第3話 スライム式とろとろマッサージ

(甘えるように)

ご主人様~


ラピスもご主人様のこと、触ってみていいですか~?


ホンモノの人の肌がどんなものか


ちゃんと触ってたしかめたいです~


いいですか?


ぴきゅっ


ありがとうございます~


じゃあ、腕から……


さわさわ……さわさわ……さわさわ……


ぴきゅう~


ご主人様すごいです~


腕に筋肉があって固いです~


二の腕のとこに力こぶがあります~


じゃあ、今度はお胸のほうを……


ぺたぺた……ぺたぺた……ぺたぺた……


きゅぴぃ〜


胸板も女の子のものとぜんぜん違いますっ!


ごつごつってしてます~


これでお互い、初めておっぱいを触りあった同士ですね


きゅぴっ

(弾む声で)

なんだかドキドキしますね


もっと色々触ってもいいですか?


人のこと、たくさん知りたいんです~


スライムの手に触られて不快じゃないですか?


「むしろ柔らかくて気持ちいい」ですか?


きゅぴぃ~


褒めてもらえて嬉しいです~


じゃあ、失礼して、こっちのほうも……


ぺたぺた……ぺたぺた……ぺたぺた……ぺたぺた……


(少し怒ったように)


ぴきゅ~?


ちょっとご主人様〜?


……これはどういうことですか?


なんでココ、こんなに硬くしてるんですか〜?


なんでもなくないです!


ちゃんとよく見せてください!


ぴきぃ~


やっぱりです!


肩も背中もガチガチじゃないですか!?


これ、男の人だとしても硬すぎです~


(叱るように)

ちゃんと知ってますよ


肩凝りっていうんですよね、これ?


背中もバキバキです~


「仕事が大変」なんですか?


ご主人様っ、メ~ッです!


(悲しそうに)

そんなにがんばりすぎたら


ご主人様の大切なお身体が壊れてしまいます~


そんなことになったら、ラピス悲しいです~


ぴきゅう~


「もう無理はしない」?


ほんとですかっ?


「ラピスが悲しむから」ですか?


(嬉しそうに)

ぴきゅう~


ぜったい、ぜったいですよっ!


ご主人様は自分を大事にしてください


約束ですっ!


ぴきゅう~


ありがとうございます~


ご主人様を信じます


あっ、そしたら……


(張り切って)

今からラピスが


スライム式マッサージで


ご主人様の肩をやわらか~くしてさしあげますっ


きゅぴぃっ


ご存知ありませんか?


大丈夫ですっ


だまされたと思って


ラピスにお任せくださいっ!


ご主人様もラピスを信じてくださる?


きゅぴい~


嬉しいです~!


はいです、こちらこそよろしくお願いします!


(SE:ドアを開ける音)

(ワクワクしながら)

ここがご主人様の寝室……


「そんなたいそうなものじゃない」?


いえいえ、たいそうなものです!


ダンジョンにはベッドなんてありませんでしたから!


この上で人間は横になって寝るのですね!


ドキドキです!


ワクワクです!


せっかく人の姿になったので


ラピスもご主人様といっしょに


寝てみたいです!


(我に返ったように)

あっ、そうでした


きゅぴぃ……


感動のあまり目的を忘れてました……


今日はマッサージをするのでした


ではでは、スライム式マッサージ


やっていきたいと思いますっ!


(不審そうに)

ってご主人様……


なんで服を着たままねっころがろうとするんですか?


それじゃマッサージできませんよ?


(強気で)

当然です!


スライム式マッサージは


裸になってもらわないとできませんので!


はい、どうしてもです!


ちょっと逃げないでください、ご主人様〜


ラピスの何が不満なのですか〜?


(悲しそうに)

きゅぴぃ……


変です、ご主人様


なぜかラピスの目から水が出てきました


きゅぴっ!?


まさか、これが人間の脱水症状!?


ラピス、このまま干からびてしまうのでしょうか〜?


ふぇぇん、もっと水が出てきました〜


ぴゅきっ?


涙……?


これが、あの……?


人間がすっごく悲しかったり嬉しかったりしたとき出すという……


(嬉しそうに)

きゅぴぃ〜


ラピス、また一歩人間に近づけました〜


これが涙……


涙なんですねっ!


「泣かせてごめん」ですか


(あわてたように)

ぴきゅうう〜


ご主人様は何も悪くないのです!


ご主人様はラピスにとってもとってもお優しいので


きっとラピスにはまだ分からない


人間の事情があるのですね


勝手に泣いたラピスが悪い子なのです


きゅぴっ?


「そんなことない」?


ラピスはとっても良い子?


ほ、ほんとに?


(感激して)

きゅぴい〜、ご主人様〜


SE:衣擦れの音

あっ、服脱いでくださるのですか!?


ラピスのために?


きゅぴいぃ〜


ありがとうございます〜


やっぱりご主人様はお優しいです〜


「腰にタオルだけ巻かせてほしい」?


きゅぴっ?


分かりましたっ!


それにどんな意味があるのか


ラピスにはよくわかりませんが


ご主人様の思うようにしてください!


ラピス、タオル越しでも


ちゃんとご主人様のお身体を癒せるよう


せいいっぱいがんばりますので!


それではご主人様っ


うつむせに寝っころがっていただけますか?


