第6話 文乃のプレゼント

時間になったので温泉施設から温海の家へ。

予定していた18時に温海の家に到着したけど、ついに温海の家におじゃまする事が出来る。


「温海の部屋についに入れるのか」

「そうしたいけど、もうお姉ちゃんが食事準備をしてしているわ」

「食事の後でもかまわないよ」

「確か、20時には文乃の自宅の最寄り駅に着いてないとだめなんでしょ?」

「そうなんだけど、そんなに時間がかかるの?」

「多分、1時間はかかるけど、駅までの移動を考えるとそんなにゆっくりできないわよ」


温海の家から駅まで大体15分かかるけど、乗る予定の電車は19時47分なので

ゆっくりできそうでゆっくりできないかもしれない。

温海の部屋に入れなくても、家にあがらせてもらっただけで十分かも。


「どうするかは後で考えて、ひとまず上がっていいかな」

「そうね、中に入りましょう」


温海の家の中に入るが、中は広いけどメイドや執事がいる訳もなく

いたって普通の家ではあるが、温海がただいまというとお姉さんが出迎えてた。


「ただいま」

「お帰り、温海ちゃん。文乃ちゃんもいらっしゃい」

「こんばは、成子さん。おじゃまします」


温海のお姉さんの成子さんとは何度か会っている。


「料理は準備してありますから、手を洗ってからダイニングへ来てくださいね」

「わかりました」

「洗面所はこっちよ」


洗面所で手洗をして、ダイニングへ向かうと料理が準備されていた。


「文乃ちゃんはこちらへ座ってね」

「わかりました」


わたしと温海が席に着くと成子さんも席に着く。


「温海ちゃん、誕生日おめでとう」

「温海、おめでとう」

「ありがと」

「では、いただきますか」

「「いただきます」」


温海の誕生日を祝って食事が始まる。

出される食事は成子が作ったり、バイトをしているお店で作ってくれたそうだ。

温海のお姉さんは有名店でバイトをしているそうだけど、わたしも名前は聞いたことある。

高くて混んでいるので行った事はないけど、ネットでもテレビでもよく紹介されているお店。

有名店だけあって、どれもおいしいがメインのローストキチンは今も焼いていて

いい匂いがしている。


「ローストキチンが焼けたわよ」


成子が出来立てのローストチキンを運んできたけど、確かにおいしそう。

キチンを丸ごと焼いてけど、お店独自のスパイスとこだわりの塩を使っているそうだ。

切り分けられたキチンを食べるけど、秘伝スパイス香りと塩が鶏肉の味を

上手に引き出してとっても美味しい。


「とっても美味しいです」

「ありがとうね」

「他の料理ももちろんおいしいですが、ローストチキンは格別ですね」

「下ごしらえはお店秘伝のスパスパと塩を使うから、お店でしたけど

焼きたてだから美味しいでしょ」

「はい。これならいくらでも食べられます」

「そう、沢山あるから食べてね」

「わかりました」


プールで遊んだでお腹がすいたのもあるけど、美味しくて箸がとまらない。


「少しは遠慮しなさいよ」

「そうしたいけど、美味しくて箸がとまらないんだ」

「遠慮しなくてもいいわよ」


成子さんもそう言うので、わたしも気にしない事にする。


「でも、夕ちゃんも残念だったわね。夕ちゃんの分のお料理も

用意したけど、余っちゃうわね」

「熱が出たから仕方がないわ」

「夕も一緒に温海の誕生日を祝いかったけど、また来年だね」

「そうね……、また来年」


温海がなんかしみじみ言うけど、なんでだろう。

来年は受験があるから、あまりゆっくりできないからかな。


「そうそう、物が届いてたけど、差出人が文乃ちゃんだからプレゼンとかしら」

「はい、そうです。ネットで注文しておきました」

「やっぱりそうなのね。今もってくるわ」


成子さんがリビングから大きい箱を持って来た。


「やけに大きいじゃない。中身は何なの?」

「それは開けてのお楽しみ」


中身は夕が教えてくれた温海が好きなクマのぬいぐるみ。

大きなサイズなので、持ち運びが大変な上、サプライズもできないので

ネットで買って温海の家に直接届けた。


「開けていい?」

「ここで開けるより、温海の部屋で開けた方がいいかな」

「わかったわ。後で開けるわ」


中身を見るのは後にしたが、食事を早く終えて温海の部屋行く為でもある。

ただ、量が結構あり成子さんと話していたら、気づいたらもう19時を過ぎていた。


