【第一章 異世界入門編】-3話- ベルゲンの町

上泉「あのゴブリン?は襲って来ないんですか?」

 ログ「ああ、そりゃ大丈夫だ、街道沿いには魔物避けの魔道具が設置してある、ホラあれだよ」

 上泉「あぁ、あれがそうなんですね」


 そこにはランプみたいな形状をしたものがあった。

 人の背丈よりもやや高いぐらいの棒に吊るされている形だ。

 ほんのり緑色に灯りがついているように見えるそれは魔道具が機能している証拠だそうだ。


 ログ「国お抱えの錬金術師様が作成、管理しているらしくてな、あれのおかげでそこそこ安全に町から町へ行商に出れるってことだ」

 上泉「そこそこなんですね」

 ログ「あたりまえだ、魔物避けっていっても絶対じゃあねぇからな、あくまでも寄りづらくなるってレベルらしい」

 上泉「なるほど……」


 それじゃあ万が一がある分大丈夫って言えないんじゃあ……

 ま、まぁ現地の人が大丈夫って言ったら大丈夫なんだろう。

 それにさっきからしゃべっているのもなんか口の動きと聞こえる言葉が違うような……

 実際、もしここがほんとに異世界なら日本語を異世界人が喋っているのは違和感半端ないしなぁ。

 

 などと考えているうちに次第に町に近づいていたのだった。



 ログ「ほら、あれがベルゲンの町だ。」

 上泉「へぇ、あれが……」


 見えてきた町は現代日本で見るような街並みじゃない、例えるなら中世のヨーロッパを彷彿とさせるような町並だ。

 何はともあれ町には着いた、あとはこの後どうするかだが……

 どうすればいんだろうか……



 町中の道を馬車が走る。


 上泉「それじゃあログさんはその商業ギルド?だかに行かれるんですね」

 ログ「あぁ、そうだな、あんちゃんはどうするんだ?」

上泉「それなんですけどね、こう、身分がはっきりしない人でも仕事が出来る場所とかっないですかね?」


 あのあと町に着くまでにいろいろ考えたけどここが異世界でこの先生きていく意思があるんなら衣食住は必要だろう。

 そうなってくるとお金が必要になってくる。

 一応この世界でもお金は流通しているようだ、それこそ物々交換なんかで成り立っているような社会じゃないらしい。

 それなら仕事をしてお金を稼ぐしかないわけだけどあいにくこちとらこの世界じゃあ身元もはっきりしない身分だからなぁ。

 なんとかそんな人のために仕事を斡旋してくれる場所がないか聞いてみた。


 ログ「なんだ、あんちゃんどっかの開拓村かなんかから出稼ぎに来たくちかい、それなら冒険者ギルドに行くのがいいんじゃないか?」

 上泉「冒険者ギルドあるんですか!?」

 ログ「そりゃああるさ。」


 おぉ、ファンタジーだなぁ。

 その後いろいろ話を聞いてみたら冒険者ギルドではそれこそ町のドブざらいから街道沿いに出る魔物の討伐、危険区域への採取依頼など多岐にわたる仕事が引き受けられるらしい。

 それに加えてギルド加入の時に身分証も必要ない為身分を証明出来ない辺境の開拓村の人が出稼ぎに来たらまず冒険者になる事になるのだという。


 ……それならちょうどいいかな、それにどんなところかも気になるし。


 上泉「それじゃあ冒険者ギルドに行ってみます、場所ってどこになるんですかね?」

 ログ「あぁ、それなら商業ギルドに行く途中にあるから送っていってやるよ」

 上泉「ホントですか!? ありがとうございます!」


 いやホント助かる、異世界初の現地人がログさんみたいな優しい人で助かったよ。

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