No49『BUG HUNT』 破壊神1/4《シヴァ・クォーター》

※講評内で作品の内容に触れております。

 致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、

 一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。

 ご了承ください。

◇◇◇

https://kakuyomu.jp/works/16817330661925889695


本企画の最終投稿作品となります。

投稿日時は募集最終日の23:59。


まさにラスト・ランナーといったところでしょう。

「虫取りするガキをニコニコしながら眺めるお姉さんの謎」最終作、そのお手並みは如何に?


さて――本作はバトルタイプの虫ガキ作品としてはオーソドックスな構成となっています。

まず、語り部の虫ガキは同じくガキである相棒と共に、神社の林に虫取りに出かけます。

そこで出会ったのは、ニコニコと不気味な笑顔を浮かべる場違いなニコ姉。


ニコ姉の目的は虫ガキであり――ここで、交戦の火蓋が切って落とされる。


まさしく王道の虫ガキです――この場所が、廃棄された旧世代インターネット上の危険地帯であり、虫ガキの目的は自然発生した虫(バグ)を排除することにあり、さらに虫ガキの正式名称は「遊戯的対虫少年」の頭文字を取った呼称――「GAKI」であることを除けば。

(出た! 頭文字を取るやつ!)


そう、本作は近未来の電脳世界を舞台としたサイバー・パンクSF小説なのです。


一見、奇をてらった作品に思えますが、電脳系の作品としては細部のディテールはしっかりと組み上げられており、また作品の肝の部分とも言えるニコ姉との戦闘シーンは描写・ロジックともに完成度が高いものとなっています。


また「GAKI」は単なる当て字ではなく、本来なら肉体的な危険が排除された世界でもスリルを求めるハッカーたちの稚気を示した俗語であることが読み取れますし、そんな「GAKI」をニコ姉がニコニコと眺めていた「なぜ?」の謎が、そのまま勝負の決着に繋がる構成も素晴らしい。


異端にして王道の虫ガキ。

閉幕(カーテンフォール)を告げるのにふさわしい作品でした。

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