利尿剤と、夜のオムツ事情

 商店街に居た。

 オムツを三枚、重さでテープが外れ、それを手で落ちないように必死で当てていた。


 

 すると周りの人達から一斉に手が伸び、無理やりオムツを剥がされた。

 どこからともなくオマルが用意され、無理やり座らされた私は――――




 いつもの天井。

 股間に違和感を感じ、目を覚ました。


「あ、お母さんおはよう」


「……おはよう、でも、オネショは確認しなくていいのよ」


 娘が、オムツに指を挟み込み、オネショの確認をしていた。


(夢……か)





 私は、オネショだけはしない。

 夜間、トイレに行きたくなれば普通は目を覚ます物。


 私も、このような薬を服用しているものの目覚めはするのである。

 強烈な尿意は痛みとなり、一気に目は覚める。


 ただ約束の関係で、目覚めたからといってトイレに入らず、オムツを使用しているだけである。


「それはオネショとどう違うのかわからないよ……」


 ……私にもわからない。

 だが、違う。認めたくないのだ。




 尿意のたびに目覚めるので、私は寝不足に陥りつつ合った。


 横になったままでは抵抗があり、起き上がり、そして立った状態で限界の時を迎え、そして替えていた。

 これを一時間に複数回やるのでは、とても昼に活動できないのだ。


 ……とはいえ、昼にも刺すような痛みを伴う尿意がある関係で、ボーッとするような事態にはならない。

 ただ、脱水症状が早まり、水をより飲み、そしてより無様な目にあっていただけである。



 今では目覚めはするものの、横になったまま漏らせるようになった。

 そして、替えること無くまた眠る。

 漏らし気持ち悪い環境でも、眠気は勝る……それほど寝不足になっていた。


 ただ一度溢れてしまい、いまではオネショシーツを使用している。

 流石に、四枚は腰の高さが変わりすぎ腰痛を発症しかねなかったのだ。



 それでも、毎回起きているのだ。

 起きて、その上でわざとトイレに行かず漏らしていた。


 だからオネショではない、そのはずである。



 ……ただ、トイレやオマルを使わされることで、バイト契約が破棄。

 そして全てが無駄になる、という内容の夢を頻繁に見るようになった。






「今日はお父さんを送るんでしょ」

「……えぇ、そうよ。制服に着替えてらっしゃい」


「お母さんも、制服着るの?」


「いえ……私は喪服よ」


「そう――わかった着替えてくる」



 そう言って、娘は掛けてある制服を取りに行った。



 ――できれば、黒い服を着せてあげたかった。


 だがそれは、初任給すらまだの現状では無理であった。





 娘が見えなくなったところで、私は膀胱を緩めた。

 腹が膨れる程の辛い尿意はすぐオムツにせき止められ、お尻の前へ後ろへ逃げ場を求めた。


「…………あ!? だめやだっ!」


 慌ててオムツへの放流を止めようとする。

 もちろん、制御など出来るわけもない。



「お母さん? どうしたの?

 漏れちゃった?」


「……っ

 …………うん、そうなんだけど、大丈夫よ、着替えてらっしゃい」



「……本当に、何かあったら言ってね?」

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