Ⅱ 悠久なる旅路の果てに

<台本概要>

【台本名】

 フラグメント・ストーリーズ:アンドラアスタ×ファンタジア 第2弾

 『悠久なる旅路の果てに』


【作品情報】

 ジャンル:ファンタジー

 男女比 男:女:不問=2:2:0(総勢:4名)

 上演時間 30~35分


<アンドラアスタ×ファンタジアについて>

下記リンク先を参照ください

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330661664200401/episodes/16817330661664224459


<登場人物>

ルイーズ・アースミレイト Louise Earthmirate

 性別:女性、年齢:(見た目は20代前半)、台本表記:ルイーズ

  ロゼッタ大公国たいこうこくの【護国卿ロード・ガーディアン】で、物語の主人公。

  特異属性【星】の魔法を使え、魔法について天性てんせいの才能の持ち主。

  早くから両親を亡くしたため、残された弟の母親代わりを務めていた。

  現在は感情を表には出さずに、古めかしい言葉遣いをする。


 ヨシュア・アースミレイト Joshua Earthmileit

  性別:男性、年齢:(見た目は30代前半)、台本表記:ヨシュア

   ロゼッタ大公国たいこうこく軍に所属する軍人で、物語のもうひとりの主人公。

   温和おんわ心優こころやさしい人物で、元は士官学校しかんがっこうの教官であった。

   〝とある魔法実験〟によって100年以上生き続けている不老のヒト

   になっている。


 ギルベルト・フォン・ローゼンシュタイン Gilbert von Rosenstein

  性別:男性、年齢:(見た目は20代後半)、台本表記:ギルベルト

   ロゼッタ大公国たいこうこくの【護国卿ロード・ガーディアン】で、元々は名門貴族家

   ローゼンシュタイン侯爵こうしゃく家の次男。

   特異属性【闇】の魔法を使用し、傲岸不遜こうがんふそんかつ好戦こうせん的な性格であり、

   【護国卿ロード・ガーディアン】になっても性格せいかくは変わっていない。


 マグタレナ・ルフェーブル Magtalena Lefebvre

  性別:女性、年齢:30歳、台本表記:マグタレナ

   ロゼッタ大公国たいこうこく軍の軍令総長ぐんれいそうちょうを務める女性軍人で、

   ヨシュアが士官学校しかんがっこうの教官だった時の教え子のひとり。

   生真面目きまじめ性格せいかくであり、非情ひじょうてっしきれない自分を

  「軍のトップに立つべき人間ではない」と自虐じぎゃく的にひょうしている。


<用語説明>

アンドラスタ大陸

 地母神じぼしん・アンドラスタと子たる5柱の神によって創られた大陸。

 【魔導まどう国家】ロゼッタ大公国たいこうこく、【機鋼きこう国家】エリミネンス=グローリア

 帝国、【龍神りゅうじん国家】龍櫻國りゅうおうこく、【獣人じゅうじん国家】ユグドラシル誓約者同盟国せいやくしゃどうめいこく

 【天仕てんし国家】グラディス聖教国せいきょうこくの5つの大国と小さな国で形成されている。


五大国(ごたいこく)

 アンドラスタ大陸にある5つの大国を指し、他の国々と異なり大陸を創った

 地母神じぼしんの子たる神たちの恩恵おんけいを強く受けている。

 【魔導まどう国家】ロゼッタ大公国たいこうこく、【機鋼きこう国家】エリミネンス=グローリア

 帝国、【龍神りゅうじん国家】龍櫻國りゅうおうこく、【獣人じゅうじん国家】ユグドラシル誓約者同盟国せいやくしゃどうめいこく

 【天仕てんし国家】グラディス聖教国せいきょうこく五大国ごたいこくかぞえられている。


ロゼッタ大公国

 【女神めがみ】ロゼッタによって創生そうせいされ、その末裔まつえいたちが生きる『魔法まほう

 の国で、通称【魔導国家まどうこっか】。

 一年を通しておだやかな気候きこうであり、資源なども豊富にあることから

 大陸の中で最も裕福とされている。

 

護国卿(ロード・ガーディアン/ごこくきょう)

 各国の創生神そうせいしん神託しんたくによる使命をまっとうする為に行きることを代償だいしょうに、

 特殊な能力や強靭きょうじんな肉体を授かり不老の身となり、ヒトによっては

 人間性が希薄きはくになっていく者もいる。

 あくまで使命を第一とするため味方の犠牲ぎせいいとわない苛烈かれつさから

 『神の傀儡人かいらいびと』と揶揄やゆされる。

 龍櫻國りゅうおうこくのみ【護国卿】を「ごこくきょう」と読む。


エリミネンス=グローリア帝国

 【機神きしん】エリミネンスとグローリア王家と共に創生そうせいされた『機械』と

 『軍事』の国で、通称【機鋼きこう国家】。

 軍事力については大陸で1,2位を争い、他の国と異なり魔法を使える者

 は存在せず、また厳しい気候から資源確保が難しいが科学技術などの文明が

 他国よりも進んでいる。

 しかし、資源確保が困難であることから慢性的まんせいてき貧困ひんこんが問題となっている。


<配役表テンプレート>

台本名:『悠久なる旅路の果てに』

URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330661664200401/episodes/16817330661664989506


