第13話 救出作戦(5)

闇夜に紛れる為に全員全身黒ずくめにしていた。


そして現場に着くとそれぞれが配置に付き、

準備をこなした。


幸いにも周囲は暗く、敵に気付かれることも

なかった。


マークとブルーノは塀の扉から30mほど離れた

場所に塹壕を作った。

土の質が柔らかいので多めに作り、

人が多くいるように見せかけろと指示された。


銃弾避けの鉄板を置きつつ、2人は一晩中

穴を掘り続けた。


労働は一番大変であったが、作戦上ここが

一番安全でもある。


他の4名はそれぞれ塀の見張りがいる辺りの下に

爆薬を設置した。


ラビは一人で裏手に回った。


塀の高さは5mくらい、

倉庫の高さは最高地点が6m、端へいくほど

低くなり、両端は4mほどであった。


塀の壁はザラリとした材質で硬い物で削れば

少し削れそうで、ラビの持っている特殊な

グローブであれば5mの高さも登ることが

できた。


ラビは塀の上に登ると、貯蔵庫の屋根を見渡した。

距離的に飛び移れるが、そうすると音がする。


行動班は準備ができ次第夜明けを待った。



決行の瞬間は、夜明けと決まっていた。

この辺には鴉が多く日の出と共に鳴くらしい。


やがてーーー


「「カアーッ、カアーッ」」


と遠くで鴉がけたたましく鳴いた。


前線の行動班の4人は爆弾に火を付ける。


少し後、ほぼ同時といえる時間差で

4つの爆弾がそれぞれ爆発した。


「うわっっ」


と思う間もなく壁が崩れ、塀の上の4人は

瓦礫と共に落下した。


夜は明けたばかりでまだ辺りは薄暗かった。


爆発音に驚き、倉庫の中から武器を構えた

5人の男達が飛び出してきた。


「何だ!?敵襲か!?」


倉庫から人が出てきたのを確認した

塀の横手に潜んでいた前線の内の1人が

火を灯して合図をおくると

塹壕に控えていた2人が闇雲に倉庫に

向かって銃を撃つ。


敵が前方(扉から出た真正面)にいると思った

立て籠もり犯達は、前方に向けて銃で応戦した。


瓦礫と共に落下した4人はとても動けない

状態のようで戦えない、

そしてその瓦礫を盾に応戦する5人の姿を

その場所をしっかり確認する前線の4人。


『殺したくないのであればまず足を撃て。

それでも撃ち返してくるようなら肩を狙う。』


『だがどうしても自分が死にたくないのなら

迷わず相手の頭を狙え。』


ラビは行動で離れる前に前線の者達にそう

言い残していた。


そして、


『必ず落ち着いて狙うように。』


と。


立て籠もり犯達が前方に集中し、彼らの場所を

確認した前線組は彼らにとっては真横から

銃で攻撃を開始した。


意表を突かれた立て籠もり犯達は完全に先制を

取られて、反撃する前にみな足を撃たれた。


その撃たれた中で2人が

「くそっ!」と悪態を付きながら反撃の様子を

見せると、レオルともう1人が冷静にその肩を

撃ち抜いた。


ソージの街出身の犯人達はすぐに抵抗をやめた。

瓦礫と共に落下した者達は重症のようで

まるで動けなかった。


こうして外にいる者達の制圧は完了した。

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