第2話 スライム式美少女変身術

(元気よく)

きゅぴぃっ


ではでは〜


これからたくさんご奉仕させてくださいね


ご主人様っ


ラピス、せいいっぱいがんばります!


え〜っと、まずは……


このカッコウはありえないですよねっ


せっかく人間の町にやってきて


ご主人様のおうちにいるのに


こんなスライム丸出しの姿じゃ、恥ずかしいです


(驚いて)

きゅぴっ!?


か、かわいいですか?


この姿でもですか?


だってだって、魔物ですよ!?


ダンジョンに巣食う人類の敵さんですよ!?


それでもかわいいものはかわいい、と……


(感激して)

きゅぴるるんっ!


う、嬉しいです〜!


ご主人様、なんてお優しいお言葉!


命を救っていただいて


ステキな名前もくださって


そのうえ、そんなふうに言ってもらえるなんて


か・ん・げ・きです〜!


ラピス、一生お仕えします〜!


(少し悩みながら)

ん〜、でもでも……


せっかくご主人様が褒めてくださった


この姿ですけど~


せっかく憧れの人間の世界にやってきたので


できれば変身したいな〜と思うのですが


いいでしょうか、ご主人様?


どんなふうにか、と聞かれますと……


それは見てのお楽しみ


……じゃ、ダメでしょうか〜?


(嬉しそうに)

オーケーですか?


ありがとうございます!


はい、もしダメだったとしても


すぐに元の姿に戻れますので!


いっぺん見てみてほしいですっ


ではでは、ちょちょ~いっとへんし〜ん!


しちゃいますね


(慌てて)

ぴゅきっ!?


ご主人様、聞いてました?


ラピス、変身するんですよ!?


「うん」じゃなくて……


そんなにじーっと見ちゃダメです!


あっち向いててください!


「なんでっ」て……


(恥ずかしそうに)

あ、当たり前じゃないですか!?


スライムにとって変身を覗かれるのは


と〜っても恥ずかしいことなんです!


きゅぴぃぃ


もう……


乙女にこんなこと言わせないでください〜


いくらご主人様でも


そんなのまだ早すぎます〜


分かりましたか、ご主人様?


「人間の女の子が着替えを覗かれるようなもの」ですか?


そうそう、たぶんそんな感じです!


分かってもらえて何よりです


(気を取り直したように)

じゃあ、今度こそ変身しますから


ぜ〜ったい、こっち向いちゃダメですよ!


もし覗いたら鼻にくっついて


窒息の刑にしちゃいますからねっ!?


(背を向けてるのを確認しながら)

見えて、ませんよね?


鏡とか使ってませんよね?


それでは、い、いきますっ


(気合い入れたかけ声で)

へ〜んしんッ、それっ!


SE:魔法少女が変身するような効果音

(ここからラピスの声音は女性らしいものに)

ご主人様……


もうこっちを向いてもいいですよ


きゅぴっ


いかがですか、ご主人様?


ラピスのこの姿


ゲームで作ってたマイアバターをもとに


ご主人様にお仕えするということで


メイドさん要素も加えて


変身してみました


ちゃんと服に見えるように


色や形も調整しているんですよ~


目と髪の色はご主人様がラピスラズリのようだと名づけてくださった


元の姿の色を残してみました


「どこからどう見ても人間の女の子」ですか?


「しかも、とびっきりの美少女……」


(とても嬉しそうに)

きゅぴるんっ


やった~!


嬉しいです〜!


人間の男の方の目から見てもそう見えるんですね


良かった~


がんばって変身したカイがありましたっ!


さすがに、服の感触は再現できないので


触ると変だってバレちゃいますけど……


はい、素肌にボディペイントしたみたいな感じになっちゃいます……


でもでもっ!


手足や顔はできるだけ人肌に近くなるように


柔らかさや感触を調整してみましたっ!


(少し甘えるように)

ご主人様~


ちゃんと人間の女の子の肌を再現できてるか


たしかめてみて欲しいです~


握手してみてください、握手~


SE:グチャッとゼリー状のものが潰れるような音

(あわてて)

ぴゅきっ!?


グチャッってなっちゃいました!?


ご、ごめんなさいご主人様~


硬さがぜんぜん足りませんでした~!


いえ、ラピスは痛くもなんともないのですが


ご主人様は平気でしたか?


驚かせてごめんなさい~!


大丈夫ですか?


ぴゅきゅうう


笑って許してくださって……


やっぱり優しいです、ご主人様~!


(気を取り直して)

ありがとうございます~


もう一回!


今度こそがんばって調整してみます!


五本の指を作るの、ちょっと難しいのです!


(集中して)

ぴゅきゅうう


こ、これならどうでしょう?


もう一回握手、してくださいっ!


(ちょっとガッカリして)

今度は硬すぎですか~?


ぴゅきゅぅ……


ご主人様の手の感触をマネしてみたんですけど……


(感心したように)

あっ、なるほど~


男の人と女の人だと手の柔らかさも違うんですね!


