第23話

 江崎 零士の姿があったのは、以前に発見して開放した『英霊召喚陣』より

 さらに進んだ領域だ

 そこは余りに異質、その一言に尽きる

 街でもあったのか、廃墟と断言しても良い位に崩れた建築物跡のような

 モノも垣間見える

 それらは現代建設ではなく、全てが中世程度の街並みで彼からすれば

 まるでラノベやRPGゲームの中でしか見た事が無い


「ここはどういう場所だったんだ?

 この『世界線』の『ダンジョン』には内部に人が生活している

 街なんかがある のか?」

 そんな疑問が脳裏を過るも、すぐに掻き消えた

(あり得ないよな。こんな状態なんだから)

 そんな事を思いつつ、廃墟と化している街の中を探索する事にした

 壁や歩道にはあらゆる場所にボロボロの状態で 食料となるような

 モノや死体といったものは転がってもいない

(ドローンから送られてきた映像通り、死体や食料となるようなモノは無いか。

 だが、問題はこの先にあるもう一つの『召喚陣』だ)

 そう考えつつ瓦礫が崩れて出来た道を歩いていくと、目的の場所へと

 たどり着いた



 彼の眼には一つの大きな建物が映っている

 その建物は木造建築の学校を巨大化させたような

 作りをしていた

 古くボロボロで崩れる心配もあるが、不思議な事に建物自体に損傷は

 無いようだった

 建物の取っ手に触れるとギシギシと音を立てて動く気配が無いので

 彼は少し引いてしまった

 その後、扉に体重を乗せて押しながら開けると普通に開いた

(ドローンからの映像だと、この建物内にあったな・・・

 絶対夜とかには訪れたくねぇぇぇぇぇ!)

 そう心の中でぼやきながら、内部へと慎重に入っていく

 玄関口から廊下は少し下って下る感じで少し続いているようだった

 そして廊下は左側に複数ある扉が立ち並んで、突き当たりには

 ガラス張りの扉があった



(予想外の長さだ。で、『召喚陣』はこの扉の先だな)

 彼は気を引き締めてガラスの扉へ手を伸ばすとあっさり開いたので

 内心安堵しつつそのまま歩を進めた

 ガラスの扉をくぐって廊下を少し下ると、本来の扉と言う役目を

 果たしていない朽ちた木製の扉があった

 しかし、そんな朽ちた状態の建物にも彼の眼には素晴らしく

 気高く感じられる

 その奥へと進んでいくと、先には空間が広がっていた

(広さ的に体育館か?)

 彼はそう思いつつ周囲をゆっくりと見回す

 そんな彼の視界の先に――――祭壇の様なものが奥に設置されていた

 祭壇の中央付近には巨大な十字架が鎮座して、その床には魔方陣らしき

 紋様が描かれている



(ドローンから送られてきた映像でも、なかなか見応えがあったけど

 直で視ると想像以上だな)

 そんな事を思いつつ、彼は祭壇の中央付近まで近づきながら『ダンジョン課』から

 支給されているスマートフォンのカメラアプリを起動して周囲を

 撮影する事にした

(しっかし調査及び記録用に業務用スマフォを支給させられてるとは)

 そう内心でぼやきつつ周囲を見回す

 スマートフォンの画面上に映し出されている映像を視つつ、さらに奥に進み

『魔方陣』が刻まれている辺りにまで脚を伸ばした

(綺麗な魔法陣だ。何というかアニメやゲームで登場してそうな)

 彼はそんな事を思いつつスマートフォンの画面を横にスワイプ操作を行う

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