 ヨシュア・アースミレイト:

 ルイーズ・アースミレイト:

 ギルベルト・ローゼンシュタイン:

 マグタレナ・ルフェーブル:


 少年ヨシュア:※マグタレナ役との兼ね役(台本表記:少年)

 ロゼッタ大公王配:※ヨシュア役との兼ね役(台本表記:大公王配)

 公国武官:※ギルベルト役との兼ね役(台本表記:公国武官)

 近衛騎士:※マグタレナ役との兼ね役(台本表記:近衛騎士)

 公国軍人(男):※ギルベルト役との兼ね役(台本表記:公国軍人(男))

 公国軍人(女):※マグタレナ役との兼ね役(台本表記:公国軍人(女))


----------------キリトリ線----------------


※台詞検索にお役立てください。

☆:ルイーズ (♀)

〇:ヨシュア、ロゼッタ大公王配 (♂)

△:ギルベルト、公国武官、公国軍人(男) (♂)

□:マグタレナ、近衛騎士、少年ヨシュア、公国軍人(女) (♀)



<台本本編>

【アバンタイトル】


☆ルイーズN:【護国卿ロード・ガーディアン

       ――五つの大国たいこく創生そうせいした神によって選定せんていされ、特別な使命

       と能力ちから、そして不老ふろうさずかった存在。

       不老ふろうによる長命ちょうめいで、ヒトとしての意思や感情は次第しだい消滅しょうめつ

       し、神の傀儡かいらいへとした最強の騎士きし



(間)



☆ルイーズN:これは遠い昔の話、ある姉弟きょうだい追憶ついおく


□少年:お姉ちゃん! 待ってよ、お姉ちゃん!!


☆ルイーズ:ヨシュア……


□少年:帰ってくるよね?

    お城でのお務めを果たしたら必ず帰ってくるよね?


☆ルイーズ:…………。


☆ルイーズN:目の前の子に、今の私は何も言い返すことが出来ず、

       ただ抱き締める事しか出来なかった。


□少年:おねえ、ちゃん?


☆ルイーズN:私は選ばれた――いや、選ばれてしまったのだ。

       拒否権は存在しない。

       これは、神の意思なのだから……けれど。


☆ルイーズ:どんなに時間がかかっても……必ず……必ず!

      あなたの元に戻るから……絶対に……!!

      ……だから、それまでは良い子にしていてね。

      約束の指切り。


□少年:う……うん!


☆ルイーズN:約束の指切りをして、私は彼から離れる。

       先程まで聞こえた呼びかける声はもう聞こえなかった。

       例え、声が聞こえようとも振り返る訳にはいかない。

       あり得るはずのない約束を守るために、私には前に進む

       しかないのだ。



☆ルイーズ:『悠久ゆうきゅうなる旅路たびじてに』(※タイトルコール)



【シーン01】


△公国武官:エリミネンス=グローリア帝国軍と亡国機関ぼうこくきかん連合軍れんごうぐんは、

      公国こうこく首都・グラントゥールにも侵攻しんこうが近付きづつあります。

      何よりも要塞ようさい都市の3つの内2つ、ボールドヴィルと

      アルテミシアが陥落かんらくしたのが何よりも大きな痛手いたでです。


〇大公王配:マグタレナ・ルフェーブル軍令総長ぐんれいそうちょう

      我が軍における今後こんご戦略せんりゃくについてどうなっている?


□マグタレナ:はっ! 陛下へいか!!

       最後の要塞ようさい都市・アルザス=ロレーヌの防衛を

       絶対死守ししゅしなければなりません。

       しかし、他国たこく動向どうこう次第では戦況せんきょうは大きく変化します。

       北の龍櫻國りゅうおうこくは中立を保っていますが、南のユグドラシル

       誓約者同盟せいやくしゃどうめい帝国派ていこくは台頭たいとうしております。

       大公陛下たいこうへいか帝国派ていこくはであるユグドラシル義勇軍ぎゆうぐんと戦闘状態

       である以上、全戦力ぜんせんりょく集結しゅうけつが出来ないのが懸念事項けねんじこうでは

       あります……


〇大公王配:大公たいこう義勇軍ぎゆうぐん戦況せんきょうはどうなっている?