女の子の手がそんなにカチコチなのも


変なんですね


ではでは、三度目の正直ですっ


(真剣な感じで)

きゅきゅきゅう~


こんな感じで、どうでしょう?


いざ、尋常に握手ですっ、ご主人様!


……「今度は完璧」ですか?


(喜んで)

きゅぴいっ!


やったぁ~!


じゃあじゃあ、腕とか足とか顔とかも触って確かめてください


ちゃんと人肌みたいになってますか?


もっと遠慮なくぺたぺたしてくださいっ


んっ……くすっ……ぴゅきゅっ……


ご、ごめんなさい


ちょっとくすぐったくて……


声が出てしまいましたっ!


でも、ちょっとくすぐったかっただけです


大丈夫ですので


もっと、じゃんじゃん


おさわりしてくださいっ!


ぴゅきゅぅ……んんっ……んふぅ……


ご主人様の手でなでなでされると


なんだか気持ちいいです~


(我に返ったように)

ぴゅきっ?


そ、それで、どうでした?


ちゃんと人肌っぽくなってますか?


いい感じですか?


やった~


(勢い込んで)

では、次ですっ


ここはどうですか?


そう、お胸です!


(力説して)

人間の女の子のお胸ってすごいですよね


アニメでたくさんの女の子のおっぱい見ましたけど……


ジャンプしたりすると


ぷるぷるって震えるんですよね


わたしたちスライムみたいに!


でも、ただ柔らかいだけじゃないんですよね


この形状を保つには弾力とある程度の硬さも必要なはずで……


まさに芸術品ですね


人間の女の子のおっぱいは!


なので、ここは特別気合い入れましたっ


固すぎず、柔らかすぎず絶妙のバランスになるように


細心の注意を払ってます


自慢のおっぱいです!


さあ、わたしがどれだけ忠実に再現できているか


確かめて頂けますか、ご主人様?


(ラピス、胸を腕でもちあげながら迫る)

(少し不審そうに)

ぴゅきゅぅ……


ご主人様、「よくできてると思う」って……


見ただけじゃ分かりませんよね?


ちゃんと触ってたしかめてください


ラピス、やるからには完璧にやりたいんです!


さあ、お願いします


SE:ぷにっという音

ちょっと、ご主人様~?


そんな指先でちょこっと触っただけじゃ


分かりませんよね?


もっとほらっ、こうガッツリと!


両手でわしづかみにしてですね……


思いっきり揉みしだいてください


大丈夫です、スライムの身体はこれしきのことでは


傷つきませんので!


(ラピス、男の手をつかんで胸に触らせる)

んっ……きゅうっ……んんっ……きゅぴいっ


もっと、しっかり触ってください~


谷間の感じとかもたしかめて


ちゃんとできてるかどうか……


ふきゅっ……んん~……んきゅうっ…………ぴゅきぃっ……


そう、その調子です、ご主人様~


(一息ついて)

ふきゅう~


さあ、どうですか感想は?


ぷにぷにですか、ふわふわですか?


どっちもですか!?


それって合格ってことですか?


(喜んで)

きゅぴんっ!


やったぁ~!


これでラピスもおっぱいマスターです~!


(きょとんとして)

「ホンモノの女子のおっぱいを揉んだことがないから


保証はできない」ですか?


(愕然として)

きゅぴんっ!?


な、なんと……!


なんということでしょう!?


ラピス、ご主人様の大切なおっぱい初揉みを


奪ってしまったのですか!?


それであんなにためらっていたんですね!?


きゅぴいぃ〜


ごめんなさい〜


(おそるおそる)

やっぱり初めてはスライムなんかじゃなくて


人間の女の子が良かったですよね?


「そんなことない」?


「ふわふわしてて気持ちよかった」?


(感激して)

きゅぴるるるんっ!


お優しい!


なんてお優しいのでしょう、ご主人様は!?


ラピスのこと気づかってそんなふうに言ってくださるのですね!


こんなにお優しいご主人様を放っておいて


人間の女の子たちはいったい何をやってるのでしょう!?


「出会いがなくて」?


そうなのですね……


(勢い込んで)

このスライムの偽乳でよければ


思う存分揉んでくださいっ!


これもご恩返しです!


ご主人様はおっきなおっぱいがお好みですか?


それとも小ぶりで控えめなほうが良いでしょうか?


どうぞご遠慮なくお伝えください!


ラピス、スライムですので!


身長だっておっぱいのサイズだって


ご主人様好みに変身できます


さあさあ、どうしますか、ご主人様?


「そのままが一番」ですか?


(気絶しそうなくらい感激して)

きゅぴいぃんっ!?


優しい!!


お優し過ぎます、ご主人様!


ありのままのラピスでいいなんて……!


ではでは、このままの姿でご奉仕させて頂きたいと思います!


改めてラピスのことよろしくお願いします


ご主人様っ! きゅぴっ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る