おお、これが人間のうつむせ……


初めて実物を見ました


感動です!


では、失礼しますっ


(少し真剣な声で)

あ、ご主人様


マッサージのあいだはうしろ


振り向いちゃダメですよ


今からやるのはスライム式マッサージです


体の一部を元のスライム状に変形させるので


ご主人様に見られたら


ラピス、とってもとっても恥ずかしいです


きゅぴぃ〜……


お約束いただけますか?


(嬉しそうに)

ありがとうございます


やっぱりご主人様はお優しいですっ


では、スライム式密着マッサージ


始めますね


まずは身体にいい成分を体内で調合します~


肌にしっかり染みこませられるように


オイルみたいにして分泌して、と……


できました~


SE:粘液がしたたるような音

きゅぴいっ


どうですか、ご主人様?


いい匂い、しませんか?


(きょとんとして)

えっ、これくらいフツーですよ?


スライム乙女のたしなみというものです


(張り切って)

では、塗り塗りしてきますっ


ご主人様が気持ちいいように


ラピスの体温、少し高めに調節します~


両手にたっぷりオイルをつけて……


SE:オイルを塗る音

ぬりぬり~……ぬりぬり~……ぬりぬり~……


ぴきゅうっ


人間の手って指が五本もあって


とってもぬりぬりしやすいです


なんだか楽しくなってきましたっ


もっと全体に広げていきます~


SE:オイルを塗る音

ぬりぬり~……ぬりぬり~……ぬりぬり~


どうですか、気持ちいいですか~?


(びっくりして)

ぴきゅっ!?


ご主人様……


こっち見ちゃダメです!


ラピスの目を見て返事しようとしてくれるのは嬉しいですけど~


いま、ラピス、ご主人様にオイルをぬりぬりしやすいように


腕を……その、ちょっと変形させてますので……


「どうなってるか見たい」?


(強い口調で)

ダメですダメ~!


きゅきゅうっ


恥ずかしいですぅ~


もう~


おとなしくぬりぬりされててください、ご主人様っ!


はい、オイルぬりぬりはおしまいです


次は、ラピスの身体でご主人様のお身体を


ぎゅっ、ぎゅってマッサージしますね


はい、ご主人様の上にぴたって乗ります~


SE:スライムの体が重なる音

ぴたっ……


(感激して)

ぴきゅうぅぅ


ご主人様の背中……


おっきくて、あったかくて……


すっごく落ち着きます~


(ささやき声で)

どうですか、ご主人様?


ラピスの身体、気持ちいいですか?


ご主人様とぴったりくっつけるように


半分体を液体状にしてるので


ゼッタイこっち見ちゃダメですからね?


でも、ご主人様の大好きなおっぱいは


ちゃんと人間のときの弾力のままですよ


「ひどい誤解」ですか?


(きょとんとして)

あれ、ラピスなんか間違ってました?


間違ってませんか?


ぴきゅっ、良かったです~


(再びささやき声で)

じゃあ……


ご主人様にぴったりくっついたまま


おっぱいでオイルすりすり~ってしますね


はい、さっきのぬりぬりだけだと肌の毛穴まで


しっかり染みこませられませんので……


必要なんです


ラピスを信じてください~


ありがとうございます~


ではいきますっ


SE:背中にスライムの体がこすれる音

すりすり~……すりすり~……すりすり~……


どうですか~?


ちゃんとおっぱいがご主人様のお背中やお腰に


当たってる分かりますか~?


SE:背中にスライムの体がこすれる音

すりすり~……すりすり~……すりすり~……


はい、しっかり染みこみました~


では今度はこのままお胸やお腹にも


オイルを塗っていきますね


あっ、ご主人様は動かなくて大丈夫ですっ


こうしてぴったりくっついたまま……


少しずつ腕を柔らかく液体状にしていって……


ベッドとご主人様のあいだに滑り込ませて……


(甘い口調で)

ぴきゅうっ


ラピス、ご主人様の全部を包んじゃいました~


えへへへ~


では前のほうも……


SE:全身をスライムの体が包む音

ぬりぬり……ぬりぬり……ぬりぬり……ぬりぬり……


お胸もお腹も背中もお腰も


ご主人様のぜんぶぜんぶを~


ぬりぬり……ぬりぬり……ぬりぬり……ぬりぬり……


(不安そうに)

ぴきゅっ!?


ご主人様、痛かったですか!?


いま、お身体びくんってなりました!


まだビクビクしてますっ


ラピス、何かいけないことしてしまったでしょうか!?


平気ですか?


ほんとに痛くないですか?


(ほっとして)

ぴきゅう~


それならいいんですけど……


もし何かあったら遠慮なく言ってください


ラピス、まだ人のこと勉強中で……


とんちんかんなことしてしまうかもしれないので!


「そんなことない」?


「とっても気持ちよかった」?


(感動して)

ぴきゅううぅ


良かったです~


ご主人様はほんとにほんとに優しいですぅ


ラピス、また目から水が出てきそうですぅ


はいっ、これでマッサージは終了です


お疲れさまでした、ご主人様っ


あっ、まだ起き上がっちゃだめ


まだラピス、体半分ドロドロなので……


今のラピスを見ちゃだめ~、ですっ!

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