第16話 日本語のすすめ(2)

 文章の書き方、という本をよく見かける。


 他のかたが、どうやって文章を書いているのか、そういう本で初めて知った。しかし僕は、感覚で文章を書いているから、あまり参考にならなかった。


 義務教育での国語は、文法、漢字、語句、敬語といったものを習う。それ以外にも、様々なことを学習するが、小説を書くうえではこんなものだろう。


 文章の本にせよ、義務教育の国語にせよ、(小説の)文章を書きたいならば、それに特化した日本語学習法をすべきだろう。まず、言語学習の土台を固めなければならない。


 ――例えば英語。


1.単語 2.熟語 3.文法


 日本では、この三つを同時進行で学習している。だが、ここで欲張ってはならない。英語を習得したいのであれば、なおさらである。


 文法は、英文解釈や長文以前の問題である。同様に、熟語を知っても、英単語を知らなくては話にならない。


 ひとつひとつの積み重ねが、鍵になる。


 単語、熟語、文法をひとつひとつ丁寧に習得する――難しいことではない。英語がまるで分からない人に、英語で書かれた小説を読ませるよりは、まだマシである。


 ――だが、日本語はどうだろうか。


 日本人としては、もう日本語の勉強はする必要がない、と思う人がいるかも知れない。僕に限っていえば、学校の文法問題は、最悪の点数しか取ったことがない。


 もし英語と同じく、根気強く(あるいは苦痛を覚えなくとも)、ひとつひとつ丁寧に学習して、習得できるのであれば、日本語能力が上がり「きれいな文章」が書けるようになるかもしれない。


 しかし僕は、学校文法でつまづいて、奈落の底に落ちた。


 ――いや待てよ! 僕はあくまでも「日本語」で文章を書くのだ。英語ではない。だから単語・熟語・文法を同時進行で進めても、小説や説明文といった


 筆力と同様に、読解力は誰もが持っているのだ。問題は、作者の書いた文章を、作者の意図した通りに読み取れるかどうかだ。


 作者が「こういう物語だよ」と書いたにも関わらず、まったく別の意味で読んでしまう――必ずしも、ダメなわけでは無い。ときには、創作者さえ驚くような、面白い物語になるかもしれない。


 しかし、それさえ難しい、手を出しにくいとされているものがある。


 ――純文学である。


 文豪と呼ばれる人々が書いた「純文学」とされるものは、「文章が難しくて、内容がよくわからない」と言われがちだ。


 この「読解力」と「筆力」がある程度なければ、小説が人に読まれるのは難しいだろう。


 ――では、どうやって身につけるのか。

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