2-1 会いに来ました
霊感探偵が
そこに立つ雑居ビルの二階に、
晴れ渡った穏やかな空の下、K中学校2年生の女子
入口を通った場所にロビーや受付はなく、通路の先にエレベーターと階段が並んでいるのみ。エレベーター近くの壁には、上半身が写る程度のサイズの鏡が掛けられている。
自宅からここまでは徒歩圏内であり長い距離を歩いた訳ではないが、
目的の二階でエレベーターを降りると、5mもない距離に全面すりガラスの両開きのドアが。
前回と同じように、ドアノブを押して事務所へ入室する。
開かれた景色も前と同じ、外に面した壁に並ぶ窓と、事務机の並んだ室内。
ただし、以前とは違う香りがほのかに鼻くうをくすぐった。香水?
違和の原因を探るより先に、
「こんにちは!」
よく通る声で挨拶を受ける。
声を掛けられた方へ顔を向けると、男性が事務机の合間のイスから立ち上がり、こちらへ足早に来るところだった。
昨日、話した
とても魅力的な男性は
「あ、えと……」
「ん?」男性は一瞬キョトンとした顔をして、すぐニカッと笑った。「うん! はじめまして、
「私は、
と、
「あ、
「え。体調を崩したって、どんな風にですか?」
目の前の大人が何を確認したのか気になったが、それ以上に重大な発言についての深掘りを優先した。
どの程度の不調? 調査と何か関係があるの? それとも、霊視をしたから? 個人的に「霊視」という行為に不安感を抱いていたために、
「どんな風って……」
また?
女子の耳は、不審な一言を逃さなかった。
怪しい。何か隠している。
見損なった! 問い詰めてやる!
成敗を決心し頬を膨らませた、その時、
「本当にぃ?」
声が響いた。
位置は、
何が起こっているのかまったく不明だが、
事務机の間でイスに腰掛けている女性と目が合う。今までデスクに突っ伏していたのだろうか、気づかなかった。
長い髪は金に染められ、化粧の濃い顔は事務所に不釣り合いに色白で、唇も真っ赤だ。
中学生は、直感的に「真面目な人ではなさそうだ」と思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます