前のエピソード――第3話　努力と運

　カクヨムでは、人気な作家もいれば、そうではない作家もいる。どちらも同じ場所で、同じシステムで作品を掲載しているというのに、格差は広がるばかりである。

「なぜ、自分は有名になれない？」

　この答えはズバリ運だ、と僕は言えない。たしかに、運がなければ作家になるのは難しい。かといって、全部を運のせいにしてしまうのもあんまりだ。

　たとえば題名、たとえばキャッチコピー、実店舗では本の表紙(ジャケ買い)――。

　いくら可能性が低いとはいえ、不可能とまでは言っていない。

　断言しよう。

　――可能性は伸ばすものだ。いうなれば経験値を貯めて、レベルアップするのと何ら変わりはない。

　何のためにキャッチコピーがあるか、何のために表紙があるか、考えれば分かる話だ。――必要だからである。

　ページの上の部分が、ガタガタしている本もある。それは、出版社がシャレた雰囲気を出すためにわざとしているのだ(天アンカットと呼ばれている)。

　まず人に興味を持ってもらわなければならない。なぜなら、大型書店で仮に小説を買おうと思ったとき、まずは興味がなければ選んでもらえない、というのが、オチだからである。書店、いやネット上ではもっと膨大な作品がある。本が一冊しかないのであれば、それを手に取るかもしれないが、けしてそんな光景は実店舗でも見ない。

　ならば、なおさら探索者たちを惹きつける本が必要となってくるのだ。