第4話 竜騎士、メロメロになる

俺は今、酔って歩けなくなったリリアを背負い、左腕をリーヴァに抱きつかれながら寮に向かって歩いていた。


「ルークさん、私も背負ってくださいよ~」

「もう十二分に愛を背負ってるからいいよ。」

「私自身を背負ってくださいよ~!!言い逃れさせませんよ!」

「分かった、いずれ機会があればな」

「今日、寮に帰ってすぐにしてくださいよ!」

「俺、リリアの部屋知らないから今日は俺の部屋に泊めなくちゃいけないんだが」

「…それって、リリアちゃんがルークさんと一緒に寝るんですか?」

「いや、リーヴァ用のベッドに寝かせばいいから今日はリーヴァと一緒に寝る」

「それって、私がルークさんと同じベッドで寝るってことですか!?」

「まあ、そうなるな」

「…今日はシャワー浴びないでくださいね?」

「俺の体をなめ回す気か?寝れなくなるからやめてくれ。明日は訓練に参加したいから寝不足になんてなりたくない」

「いいじゃないですか。私がアドレナリン暴走の魔法をかけてあげれば大丈夫ですよ」

「そしたら明日の夜も寝れんくなるわ」


そんなことを言いながら帰っていると、すぐに寮についた。



「本当にシャワー浴びちゃうんですか?」

「いつリリアの酔いが覚めるか分かんないからなめ回すのは今度にしてくれ」

「つまり、リリアちゃんがどんな状況でも起きないように催眠魔法をかければなめ回してもいいってことですね!分かりました」

「そういう問題じゃない。とりあえず俺はシャワー入るぞ」

「私が体を洗いましょうか?いや、やらせてください!どうか、この通りです!」


リーヴァは土下座で懇願してきた。そんなに一緒に風呂入りたいのか?


「…。仕方ない、リリアに催眠魔法かけたら体洗うくらいはいいぞ」

「分かりました!」


そしてリーヴァがベッドの方に行ってすぐ、紫色の光が見えてすぐに戻って来た。

無詠唱魔法か。ドラゴンにできても人間にはできないな。



俺が服を脱ぎ終える頃になってやっとリーヴァは戻ってきた。


「何やってたんだよ。俺を洗ってくれるんじゃないのか?」

「いや、その…。妄想するだけで恥ずかしくなっちゃってですね…」

「恥ずかしがるくらいなら別にいいよ。俺はただリーヴァに懇願されて仕方なく許可しただけで…」

「やっぱりせっかく許可してもらったのに入らないワケにはいきません!入りますよ」


そう言うとリーヴァのワンピースが何故か発光し、発光が収まる頃にはリーヴァは体にタオルを巻きつけていた。


「ワンピースは素粒子レベルに分解して体に吸収しました。タオルは鱗の一部を変化させたので外れることはないですよ」

「っていうか、鱗から服を生成できたんなら買いに行く必要なかったじゃん」

「いえ、私も夕方まで鱗を変化させるなんて思いついてなかったですし、それに、私が想像できないような可愛い服とかいっぱい見つかったので結果オーライです」

「そうか。…タオルするってことは、やっぱり恥ずかしいんだな」

「いえ、ただルークさんが目のやり場に困らないようにと思ってやったことですが。もしかして、裸で入ってほしいですか?いいですよ。互いに裸を見合うっていうのもなかなか…」

「おい、さっきからどこ見てるんだ?まだいい歳じゃないぞ」

「あっ…、はい…。」



結局俺もリーヴァも裸のまま風呂に入ることになった。


「へぇ~。シャワーだけだと思ってましたけど、まさかお風呂まであるとは…」

「だから風呂沸かしといた。体洗い終わったら一緒に入るか」

「はい、よろこんで!」


俺は誰かに体を洗われるのはもう10年以上振りだ。最後は6歳の誕生日の前夜だったか。

リーヴァが俺にエロいことをしてこなければいいんだが。


「それじゃあ、まず頭洗いますよ」


久しぶりで何だか不思議な感じがする、他人に頭を洗われるのって。

俺が頭を洗われる感触に浸っていると、耳元にリーヴァが息をそっと吹きかけてきた。


「ふぁっ!?」

「ふふっ。ルークさん、変な声出ましたよ」

「し、仕方ないだろ。そういうの慣れてないんだから」

「なんか久しぶりに弟っぽくて可愛いです」

「弟扱いするな。俺たちって一応カップルみたいなモンだろ?」

「一応っていうか、私たちはもうカップルですよ。デートも行ったし、こうやって一緒にお風呂も入って。それに、お互い好きじゃないですか」

「…そ、そりゃそうだな」


それから頭の泡を洗い流し、順調に体を洗ってくれていたが、胸部から腹部を見回して急に手が止まった。


「ううっ…、私はバカでした。一緒にお風呂に入る段階まで来たのに何でなめ回さなかったんでしょう…。ああ、この割れた腹筋。割れ目に沿って舐めるのを恥ずかしそうにしているルークさんを想像するだけで…」

「ちゃんと洗ってくれ。じゃないと俺もイタズラし返すぞ?」

「ぜひともお願いします!」

「あ、やっぱ止めとく」

「何でですか~!!」



そして、俺がリーヴァを洗う番になった。ちょっとドキドキするが、大きい心音を聞かれるとからかわれるだろうか。


「髪、どこから洗えばいいか?」

「どこからでもいいですよ」

「分かった」


俺はその髪にシャンプーをつけて泡立て始めた。


「やっぱり綺麗だな、この髪」

「お褒めにあずかり光栄です、ルークさん。そうだ、この髪で服やアクセサリーを作って売れば、大儲けできるんじゃないですか?」

「…この髪は俺に独り占めさせてほしい」

「え?」

「…急に変なこと言ってゴメン。なんか今日は疲れてるみたいだ」

「私はルークさんの相棒兼彼女ですから、これからもルークさんのことをメロメロにしちゃいますよ!」


…俺は倒れたらしい。


続く

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