第5話 春の市場へ①

春の族に引き取られて1週間

「ずっと部屋にいるのも退屈だな」

俺の一言に鴉紋が手をパンと叩く。

「だったら、春の市場に行ってみようか?」


春の市場ー春の民が育てた各地の名産品。産業品。工芸品が並ぶ市場である。

(前世はコンビニ店長だし、異世界の市場は興味がある)

「行く」


◇◇◇


春の城の外側にある為、スキンヘッドの衛兵が護衛につく。中国の拳法家のような服装だ。

(まあ、鴉紋は春の王の息子だし、護衛くらいつくか)

俺は気にもとめなかったが、護衛がつくと聞いた時、どこか寂しそうな顔をしていたのが印象に残った。


◇◇◇


春の市場は老若男女で賑わう。

桜をモチーフにした宝石、服を作る為に必要な布。

そして、春キャベツ、菜の花、新じゃがいも。

タケノコ。春野菜が並ぶ。

(まるでスーパーの野菜コーナーだな)


「どう、シキ?賑やかでしょ」

ニコと微笑む鴉紋

「ああ」


「さくらんぼのジュースも売ってる。

買ってくるから一緒に飲もう」

鴉紋が言うと、護衛の一人がついていく。


「もし、少年、君は暦族かの」

腰の曲がった80歳くらいの老女である。

四季族の外見年齢考えると、もっと長生きなのだろう。

「だったら何だよ」

つっけんどんに言うと、老女の声が震えた。

「100年ぶりかのまたルビーのように美しい瞳をした者に会えたのは」

「?」

「そなたがこの地に現れたのは運命かもしれん。滅びゆく定めの四季族を救う為にあらわれた」


老女の言葉に俺は疑問を呈した。

「何言ってんだ?少なくとも春の族には、鴉紋という後継者がいるじゃねーか」


「春の王ー紫音に子はおらん。いや、昔はいたんじゃ...だが四季族の法によって殺された」

その瞬間、一般の銃弾が老女の額を貫通して、その場に倒れこむ。

俺は眼前で起きた


◇◇◇


さくらんぼのジュースを2つ、1つは護衛のタラが持つ。

「私の分も宜しいので?」

「もちろん、桜の木の下で3人で飲もうよ」

前を歩く鴉紋

「鴉紋様、暦族の少年に話されるのですか?過去を」

立ち止まる鴉紋

「いつか、時が来たらね」


2人で話してる最中

凄まじい氣の流れを感じて、鴉紋とタラは走る。

シキの前には1人の老女が血を流している。

王族の陰陽のマークをまけている衛兵が、老女を撃ったのだ。


シキの身体が黒いオーラに包まれる。

力の暴走ー!!

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