No26『またいつか、蝉がなく頃に。』 エース
※講評内で作品の内容に触れております。
致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、
一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。
ご了承ください。
◇◇◇
https://kakuyomu.jp/works/16817330661531288998
自分のことはわからなくても、他人のことになると冷静になってしまう。
そのような経験は誰しもがあることでしょう。
本作には「蝉におしっこをかけてやりたい」という、一見して馬鹿馬鹿しいような復讐心を抱えた少年が登場します。
そんな少年――虫ガキと出会ったお姉さんは、ニコニコと笑いながらも、当然のようにその行いを諭すことになりますが……。
「言霊」という表現があるように、人が人にかける「言葉」には不思議な力が宿るものです。
それは発した本人の思惑を超え、「言葉」をかけた他者に――あるいは「言葉」を発した自分自身に――深い影を落とすことになります。
ある意味で「言葉」というのは、本質的に制御不能なものであると言えます。
さて、本作は王道のミステリーとなっています。
一見して関係なさそうな事柄には意外な繋がりがあり、お姉さんと虫ガキの出会いによって「事態」には確かな解決がもたらされることになります。
ただし。お姉さんと虫ガキでは、各々に見えている現実が異なります。
またいつか、二人が再会できることはあるのでしょうか?
残念ながら、その決して可能性は高くはない――かもしれません。
それでも、二人の出会いは決して不幸なものではなかったはず。
そう信じたいと思わせる作品でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます