No46『約束の地で』 エース

※講評内で作品の内容に触れております。

 致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、

 一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。

 ご了承ください。

◇◇◇

https://kakuyomu.jp/works/16817330661924022878



『またいつか、蝉がなく頃に。』に続く、同一作者さんによる二作目の虫ガキです。

王道ミステリーだった一作目とは打って変わって、本作の舞台は近未来です。


今よりも温暖化がずっと進んだ未来の地球。

猛暑が常態化したことで人類は地上を捨て、ひんやりと冷たい地下に逃れて生きるようになった。

それから時は流れ――もはや地上で動くものはいない世界となっていた――。


だが、虫ガキは生きていた!

もちろん、ニコ姉も生きていた!


そういうわけで、虫ガキとニコ姉が伝説上の生き物となった時代の物語です。

伝説って? ああ、考えてみれば2023年の現在ですらも、真夏ともなれば35℃を超える猛暑日が続き、虫取り網を振り回す短パン半袖のオーソドックスな虫ガキは絶滅危惧種となりつつあります。


もちろん、虫ガキが絶滅危惧種となった以上は、ニコ姉もその存続が危ぶまれているわけですね。


本作における「お姉さんはなぜ虫ガキをニコニコと眺めていたのか?」の「謎」は、すでに地上から虫ガキが絶滅した近未来だからこそのホワイダニットとなっており、その新たな切り口には感心いたしました。


虫ガキとニコ姉は一心同体。

どちらが欠けても成立しないということです。


ともあれ、皆様も虫取りをするときは、暑さ対策を万全にしてくださいね。

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