□マグタレナ:戦況せんきょうとしては大公陛下たいこうへいかひきいる我が軍が優勢ゆうせいを維持しています。

       今後は公国派こうこくはのユグドラシル同盟どうめい軍との合流ごうりゅうが予定されて

       いますが、帝国派ていこくはによる妨害工作ぼうがいこうさくで国内では混乱こんらん状態

       となっています。

       そして、他の都市にて大規模だいきぼな戦闘が行われているという

       情報が入ってきています。

       合流するにも、混乱こんらん鎮静化ちんせいかのために時間がかかることが

       予想されます。


〇大公王配:状況は厳しいな……まさにふくろのネズミとはこの事を言うのか……



【シーン02】


□マグタレナN:そして、時間は前へとさかのぼる。

        場所はロゼッタ大公国たいこうこくの首都・グラントゥールの中心部

        に存在する神殿。

        神殿内のある一室に、【護国卿ロード・ガーディアン】のひとり、

        ルイーズ・アースミレイトは眠っていた。


☆ルイーズ:――んっ、私は……眠っていたのか……

      久方振ひさかたぶりに、夢を見た。

      これは……私の記憶きおくの一部、か?

      ……何も思い出せない。

      しかし、懐旧かいきゅうじょういだくのは……如何いかに、んっ?

      これは、なみだ、か? 私はなみだを流しているのか?

      これ、理解不能。理由、不明。


□マグタレナN:すると、神託しんたくかね神殿しんでん内に鳴り響く。

        荘厳そうごんな音が、三度みたび鳴らされる。


□近衛騎士:失礼します、ルイーズ・アースミレイトきょう

      女神めがみかね三度みたび鳴りました。

      それ、すなわち――


☆ルイーズ:(※被せる様に)神託しんたくとき、来たれり。


□近衛騎士:そ、その通りでございます!

      女神めがみへの御同行ごどうこうをお願いします。

      ギルベルト・ローゼンシュタインきょうもお待ちです。


☆ルイーズ:相承知あいしょうちした。



(間)



△ギルベルト:久し振りだな、ルイーズ。

       最後に会ったのは80年前か。


☆ルイーズ:お前は――


△ギルベルト:んっ?


☆ルイーズ:此度こたび神託しんたく如何いかに考える?


△ギルベルト:特にない……と言えば、嘘になる。

       だが、俺たちは【護国卿ロード・ガーディアン】。

       神託しんたくそむかず、ただ、使命をまっとうする。

       それは一番、貴様が理解しているはずだ。


☆ルイーズ:これである。

      ――だが、女神めがみかね三度みたび鳴るとき


△ギルベルト:れ、すなわち、終焉しゅうえん託宣たくせん


☆ルイーズ:我らの終焉しゅうえんなり。そして、我らの命をもって。


△ギルベルト:【女神めがみ】をようし、公国こうこくを守護す。


☆ルイーズ:それが我ら――【護国卿ロード・ガーディアン】の使命なり。



【シーン03】


□マグタレナN:そして、時を戻る。

        公国存亡こうこくそんぼうの危機がせまりつつある状況。

        会議場にいた誰もがそれを回避かいひするために話し合うも、

        打開策だかいさくが出てこない現実に、誰もが絶望していた。


△公国武官:かねおと……これは!!


□マグタレナ:女神めがみかね

       かね三度みたび鳴るとき――れ、すなわち、神託しんたくときである。


□マグタレナN:会議場のとびらがゆっくりと開かれる。

        そして、2人の人物が入って来る。

       【護国卿ロード・ガーディアン】――の国を守護するために、神に選ばれた

        最強の騎士きし

        彼らに全員の視線が集まるも、ひるむ事無く毅然きぜんとしていた。

        それがより一層、彼らの神々こうごうしさを周りに実感させる。


△ギルベルト:【女神めがみ】ロゼッタより神託しんたくが下った!

       此度こたびの戦争によってロゼッタ大公国たいこうこく亡国ぼうこくの危機にある!!

       よってこの惨状さんじょううれいた【女神めがみ】よりなんじらに託宣たくせんを伝える。

       ――【護国卿ロード・ガーディアン】ルイーズ・アースミレイト、ギルベルト・

       フォン・ローゼンシュタインは此度こたびの戦争に参戦する。


□マグタレナN:議場ぎば全体がざわめき始める。

       【護国卿ロード・ガーディアン】が俗世ぞくせの争いに参戦する事は過去の歴史上

        あったことではない。

       とは言っても、2000年前以上の前に起きた〝神々の黄昏ラグナロク

       と呼ばれる大陸全体が消滅しょうめつする危機におちいった戦争以来いらいだ。

       それと同等に扱われる事態が今の戦争なのだということで

       驚きを隠せなかった。


〇大公王配:静粛せいしゅくに! 【護国卿ロード・ガーディアン】の御前ごぜんであるぞ!!

      ……感謝する。きょうらの助けを借りる事は何よりも有難ありがたい。


△ギルベルト:勘違かんちがいするな、守護の対象は貴様らではない。

       公国こうこくと【女神めがみ】――それだけだ、貴様らの命を保証するもの

       ではない。


〇大公王配:心得こころえている。


☆ルイーズ:そして、もうひとつ。

      我が魔法――古代魔法こだいまほう開闢の天を紊す七星剣セブンス・シスターズ】を発動する。


〇公国王配:その魔法は……! 待たれよ、アースミレイトきょう!!


