No15『空蝉と金熊』 劉度

※講評内で作品の内容に触れております。

 致命的なネタバレにはならないように考慮していますが、

 一部・ミステリ的なギミックなどの種を割ることがあります。

 ご了承ください。

◇◇◇

https://kakuyomu.jp/works/16817330661421366854



虫ガキとお姉さん。

夜の森で呪術師二人――勝負でしょう。


ということで、ゴリッゴリのバトル作品です。

呪いが廻ってる感じです。副読本はジャンプ漫画。


「お姉さんがなぜ虫ガキをニコニコ眺めていたか」自体は早々に明かされます。

ニコ姉の開示、本気だね。


そこからが凄い。


いや、実は小説媒体のバトル作品は個人的には守備範囲外だったのですが――本作は情景の描写がとても上手く、本来は文章媒体が不得手としているであろうバトル展開の推移がスイスイと頭に入っていきました。


ただの一発ネタに終わらず、バトル部分だけで読ませるのは地力の賜物と言えるでしょう。


……その力を「なぜ?」 虫ガキ小説の企画に?


ともあれ、書かれた作品は真剣(ガチ)でした。


手数で攻める式神使いの虫ガキと、徒手空拳と五行の相性によって戦うお姉さん。

同じ呪術師であってもタイプの異なる術師同士の戦いは有利不利のロジックもしっかりしており、かつ、雰囲気作りのための言葉選びも半笑いではなく、しっかりと「燃え」させてきます。


作中人物に固有名が与えられていないのを、単に記号的な描写ではなく呪術に絡めて理由付けしているあたりも一貫性がありましたね。

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