No41『今日はきっと逢える日』 逆塔ボマー
※講評内で作品の内容に触れております。
致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、
一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。
ご了承ください。
◇◇◇
https://kakuyomu.jp/works/16817330661896604907
本作は『虫取りするガキをニコニコしながら眺めていたお姉さんたち』『ぬるい麦茶』に続く、同一作者さんによる三作目の企画参加作品となります。
虫ガキ企画初のメタ・虫ガキ小説である一作目、王道ホラータイプの虫ガキである二作目に対し、企画最終日に投稿された三作目である本作は――意外にも、心温まるハートウォーミングな虫ガキとなっています。
さて、では内容について語っていきましょう。
語り部である少年は、虫ガキでありながらも虫取りにはそこまで情熱を燃やしていない人物です。
ただし、虫取りをする理由はある。
なぜなら彼が虫取りをすると、ニコニコとしながら眺めるお姉さんと会うことができるから――そう、虫ガキはお姉さんと会うために虫取りをしているのです。
虫ガキは去年と一昨年にも同じようにお姉さんと出会っています。
今年は三回目。そして――これが最後の邂逅となります。
すでにお気づきでしょうが、この「三回目」「最後」というのは、本作が同一の作者さんの三作目であり、同時に最終作であることにも重ね合わされています。
本作の本懐はメタフィクションにはありませんが、それでも「作品の外郭と内部の構図を重ねる」という趣向は、読者の遊び心をくすぐりますね。
本作の終盤、お姉さんは少年の前から姿を消し、虫ガキは大人になるための最初の一歩を踏み出すことになります。
虫ガキがお姉さんと一緒にいられるのは、虫ガキが子供の間だけ。
そう考えると、なんだかファンタジー作品に出てくる妖精のようにも思えますが、ある意味では「理想化された夏の記憶」であるニコニコと笑うお姉さん――ニコ姉は、虫ガキが現実の世界へと帰っていく幼年期の終わりの象徴なのでしょう。
さて、ここで最後の解説をしますと、本作には「作品の外郭と内部の構図を重ねる」趣向がもう一つ仕掛けられています。
最後に明かされる、虫ガキがお姉さんと会うことが出来た理由。
それを確認した上で、本作が投稿された企画最終日の日付を確認してみてください。
最終作にふさわしい物語だと思います。お疲れ様でした。
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