△ギルベルト:不敬ふけいであるぞ! これは【女神めがみ】による運命の決定事項だ!!


〇公国王配:しかし、この公国こうこくべる者としては反対だ!!

      この絶望的状況じょうきょう打開だかいする可能性が高い方法ではあること

      は理解している!!

      しかし、そのためにどれほどの多くの命を代償だいしょうにするかは

      知っているはずだ!!

      それだけじゃない、きょうらの――


☆ルイーズ:(※遮るように)左様さよう……公国こうこくの為に、かてとなる

      英霊えいれい選定せんていせよ。

      それが出来なければ、国だけではない、貴公きこうらもほろぶだろう。


〇公国王配:くっ……!


☆ルイーズ:くせよ、我らに時間は残されていない。

      王として、早急たる判断を。


△ギルベルト:手筈てはずととの次第しだい、我らは戦場におもむく。

       努々ゆめゆめと自らの立場を忘れるな。


□マグタレナN:【護国卿ロード・ガーディアン】が議場から立ち去り、再び静寂せいじゃく

       包まれた空気がさわがしくなる。

       それには困難、憤怒ふんぬそして諦観ていかんが入り混じっていた。


□マグタレナ:せ、静粛せいしゅくに! 静粛せいしゅくに!! 陛下へいか御前ごぜんであるぞ!!


〇公国王配:…………致し方あるまいな。

      マグタレナ・ルフェーブル軍令総長ぐんれいそうちょう!!


□マグタレナ:はっ!


〇公国王配:ロゼッタ大公国たいこうこく第32代大公たいこう、アレクサンドリア・

      ルナ・ロゼッタの代理たる王配おうはい、ジークフリート・

      イスタンブルク・ロゼッタのもとめいじる!

      ――【護国卿ロード・ガーディアン】ルイーズ・アースミレイトきょうささげる英霊えいれい

      選定せんていを行え。

      これ勅命ちょくめいである、あらゆる事において、れは優先されるべき

      事項じこうである。


□マグタレナ:御意ぎょい

       …………よろしいのですね?


〇公国王配:あぁ……すまないな、軍令総長ぐんれいそうちょう

      いずれは、このとがは受けよう。

      諸君しょくん! 帝国が引き起こした戦争の狂気きょうきは大陸全土に広がり、

      勇敢ゆうかんな我が公国こうこく強敵きょうてきを相手に全身全霊ぜんしんぜんれいくし、平和を!

      勝利を勝ち取らなければならない!!

      ――諸君しょくんらに女神めがみ加護かごあれ!



【シーン04】


□マグタレナ:「英霊えいれい選定せんてい」……ていの良い言葉だが、

       要は「生贄いけにえささげる」と同義ではないか!!

       私は、一体どうすれば……古代魔法こだいまほうの発動には……

       私ひとりの命を犠牲ぎせいにしたとしても……

       ダメだ、りない! りなさすぎる!!

       どうすればいい……どうすればいいんだ……


〇ヨシュア:ルフェーブル軍令総長ぐんれいそうちょう


□マグタレナ:その声は……


〇ヨシュア:ヨシュア・アースミレイトです。

      至急しきゅう、ご相談したい事が……入室してもよろしいでしょうか?


□マグタレナ:えぇ、構いません。入室を許可します。


○ヨシュア:失礼します。


□マグタレナ:それで、相談事というのはなんでしょう?


○ヨシュア:どうして教えて下さらなかったのですか?


□マグタレナ:えっ?


○ヨシュア:【護国卿ロード・ガーディアン】の両名りょうめいがアルザス=ロレーヌ防衛戦に

      参加されるのを聞きました。

      そして、ルイーゼきょう古代魔法こだいまほう開闢の天を紊す七星剣セブンス・シスターズ】の発動

      の為に、かてとなる兵士へいしを探している事も。


□マグタレナ:……そうですか、貴方あなたの耳にも入ってしまいましたか。


〇ヨシュア:その大命たいめい、私にやらせて頂けませんか?


□マグタレナ:えっ……ちょっと、何を言って――


〇ヨシュア:ご存じでしょう、私と言う存在がどういうものか……


□マグタレナ:冗談じょうだんはやめてください!!


〇ヨシュア:冗談じょうだんじゃありませんよ……なら、軍令総長ぐんれいそうちょう、問います。

      貴女あなたにこれ以上の打開策だかいさくを思いつきますか?


□マグタレナ:そ、それは……


〇ヨシュア:我々がしているのは戦争です。

      そして目標は「戦争に勝利する」――そこにはキレイごと

      は存在しません。

      我らは今、まさに選択をせまられています。

      この国を、人々の未来を守るための限りなく少ない選択肢せんたくしを。


□マグタレナ:…………。


〇ヨシュア:軍令総長ぐんれいそうちょう、私を犠牲ぎせいにする事で数百人以上の公国こうこく軍人を

      ……いや、公国こうこくたみを守る事が出来ます。

      国をすえを決めるのは「最大多数の最大幸福」で――


□マグタレナ:やめろ!!

