序
「正しいこと」とは何だろうか。
誰かを悪から守ることだろうか。
悪人を追い詰めることだろうか。
「優しいこと」とは何だろうか。
誰かを苦しみから救うことだろうか。
苦しみの原因を責めることだろうか。
正しく、優しくあれば、後悔せずに済むのだろうか。
いつも正しく、優しくあれなかったことは、責められるべきなのだろうか。
一時の感情、一度の不幸、一瞬の悪意――
自分だけが抱える真実が、何かの拍子に記憶の彼方からよみがえっては、心を底知れぬ闇に引きずり込む。
それは、断罪だろうか。
誰に、裁かれているのだろう。
誰が、許してくれるのだろう。
消えない過ちを背負った者達は、
闇の底で、光を求めた。
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