「あれ、もう19時過ぎたのか」

「少し余裕を見て、あと20分ぐらいしかないわね」

「うー、まだケーキを食べてないけど、ケーキだけは絶対に食べる」


有名店のケーキなので、ケーキだけは絶対に食べておきたい。

本当は温海の部屋に行きたかったけど、時間がないから仕方がない。


「わかったわ。切り分けてくるね」


成子さんがケーキを切り分けてくれたけど。

ケーキはスポンジはしっかりしてるけど、ふわっとしていて生クリームも

丁度いい甘さで本当においしい。

成子さんが夕の分が余るので持って帰ってもいいと言われたけど

移動時間が50分ほどあるので季節的な事も考えて残念だけど諦めた。


「もう19時15分なので、そろそろ行かないと」

「あまり時間がなくて残念。いつでもいいから、また遊びに来てね」

「わかりました。料理はすべておしいかったです、ごちそうさまでした」

「いえいえ。温海ちゃん、駅まで送っていくでしょ?」

「そのつもりよ。さ、行くわよ」

「成子さん、おじゃましました」

「文乃ちゃん、今日は温海ちゃんと一緒にいてくれてありがとうね。気をつけて帰って」


思ったより時間がないので、ちょっと急ぎ足で駅へ向かったが電車が来る5分前には駅にはついた。


「今日はありがとね、文乃」

「どちらかというと、おごってもらったこっちがお礼をする方かもね」

「あ、あれはあたしがしたかったからしただけだからね」

「ならいいけど、夕も一緒だったらもっと良かったかな」

「そうだけど、文乃と2人でも・・・・・・十分楽しかったから」

「わたしも温海と一緒で楽しかったよ」

「そ、そう……」


温海はちょっと照れるけど、実際楽しかったからね。

はじめは心配したけど、普通には話せてそうでもなかったしね。


「そろそろ電車の時間だから、行くね」

「気を付けて帰りなさいよ」

「温海もね」


わたしは温海と別れて、家路につく。

スマホを見ると、夕からのメッセージが届いていたけど

熱は少し下がったけど、まだ調子は悪いそうだ。

あと、今日あった事を教えてと合ったので、プールと温泉に行った事と

教えると


『温海ちゃんの裸はみてるから、文乃ちゃんの裸が見たかたよ~』


と返信があったけど、温泉だから裸なのは間違いないけど誤解されそう。


 自宅の最寄り駅に着くと、お父さんが車で迎えに来ていたが20時にまでに

最寄り駅につくのはこのためだった。

特に門限はないけど、女の子が1人夜道を歩くのは心配だから迎えに来てくれた。

来なくても良かったけど、思ったより疲れから来てくれてよかった。

今思えば温海の家にお泊りしても良かったかもしれないけど、温海の都合もあるからね。

ただ、来年は夕と3人でお泊りしようと、来年は温海に提案してみようかな。


――――――


文乃が帰った後、プレゼントの箱を開けると欲しかった人気のクマのぬいぐるみだった。

大きさは50㎝程あり人気があるだけあって値段も結構高くて、文乃が買うには大変だと思う。

夕があたしが欲しいって教えたと思うけど、値段が高くてあたしも買うか悩んでた物だ。

文乃はおごってもらてって悪いって思ったけど、それ以上の物をプレゼントしてくれたけど

全く、文乃ったら無理しちゃって。


 わたしはスマホを手に取り「ありがとう」とだけ送っておいた。

あと、夕からのメッセージも届いてたけど、熱が下がった事と


『温海ちゃんだけ、文乃ちゃんの裸をみてずるい~』


となんか誤解されそうなメッセージも届いていた。

温泉だから、裸を見たから間違いじゃないけど。


『元気になったら、3人へ行こう』

返信したら、文乃からも無事に帰宅しとメッセージを届いて安心した。


時計を見ると、まだ20時30分だけど、昨日は眠れなくて

今日は疲れたから早いけど、寝る事にした。

昼間に温泉に入ったから、シャワーで汗を流すだけにして

ベッドに入るけど、今まで抱いていたぬいぐるみでなく

今日からは文乃にもだったクマのぬいぐるみを抱いて眠りについた。 

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誕生日に2人きりになるのは許されますか? しいず @shiizuu

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