第5話 ドラゴン、竜騎士の妻になる
「…ですか?大丈夫ですか!?」
俺は風呂場で倒れてしまったらしい。
そして何分経ったのかは知らないが、まだリーヴァも俺も裸だった。
「俺が倒れてからどれくらい経った?」
「まだ3分も経ってないですよ。さあ、早く私の体を洗ってください」
「…先、湯に浸かっててもいいか?」
「分かりました、今日は自分で洗いますよ。…と言いたいところですが、私は人間の体の洗い方を知りません。やっぱり洗ってください」
「…仕方ない」
俺はリーヴァを洗ってやったのであった。
*
色々あって(思い出すのも恥ずかしい)俺とリーヴァはやっと湯に浸かった。
「あぁ~、お湯に浸かるなんて初めてですけどとても気持ちいいですね~」
「狭くないか?2人で入ると窮屈だろ」
「いえ、そんなことないです。むしろルークさんと顔を近づけられるのでこの方がいいですね」
「リーヴァ、恥ずかしくないのか?人の裸を見るのも、俺に裸を見られるのも」
「私はルークさんとだからこそ恥ずかしく思いません。それと、人間は寝る時用の服を着るようですが、昼に買ったような洋服ではない方がいいんですか?」
「まあ、そうだな。普段着る服よりも軽かったり、薄かったりするものの方が多いかもな。まあ、人によっては裸で寝る場所もあるらしいが」
「じゃあ、私は裸でルークさんを抱き枕にして寝ます。いいですか?」
「いいわけないだろ!俺が寝れんくなるわ」
「ルークさんも男の子ですね~、やっぱり本能的に興奮しちゃうんですか?」
「当たり前だろ。…主人命令だ、俺をそういう風にからかうのをやめろ」
「主人命令、ですか…。主人命令は私が本来のドラゴンの姿の時だけにしてください。私がこうやって人間の姿の時は彼氏命令か旦那命令にしてください!」
「分かった」
ここまで長く湯に浸かったのもずいぶん久しぶりだ。今、のぼせてるように感じるのは、湯に浸かり過ぎた所為なのか、リーヴァに興奮している所為なのかは分からなかった。
*
俺はリーヴァがどんな寝巻きを着るのか楽しみにしながらベッドの上に座っていた。
「お待たせしました、ルークさん」
そこには、を着たリーヴァが立っていた。
ちょっとエロさを感じさせつつも美しいその姿に、俺は改めて見惚れてしまった。
「ルークさん、似合ってますか?」
「その、何というか、どう言っていいか迷うくらい可愛い、と思う」
「無理に飾った言葉にしなくていいんですよ。ちゃんとどう言えばいいか分かってるじゃないですか、可愛いって」
「それと、今は初夏だからいいが、冬はもっと分厚い服を着た方がいいぞ」
「ドラゴンには体感温度を自分で操作する器官が備わっているので寒くなってもこれで大丈夫ですよ」
「そうか。まあ、寝よう」
俺がベッドに入ると、後から入ってきらリーヴァが俺を後ろから抱きしめてきた。
「お、おい、胸が頭に当たってちょっと気恥ずかしいんだが…」
「柔らかくて気持ちいいと思ったんですけど…。いけませんでしたか?」
「いや、だからこそ、かな」
「たまに人間ってわかんないですね」
「それにしても、人間との交流があんまり無いにしてはちょっと人間のあれこれに詳しいが、何かあったのか?」
「実は、私の幼馴染のドラゴンにも人間になれるのがいるんですよ。ただ、4,5年前に大喧嘩してからは顔すら見ていませんが」
「それで、その友達から色々聞いたってことか?」
「そうです。が、彼女は友達ではありません。何というか、腐れ縁のような関係でしたから」
不意にリーヴァは俺の左耳を甘嚙みしてきた。
「きゅ、急に何だよ」
「今日の1日で、前から好きだったルークさんをもっと大好きになりました。次にドラゴンの姿に戻った時、本当にルークさんを食べてしまわないか自分が心配です。」
「それは大げさにもほどがあるだろ」
「やっぱり、お風呂なんか入らずにルークさんの体を舐めてしまえばよかった」
「そこまでやりたいのか…」
「それと、ルークさんは私を妻にする気はありませんか?」
「リーヴァを妻に?俺としては大歓迎だな。他の男に奪われたらショックだからな」
「本当に、私なんかがルークさんの女でいいんですか?」
「逆に、リーヴァ以外の誰が俺の女になるんだよ。2年も相棒やっててよく謙遜しようと思うな」
「私はまだ、ルークさんのことを少ししかしらないんです。でも、普段の竜騎士としてのあなたを見ただけでなく、今日のデートを通して思ったんです。あなたのドラゴンでよかった、って。そもそも、人間化できなければ今日のような日はなかったんですけど」
「そうだな。リーヴァが人間化しなければ俺が好きだって打ち明けられることもなかったワケだしな。結婚するか」
「…結婚、やっぱり怖いです」
「どうして?」
「だって、そうすると今までの関係が壊れたりとか、しませんか?」
「もう今日の時点で壊れただろ?ただの相棒から恋人にな。だから、結婚しても問題ないんだよ」
「そうですか。なら、夫婦の誓いのキスとやらでもしますか?」
「そんなことも知ってるのか。いいぞ」
そして、俺とリーヴァは寝る前に熱い口づけを交わした。
はぁーーー…。キスのしすぎでドキドキして寝れなくなったわ…。
続く
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