第21話


 まもなくして、武装警備員の護衛兼案内役と共に地下へ華僑系大手探索団体

 関係者数人が降りてきた

 中国の上流階級の雰囲気がある初老と黒髪ロングヘアの女性を筆頭に、

 その部下と思われる男性2人、 それと護衛の武装警備員が一人だ。

 護衛の内の一人が嵩原よりも背が高い

(この『世界線』の俺は、どんな危ない橋を渡っていたのか問い詰めたい)

 内心でそんな事を考えつつ、互いに軽く会釈した

 最初に声を発したのは、初老に近い容姿の男性だった



「お久しぶりですね。江崎さん」

 男性は好々爺然と微笑して、流暢な日本語でそう告げる

「こちらこそ、ご無沙汰しております(この人が取引先の華僑系

 大手探索団体関係者・・・いや、まったくわからねぇぇぇ!!)」

 彼は無難にそう応えつつ、内心は途轍もない混乱状態にあった

「入国規制前の商談以来ですから、もう二年も経ちますかな?」

 微笑しながら初老に近い容姿の男性が言ってくる

「早いものですね。こちらもいろいろとありご連絡も出来なくて

(よし、無難にそう返せた)」

 内心の焦りと混乱がばれない様に、彼はそんな当たり障りの無い

 返しをしていた

 初老に近い容姿の男性が再び何か言おうとしたが、黒髪ロングヘアの

 女性がその男性の嵩原の耳元で囁いた

「もう少し会話を続けても良かったんですが、何分予定が詰まってまして。

 申し訳ないが江崎さん、キョンシーの方は?」

 初老に近い容姿の男性が何か別の事を言いたそうな表情をしつつ、

 そう尋ねてきた


「あ、こちらの檻の中に。全部で6体です(た・・助かった!

 これ以上会話していたら無茶苦茶な事を言われそうだし!)」

 彼が内心でそう安堵しつつ応える

 黒髪ロングヘアの女性が確認するかのように檻に近づき覗き込む

「確かに、確認しました」

 黒髪ロングヘアの女性が振り返りつつ答える

「6体も! 商談の時は3体でしたかな?」

 初老に近い容姿の男性が驚きつつ尋ねてくる

「必要経費とご用意して頂いた高性能なキョンシー捕獲道具が良かったので。

 それと捕獲に参加した我が社『手野武装警備株式会社』の社員が、

 御社のキョンシー捕獲道具使用方法の教習を受けさせていただいたため、

 見事にキョンシーを6体も捕獲できました」

 嵩原が当たり障りの無い応えをした


「見たところ、外見には何の損傷も無くまだ比較的新しい個体のようですね」

 黒髪ロングヘアの女性が確認するかのように呟く

(こういう状態になっている時は下手に喋らない方がいいからな。

 スルーだな)

 彼はそんな事を考えていた

「実に見事な腕前ですな。ココだけの話ですが、何度が他の企業にも

 依頼した事があったのですがほとんどのキョンシーの身体に損害があったり、

 一体も捕獲できなかったりで。『日本探索協会』の手腕には驚きました」

 初老に近い容姿の男性が感心するようにそう述べる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る