       わかっている……わかっています、貴方あなたの言っている事も、

       我々が置かれている状況じょうきょうも、そして多くの犠牲ぎせいともな

       古代魔法こだいまほう現状げんじょう打破だはする最適解さいてきかいであることも……

       でも、私には――


〇ヨシュア:貴女あなた軍令総長ぐんれいそうちょうだ!!


□マグタレナ:っつ!


〇ヨシュア:大公陛下たいこうへいか、および元帥府げんすいふ貴女あなたに軍の指揮権しきけん委任いにんした!

      貴女あなた選択せんたくで軍が、いや公国こうこくの未来が決まる!!

      我々は数多あまたの命を犠牲ぎせいにした上で立っています。

      どれだけむくいようとも、死の事実は変わらない。

      理不尽りふじんに対し自らの信念しんねんに従った結果、消え去った

      命を無駄にしてはいけない!

      その中でも貴女あなたは人々のいただきに立ってしまった。

      使命をたしなさい、その為には冷酷れいこくになりなさい。

      何かを変えるために、人間性をてなさい。

      貴女あなたの苦しみをもって、私はそれを冥土めいどへの土産みやげとする。

      ――だからこそ、御英断ごえいだんを。軍令総長ぐんれいそうちょう、お願いします。


□マグタレナ:……本当によろしいのですね?


〇ヨシュア:はい……気が遠くなりそうな長い人生にやっと終わりが

      見えてきました。

      それも、〝あのヒト〟に再会できる……私は果報者かほうものです。


□マグタレナ:そう、ですね……ルイーズきょう貴方あなたの――


〇ヨシュア:それ以上、言ってはいけません。

      心がらいでしまいそうなので。


□マグタレナ:ええっ、そうですね……ヨシュア・アースミレイト少将しょうしょう

       軍令総長ぐんれいそうちょうとして命令をげる!!


〇ヨシュア:はっ!


□マグタレナ:貴官きかんを【護国卿ロード・ガーディアン】ルイーズ・アースミレイトきょう護衛官ごえいかん

       へと任命する!

       公国こうこくのために|大義《たいぎ》を果たせ!!


〇ヨシュア:はっ! この御身おんみ、全ては女神めがみ公国こうこくの為に!!

      ……ふふっ。


□マグタレナ:どうしました?


〇ヨシュア:いえ、貴女あなた士官学校しかんがっこう時代から変わらないなって思いましてね。


□マグタレナ:えっ?


〇ヨシュア:軍令総長ぐんれいそうちょうになったのですから、いつまでも泣き虫のまま

      ではダメですよ……マグタレナ。


□マグタレナ:…………。


〇ヨシュア:それでは、失礼しました。


□マグタレナ:…………ずるいよ。

       最後に先生に戻るとかさ、ずるいよ。



【シーン05】


□マグタレナN:ロゼッタ大公国たいこうこく領、最後の要塞ようさい都市・アルザス=ロレーヌ。

        エリミネンス=グローリア帝国にとってロゼッタ侵攻しんこう作戦の

        かなめとなる場所。

        双方そうほうの国にとって、此処ここでの戦いが戦況せんきょうに大きな変化を

        もたらすことは明らかだった。

        そのため帝国軍も全戦力の60%をこの戦いに割いた。


△ギルベルト:来たか……


□マグタレナN:【護国卿ロード・ガーディアン】ギルベルト・フォン・ローゼンシュタインの

       目線の先には、帝国軍の多数の歩兵ほへい自律機械兵器オート・マター、そして魔導機体まどうアーマー

        それらが混成こんせいされた集団が彼の元へと徐々じょじょに近づいてくる。


△ギルベルト:聞け! 【女神めがみ】の神聖しんせいなる土地をけがしたおろか者たちよ!!

       我が名は【護国卿ロード・ガーディアン】のひとりたる、ギルベルト・フォン・

       ローゼンシュタインである! この国を守護する者な――


□マグタレナN:そう高らかに宣言せんげんするギルベルトに対して、帝国軍は

        対戦車ミサイルを発射した。

        数コンマ遅れて歩兵ほへい自律機械兵器オート・マターから多数の銃弾じゅうだん

        が放たれる。

        容赦ようしゃのない攻撃によりあたり一帯はけむりに包まれた。

        けむりによってギルベルトの姿すがたは見えなかったが、帝国軍だけ

        ではなく、遠く背後に待機している公国こうこく軍を含めて誰もが

        やられたと思った。

        しかし――


△ギルベルト:救いのない……実に救いのない、おろか者め!!


□マグタレナN:誰もが驚いた。

        そこに居たのは、いかりの形相ぎょうそうを浮かべた、

        無傷のギルベルトであった。


△ギルベルト:そんなモノで俺をたおせると思ったのか……良いだろう!

