第8話 招待

やっと見つけたました…。あの夜から1週間。あちこち探し回ってやっと彼女のチームに辿り着くのがここまで大変だとは想像もしていなかった。

最も人数が少なく、知名度も低い〈チームコルネフォロス〉。何故あの力を手にしているにも関わらずこんなチームに?

わたくしはその扉をノックし…。インターフォンがある。あの〈アテネ〉の部室にすらついていないのに。それに、他の部室とは場所が少し離れているのは?

まさか本当はこのチームはカレセを牛耳っていて、他と違う扱いであって、知名度が低いのは牛耳っていることをバレない為!?

覚悟していかないと…。


「し、失礼します」


そこでは、何人かの生徒がトランプで遊んでいた。

やっぱりカレセを牛耳っているなんてことはなさそうで…。って!?


「あなたたち、練習の時間ではないのですか!?強くなりたいのであればそんなことをしている場合ではないはずです!!」


あ、言ってしまいました…。繍眼ぬいめ家としてエリート教育を受けてきた私とこの人たちでは生きてきた環境が違う…。そう、私の常識で話してはいけません…。


「ご、ごめんなさいね。その…、気になさらないでください」


その時、私は背後で強い気を感じ、思わず振り返った。


「キミ、もしかして入学試験で1位だった繍眼ヒメノだね?」

「ということは、貴女あなたが東テティスさんですね?」

「そうですが、私が今日来た目的はあの力に目覚めた人に会うことです」

「あの力?」

「とぼけないでください。あの時、貴女と一緒にいたあの黒い髪の…」

「それって我のことですか?」


声のする方には、確かに黒い髪の生徒はいたが、彼女ではない。


「いえ、貴女のことではありません」

「あー、話聞いてる感じだとあの時の印象で探してるみたいですね。髪型変えただけですよ」


あの時の彼女はポニーテールだったけど今は左右非対称のツインテールで、確かに受ける印象が違った。


「ごめんなさい!そうです、貴女を探していました」

「我の力って、これのことですね」


そう言って彼女は左手の甲の痣のようなものに青い炎を燃やし、両足と刃からも同じように炎を出して、頭上に不思議なマークを発生させた。


「この力で間違いありません。これは私たちの一族、繍眼ぬいめ家で数代に1人発現する力で、今まで一族の外の人間に発現した例はありませんでした」

「つまり、我が例外だということですか?」

「まあ、そうなりますね」

「つまり我は繍眼家の一族の子供だったのを養子にとられたという可能性もありますね」

「いえ、私の一族は親戚一同含めて誰1人養子に出すことなく育てられているのでそのようなことはありません」

「そうですか、それで、我を探してどうされるおつもりだったのですか?」

「一度、繍眼家の屋敷まで来てもらいます!大西、頼みます」

「はい、お嬢様」

「えっ、ちょっとおお!?」



こうして、俺は繍眼家のリムジンに乗せられて屋敷まで連行されている。

まだマシなのは、何故かテティス様も一緒に来ているということだ。


「どうしてテティス様も一緒に連れてきたんですか?」

「それは、同じく入学試験を首位で突破した者同士として話がしたかったからですよ。私でさえ、入学試験の結果過去の繍眼家でいなかったほどの、カレセでも歴代最高の点数を叩き出したというのに、お2人はその私に近い点数を叩き出したのですよ。姉たちを超えたお2人とはもちろん仲良くなりたいと思っていますわ」


なんやかんやであっという間に繍眼家の屋敷に着いた。正直、想像していたよりもだいぶビッグだった。


「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」


数人の召使いが俺たちを出迎えた。

正直なところ、アニメではもう少しいたような気もするが今日は忙しいのだろうか。

そう思って屋敷に入り、すぐに理由が分かった。


「あ、ウワサの<ケモノ>君」

「ようこそ、繍眼家ぬいめけの館へ」

「ご案内しましょうか、後輩クン」


繍眼アヌ、繍眼ハニカ、刺繍ペイトー、繍眼パエンナ、等など…。かつてゲームで見た繍眼家の姉妹たちがそこに集っていた。

全員美女美少女揃いで、俺は目のやり場に困った。

いや、今の俺は女だ。男じゃないから誰を見つめていようとキモイなんて思われないんだ。

けど、どの先輩(一応)も目が合うと微笑み返してきて、ちょっとはずかしくなる。


「あー、えっと、皆さん初めまして。星川パルスと申します。この度は血縁でもない我をお屋敷にご招待いただき誠にありがとうございます」

「そんな硬くならなくてもいいのよ。私たちと繋がるところがなきゃ、あの能力が発動するわけないでしょ?」


アヌは見たことないほど明るい顔でそう言った。

たしかこのキャラ、アニメは未登場だけどゲームではツンデレキャラじゃなかったか?

血縁にはそういう顔もするんだな。その顔を見れるのは部外者の中で俺だけの特権として噛みしめておこう。


「ところで、さっきの<ケモノ>って、どういうことなんですか?」

「実は、あの能力を最初に発動させたのは先祖の男で、男に発動したのはその人が最後だったらしくて。私たちはその人を例外として<ケモノ>って呼んでたんだけど、君も例外だからそう呼んだだけ。ダメだった?」

「いえ、そんなことはないです!!そう呼びたければお気遣いなく」


アヌが話す途中から見ていた壁の肖像画を見る。

あの時の男で間違いない。

とすれば、俺は本人から直々に継承を頼まれたようなものだ。テティス様を守り抜き、いずれ誰かとの子供ができたら、その子に継承せねば。

いや、誰かとじゃダメだ、テティス様と養子でも育てるか。


続く


みなさん、お久しぶりです。少しずつ前の話を改造していくので改造できたら読んでください。

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#♂→♀に性転換転生したので推しの従者になって直接(推し活)奉公します クラプト(Corrupt)/松浜神ヰ/ハ @monohoshiP

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