技法としてのプロット(中)

 起承転結、三幕構成、序破急……。

 創作をするなかで、以上の言葉のうち一つは知るに違いない。とりわけ、起承転結は有名だ。創作に関係なく、起承転結を問われて説明できる人は、多いのではないかと思う。


 いずれも、物語の組み立て方である。

 テンプレートと呼ばれるものではあるが、意識はせずとも、作品はテンプレートに沿っているのが普通だ。


 テンプレートこそが物語構成の本質であり、基本的には「物語」を成り立たせるために必要不可欠だからである。


 ところが、概念としては理解可能でも、いざ実践して小説を書こうとなると、多くの人がつまづいてしまう。


 例えば三幕構成。

 三幕構成は、物語を「発端・中盤・結末」に分けて考えたものだ。脚本家志望であれば、誰もが一度は耳にする(あるいは目にする)言葉に違いない。


 三幕構成理論を体系化させた人物として、シド・フィールドはあまりにも有名だ。だが

欠点もあった。


「幕と幕の間が、広すぎる」


「これでは具体的に何を書けばいいのか、分からなくなるのではないか」


 そう声を上げて、実際に「三幕構成」理論の応用・発展形をつくったのが、ブレイク・スナイダーである。


 そして、彼は物語構成テンプレート「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」を発明したのだ。


「ブレイクなんだって? 聞いたことがない。そんなに凄いなら、誰もが知っているはずだ」


 実際の知名度は、どれほどか分からない。だが『秒速5センチメートル』や『君の名は。』の新海誠監督も、ブレイク・スナイダーの本のメソッドに従っている。


 ”物語構成テンプレート”以外にも、物語の本質で「10のジャンル」に分類し、さらには物語に欠かせない「黄金のルール」を作ったのもブレイク・スナイダーだ。


 以上すべてをブレイク・スナイダーは、一冊の本にした。


『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』(フィルムアート社)


 である。

 この本の値段を見て、一部の人は「ちょっと高いなあ」と感じるかもしれない。

 だが、ある人にとっては「安い! こんなに安くていいの?」と思うほど優れた本である。


 また、ブレイク・スナイダーは成功した脚本家でもある。


 かの有名なスティーブン・スピルバーグ監督が、彼の脚本を200万$ドルで購入している。

 1$を100円として、超円高計算をしたとしても「2億円」になる。


 紛れもなく成功者だから、耳を傾けてみてはいかがだろうか。しかし、一応注意喚起もしておく。

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