       貴様らの不敬は幾度いくど死を迎えようとも足りぬ!!

       出でよ、冥府めいふとびら!!


□マグタレナN:そういうと、彼の足元に広大こうだい魔法陣まほうじんが展開された。

        あらゆるモノを漆黒しっこくやみが出現するとの

        同時に大きな地震が起こる。

        すると、ギルベルトの背後はいご巨大きょだいとびらが現れる。

        とびらは無数の骸骨がいこつで形作られ、中央には1体の全裸ぜんら姿と

        なった女性の遺体があった。


△ギルベルト:これこそが「死」の具現化ぐげんかである。

       開かれるは無限なるやみの世界。

       れはこの世と断絶だんぜつし、なんじの命を腐蝕ふしょくする。

       さあ、なげきの姫よ! 貴様の原罪げんざい披露ひろうせよ!!

       なげきのなみだは、罪人ざいにんやみとなる!!

       ――古代魔法こだいまほう悲歎姫は痛哭し、原罪を抱擁すトレーネ・ペルセポネ


□マグタレナN:重い金属音が鳴り響きながら、とびらがゆっくりと開かれる。

        こごえるような冷たい空気が、あた一帯いったいただよう。

        とびらの先に見えるのはやみしかない。

        まさに「一寸先いっすんさきやみ

        ――見る者を引きもうとする黒。

        得体えたいのしれなさに帝国軍は恐怖を覚え、歩みを止める。


△ギルベルト:そうか、恐怖を覚えるか。

       だが、それは今の貴様らにとって贅沢ぜいたくだ。

       お前たちは、断末魔だんまつまの悲鳴をあげる事すら許さぬ。


□マグタレナN:ギルベルトが冷たくそう言い放つと、

        暗闇くらやみの先から女のさけび声と同時に

        無数の黒い触腕しょくわんが帝国軍におそかる。

        兵士たちは声をあげるひまもなく、一瞬にして

        やみへと引きまれた。

        またひとり、またひとりと消えていく。

        応戦する者もいるが、やみの前ではすべてが徒労とろうに終わる。


△ギルベルト:もうそこまで良い……十分ったであろう。

       後は、ルイーズの【開闢の天を紊す七星剣セブンス・シスターズ】の為に

       残しておけ。

       ――さあ、俺もかてになろうじゃないか。

       そして、起点きてんとなろう。

       七振ななふりの星が天を開き、大いなる栄光の輝きを

       もたらすだろう。



【シーン06】


☆ルイーズM:何故だろうか?

       この焦燥感しょうそうかんはいったい……理解不能、思考放棄ほうき

       しかし、空虚感くうきょかんさいなまれる。

       何かを忘れている……私は何を忘れた……?


〇ヨシュア:ルイーズ・アースミレイトきょう


☆ルイーズ:其方そなたは……?


〇ヨシュア:御拝謁ごはいえつさせて頂き、恐悦至極きょうえつしごくでございます。

      此度こたび御随行ごずいこうさせて頂きます。

      ヨシュア・ヴィルヘルム・アースミレイト少将しょうしょうと申します。


☆ルイーズ:なるほどな……


〇ヨシュア:えっ?


☆ルイーズ:〝長老〟が残した遺作いさく、か……其方そなた英霊えいれいとなるのか?


〇ヨシュア:はい……私自身は強大な魔力そのものとなっています。

      古代魔法こだいまほう発動に、私、ひとりでまかなえるかと――


☆ルイーズ:残念ざんねんだがわずかに足りない。


〇ヨシュア:なっ!?


☆ルイーズ:其方そなたの身であると十全とぜんに発動する事が出来ない。

      少なくとも、最低でも残り50人は必要だ。


〇ヨシュア:そ、そんな……


〇ヨシュアM:くっ……不老による年を重ねても自分は成長して

       いないのか……!!


☆ルイーズ:とは言ったが……その心配はなさそうだ。


〇ヨシュア:えっ……


△公国軍人(男):先生! 俺たちにも協力をさせてください。


〇ヨシュア:ルーク……それにフレデリック、イレナ!

      アレキサンダー、そしてエリザに……どうしてあなたたち

      が此処ここに!?


△公国軍人(男):水臭みずくさいですよ、俺たちは先生の教え子なんですから。

         声をかけてくださいよ。


〇ヨシュア:何を言っているんですか!!

      あなたたちは、今回の任務内容について理解して――


△公国軍人(男):だからこそですよ、先生。

         俺たちはここに集まったんです。


□公国軍人(女):それに私たちは怪我などにより戦力外通告を受けました。

         けれども使える魔力はある。

         国のためにくして戦う……これは軍人としてのほまれです。


〇ヨシュア:違う! 生きて戻る事こそが軍人のあるべき姿だ!!

      無様ぶざま姿すがたさらしたっていい!

      弱音よわねいてもいい!!

      帰りを待っている、大切な誰かの為に生き、そして

      未来を切り拓いていくのが、キミ達若い兵士が

      やるべきことだ!!

