第24話


 周囲に様々な角度で風景が映し出された映像が流れた事で改めて中へと

 視線を戻した

(とはいえ、何か出る気配が全くないな。いや、出てきてもそれは嫌だな)

 そんな考えを内心でしつつ、再度スマートフォンの画面をスワイプ操作して

 映像を消した

 それから彼は、魔法陣をまじまじと見るが、傍目から見れば不審者と

 思われても可笑しくはない

(調査用写真については報告書を書く以上撮影するしかないしなぁ。

 前回見たいに唐突な戦闘が起きない事を祈るか)

 そう内心でぼやきながら、彼はスマートフォンを懐にしまいつつ辺りを

 見回す事にした



 何事も起こらない事を祈りつつ、祭壇の中央に位置する巨大な十字架と

『魔方陣』を調べてみる事にした

 まず巨大な十字架に近づいてみると、その大きさが分かった

 彼が見上げた状態で高さ30~40cmはった

(でか!)

 それが彼の率直な感想だった

 巨大な十字架の中心に1mほどの杖のようなものが鎮座していた

(なんだこりゃ。これあれか? このでっかい十字架と杖は触媒的な何かなのか? 

 触らないぞ俺は!!

 触ったら良くあるお約束的な展開に成るのはごめんだからな!)

 そんな考えを脳裏に浮かべつつ、巨大な十字架の周りを少し散策する

 いつからそこにあるのかは定かではないが、朽ちた様子から

 相当古い物だ

 彼が後ろを振り向くと再び、スマートフォンを懐から取り出して

 カメラアプリを起動して祭壇全体と巨大な十字架を含めた画像を収める


(これだけでも調査資料としては十分なのかな?)

 そんな事を考えつつ、懐にスマートフォンをしまった

 そして、今度は床に刻まれている『魔方陣』へと目を落とす

「それにしても凄いな……まるでプロが作ったみたいだ。

 あ、これって下手したらこの祭壇そのものが 召喚陣の一部だったりするのかな?」

 そんな事を考えながら床に刻まれている複雑な紋様の『魔方陣』を眺める

 彼が感嘆するのも無理はない

 複雑怪奇かつ幻想的な幾何学模様に魔術語と呼ばれる文字で書かれた

 円や文字が所狭しと描かれ、床に刻まれた『魔方陣』は

 一見すると完璧なまでの出来栄えとも言えた

 彼の眼には、これまでに見たこともない様な技術の

 高さを思わせる



 その場にしゃがむと、指で『魔方陣』の一部をなぞってみた

「まさか『魔方陣』も御約束な展開装置とかじゃないよな?」

 彼はそうぼやきつつ、なぞった部分を見てみた

 次の瞬間――突如として彼を襲ったのは抗えない程の異様な感覚だった

 例えるなら身体全体が引っ張られるようなそんな感覚だったが、 それも

 ほんの一瞬の出来事ですぐに消失した

 何か言おうとする暇もなく『魔方陣』が白く光り輝き、その

 中心から霧らしき物が発生し 、あっという間に彼の視界を埋め尽くした

「嘘だろ!? 『魔方陣』もかっ!」

 そう言いつつ、彼はとっさに瞼を瞑って腕で眼を覆う

 しばらくして、少しずつだが光が治まっていき眼を開けるとそこには

 ・・・鎧と仮面を身に纏い、八芒星の意匠がある槍と盾で

 武装した女性? が立っていた

 服装は、一般的なファンタジー世界の甲冑とマントで武装しており、

 背丈も170cmほどの身長だ

 しかし、その顔は仮面に隠れ表情は一切見えない

 周囲をぐるっと見回した女性は彼の姿を発見すると、徐に武器を構えはじめた

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