第１話　猫の子供の宝物

　都内で交通事故が起きた。

　事故内容は車と人との衝突であり、小学生男児が犠牲となった。

　彼は事故直前、母親とケンカし、怒って一人で歩き去ってしまったという。普段からワガママだったが、いつになく頑なな態度に、母親もついカッとなって怒ってしまったそうだ。

　事故の原因は車の信号無視であり、児童に非がないことは防犯カメラの映像から明らかとなっている。

　子供は、不幸な死を遂げたのだ。

　しかし両親は、ケンカ別れしたことや息子が歩き去るのを止められなかった経緯から、「息子に恨まれている」という思いに襲われる。

　世間からの注目とバッシングに晒される中、せめてもの報いとして、息子の憎悪をありのまま受け入れようと考えた。

　息子は何を思い、何故あの場所にいたのか？

　どうして、いつにも増してものわかりが悪かったのか？

　本人に確かめようのないこの謎は、

　どのような事実をもって解き明かすことができるのか。

　少年には、そうせざるを得ない理由があった。

　霊感探偵によって「息子の真実」がひも解かれた時、

　罪深き両親は、ある決断をする。

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