      我々の様な老兵ろうへいこそが、命をもって果たさねばならないんだ!!


△公国軍人(男):まあ、コイツはこんな立派な事を言いましたけどね。

         その……本音は、「先生を助けたいんです」、俺たち。


〇ヨシュア:何を言って……


□公国軍人(女):今日の為に、長い長い旅路を歩いてきたんですよ。

         それに、念願の再会です。

         魔力を与えて、「はい、オワリ」なんて……

         私だったら嫌です。


△公国軍人(男):先生の元で学んだ、俺たち100人の卒業生

         も加わることで時間の猶予ゆうよが少しとれるでしょ?

         野垂のだれ死ぬしかなかった俺たちに、生きる事を

         教えてくれた貴方あなたおんむくいる時なんです!!

         だから、お願いします! 参加の許可を!


□公国軍人(女):参加の許可を!


〇ヨシュア:…………。


☆ルイーズ:お前たち。


△/□公国軍人(男・女):はっ!


☆ルイーズ:ひとつ問おう……なんじは何にえても、公国こうこくに、

      神に推服すいふくちかうか?


□公国軍人(女):ちかいます!


☆ルイーズ:重ねて問う……先程の矜持きょうじは、おのが信念によるものか?


△公国軍人(男):無論です、我ら、総じて100名の公国軍人は

         自らの信念の元に此処ここに立っています。


☆ルイーズ:相承知あいしょうちした――決断せよ、将軍。


〇ヨシュア:ルイーズ様……。


☆ルイーズ:我は【護国卿ロード・ガーディアン】である。

      我が使命は、公国こうこく女神めがみの守護。

      全てはしゅたる神のために……だが、この者たちは違う。

      将軍、お前のために存在する――だからこそ、選択せよ。


〇ヨシュア:…………まったく、本当に誰に似てしまったんでしょうね。

      そういう無茶をすることについては、真似まねしなくてよかった

      でしょうに。


□公国軍人(女):ごめんなさい。

         でも、私たちは教官の教え子なんです。

         影響を受けてしまいますよ。


△公国軍人(男):最期まで付き合わせてくださいよ。

         終わりににしきかざることが出来るチャンスですから。


〇ヨシュア:全く、そんな屈託のない笑顔を浮かべて……

      あの頃を思い出しますね。

      ――りょうとした! 貴公きこうらの助力じょりょくを感謝する!!

      我を合わせて151人の公国軍人!

      【護国卿ロード・ガーディアン】ルイーズ・アースミレイトきょうと共に

      ロゼッタ大公国たいこうこくの平和のいしずえとなる事をちかいます!


☆ルイーズ:……承知した。

      それでは、を始める。


〇ヨシュア:総員! 隊列につけ!!

      ――ルイーズきょう

      最後にお尋ねをしたいのですが、よろしいでしょうか?


☆ルイーズ:とする、なんだ?


〇ヨシュア:私に覚えはありませんか?


☆ルイーズ:ない、貴公きこうとは今此処ここで初めて会った。


〇ヨシュア:そう、ですか……


☆ルイーズ:ただ……不思議なのだ。


〇ヨシュア:えっ?


☆ルイーズ:私をさいなんだ空虚感くうきょかんが、貴公きこうとの出会いによって消えたのだ。


〇ヨシュア:そう、ですか……うん……ありがとうございます!


△公国軍人(男):総員、配置につきました!


□公国軍人(女):いつでも準備万端じゅんびばんたんです!


〇ヨシュア:了解した! 総員、ルイーズきょうに魔力を送り届けよ!!


△/□公国軍人(男・女):了解!!



【シーン07】


☆ルイーズ:聖剣せいけんかたどりし、極北きょくほくたる七振ななふりの星の剣。

       第一の剣、『貪狼天枢ドゥーベ』は全てをみ。

      第二の剣、『巨門天璇メラク』はたけ獅子ししのようにみつき。


〇ヨシュアM:……ずっと待っていた、この時を。


☆ルイーズ:第三の剣、『禄存天禄フェクダ』はあらゆる存在への愛を昇華しょうかし。


〇ヨシュアM:どのくらいの時が流れたのだろう。

       別れと出会いをり返し、常に孤独こどくと戦ってきた。


☆ルイーズ:第四の剣、『文曲王権メグレズ』は清廉せいれんたる正義を下し。


〇ヨシュアM:そして……ヒトとしてのことわりみずかはずれた。

       それでも……


☆ルイーズ:第五の剣、『廉貞玉衡アリオト』は星を観測し。


〇ヨシュアM:それでも、私は……僕は、姉さんに会いたかったんだ……


☆ルイーズ:第六の剣、『武曲開陽ミザール』はを示す。

      そして――


〇ヨシュアN:世界がゆっくりと進むような感じがした。

       ひとり、またひとり、後ろにいる教え子たちが倒れる。

       魔法を使用することが出来る公国民にとっては、

       魔力の譲渡は自らの生命力を渡すことと同義である。

       魔力が無くなるのは「死ぬ」事と同義である。

       誰かが言った。

        ――「先に失礼します」

        ――「先生にも、公国にも栄光あれ」

        ――「さようなら、貴方に出会えて良かった」

        ――「先生、悪い、最後まで付き合えそうにないや」


〇ヨシュア:(※小声で)貴方あなたたちの想い……無駄にしない……!


