かなまあ中級魔法の10倍以上の魔力を消費したんだけど……


 上泉「これ、おれの魔力量が多過ぎて魔弾だけでとんでもない威力の魔法打てるような……」


 まあ流石に限界はある、魔力を込めればこめるほど時間ががかるし制御も難しくなってくる、制御に関しては魔力制御の技術が上がれば集めれる魔力を増やせるだろうけど現段階だと、単発で威力を上げるならいけて上級魔法レベル、連発で打つならそれこそ低級魔法レベルってところか……

 まあどこまで威力を上げれるかはまだ試したことないからな、上位魔法レベルっていうのもそこまで上げて止めたってだけだし、俺もそこまで魔法に詳しくないからおそらくそのくらいだろうってだけだしな……


 次に身体強化かな。

 身体に流す魔力を増やす、こちらも流す魔力量を増やせば身体能力の上昇値は上がる。

 とはいえ流せる魔力量は個人差があるし仮に魔力量を100流してるのを200にしたところで身体能力が倍かかるってわけもない、せいぜい身体能力倍率が×1.001ぐらい増える程度だ。

 ただし、異世界人は総じて流せる魔力量が桁外れに多いらしく過去の異世界人で有名になった人もこの特性を使ってほぼ全ての魔力を使い身体強化をしたことにより規格外な超人となって活躍したらしいのだが……


 上泉「……ほぼ全ての魔力、無理じゃないか?」

 教えてもらった身体能力の魔力量よりも比べられないレベルで魔力を込めた身体強化、それこそこの試みをするのに街の外に出ていた俺だが上がった身体強化を試すために走ったらものの数秒で街が豆粒みたいに小さくなった。

 この感じだと魔力全部身体強化に割り当てる前に身体強化上限いきそうな気がするんだけど……



 …………………………異世界人は総じて魔力量が多いらしいが俺のはそれに輪をかけてもなお多いんじゃないか、コレ‼︎

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