☆ルイーズ:第七の剣を顕現けんげんする事で完成する。

      第七の剣、『破軍揺光アルカイド・ベナトナシュ』はそらひらく。


〇ヨシュア:我ら……ロゼッタ大公国たいこうこくに……栄光あれ――!!


☆ルイーズ:古代魔法、【開闢の天を紊す七星剣セブンス・シスターズ】。


□マグタレナN:召喚しょうかんされた七つの剣が空高くと飛んだ。

        大きなまばゆい光を放ち、そして空には巨大な魔法陣まほうじん

        が複数形成された。

        それは、さながら数多あまたの星が輝く夜空のように。

        その光景に、帝国軍のとある兵士がつぶやいた。

        ――「きれい」、だと。


△ギルベルト:そうか……ついに発動したか……

       さあ、星の聖剣せいけんよ……俺が起点となる……

       【護国卿ロード・ガーディアン】として最後の務めだ……

       あぁ、やっと終わるんだ……


□マグタレナN:魔法陣まほうじんからギルベルトに向かって、聖なる光の柱

        が形作かたちづくられた。

        光は一瞬にして都市と、その周囲を包み込んだ。

        要塞ようさい都市アルザス=ロレーヌ侵攻しんこう中の帝国と亡国機関ぼうこくきかん

        の連合軍を一瞬にして消滅しょうめつさせた。

        また後方に展開していた部隊も大きな損害そんがいこうむり、これ以上

        の戦いの継続けいぞくは不可能だと判断されたため大きく後退した。

        ロゼッタ大公国たいこうこく軍が勝利を収め、この戦いをきっかけに

        公国こうこく軍は大きく巻き返した。



【シーン08】


〇ヨシュアM:んっ……なつかしい歌が聴こえてくる……

       僕は、一体――


☆ルイーズ:――あら、目が覚めたのね。


〇ヨシュア:えっ……?


〇ヨシュアN:信じられない光景こうけいだった。

       かつての〝ヒトであった〟時の、姉さんの笑顔が目に映った。


〇ヨシュア:ルイーズ……ねえ、さん……?


☆ルイーズ:ええっ、そうよ……大きくなったわね、ヨシュア。

      本当に、立派りっぱになって……ごめんね、遅くなっちゃった。

      ――ただいま。


〇ヨシュアN:「ただいま」

       ――その言葉を聞いた瞬間、何かをき止とめていたモノが

       無くなったのか、子供のように泣いた。

       ――ヒトは生きている分だけで得られる幸福と不幸は

       ある程度のバランスがとられている。

       ――ただ、それは〝普通〟のヒトであれば、の話だ。

       ――長ければ長いほど不幸は蓄積し、幸福も蓄積はするが

         やがて終わりは来て、幸福は不幸へと変わる。

       ――生きる事が死ぬ事よりもつらくなってきた。

       ――何度、死のうかと思ったか。

       ――ただ、姉さんとの約束を守るために。

       ――幼い頃に交した

       かなうはずがない約束を果たすために

       ――それが、僕をここまで生かせてくれた。

       だからこそ、後悔こうかいはない。

       ヒトのことわりから外れるために禁忌きんきを触れ、化物ばけものになったとしても

       ……それでも、僕はこの言葉を言うためだけに生きてきた。


〇ヨシュア:――おかえり、姉さん。


(間)


△帝国武官:軍令総長ぐんれいそうちょう失礼しつれいします。


□マグタレナ:どうした?


△帝国武官:ルイーズ・アースミレイトきょう、ギルベルト・フォン・

      ローゼンシュタインきょうの両二名、【護国卿ロード・ガーディアン

      の役割を果たし、結晶化けっしょうかが確認されました。


□マグタレナ:そうか……それで、ヨシュア・アースミレイト少将しょうしょうはどうなった?


△帝国武官:それが……アースミレイト少将しょうしょうについて不可解な点が……


□マグタレナ:不可解な点? どういうことだ?


△帝国武官:ルイーズ・アースミレイトきょうと共に結晶化けっしょうかされているのです。

      【護国卿ロード・ガーディアン】でもないのにも関わらず。


□マグタレナ:……わかった、下がっていい。


△帝国武官:はっ! 失礼しました!


□マグタレナ:ふぅ……約束を果たせたのですね、先生。

       女神めがみの気まぐれなのか、最後は二人で一緒に居ること

       が出来た。

       ……どうか、彼らの悠久ゆうきゅうなる旅路たびじてにさちあれ。



(END)

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