第34話

地上に降りてきた私は格納庫にあった、4機の機体の割り振りを考える。

「シェミ2番機はスイハちゃんとロジェちゃんが乗るとして、レックス1番機は…ツカサさんが使えこなせそう」

因みに私はフィオレンティーナが完成する前、一度だけ、レックスティーナ1番機で左腕が無い状態で出撃したが、それを抜いてもいまいち私の戦い方には合いません。

「レックス2番機は…ジョンさんがアタッカーだった気がする。アイレはデヴィッドさん今はアタッカーだけど、シールドを増設して、防御重視になってもらおう」

その時、私の端末が鳴ります。

「っと、イレアから?なんだろ。もしもし?」

[あ!ゆかみん?ゆかみんの部隊と私のエクスフェイトで模擬戦しない?]

「いいけど、こっちは最新機6台いるのよ?」

[へーきへーき!機動兵器の性能と数の差が、戦力の決定的差でないことを、教えてあげるっ!じゃ!待ってるね!]

何だか凄い自信があるようなので、量産機を除いた部隊で返り討ちにしますか。

数日後、それぞれ機体を割り当てた後、乗り手に合わせて武装をカスタムしていく。私はパイロットが提示した仕様を表示しているタブレットに目を通しておく。

「同じ機体でも、個性が出るのね」

シェミリールミューナ1番機はアヤに合わせて、通信機能の強化、メイン武装はスナイパーライフル、近距離にハンドガン、変形後も使用可能なレールガン、ロングとショートの高周波ブレイドを装備している。

そして、シェミリールミューナ2番機はスイハとロジェに合わせて遠距離と防御特化仕様なので、アヤ機との違いはバックパックはエールユニットを選択している所とアヤ機より、高火力で遠距離可能なビームランチャーを持っている所、接近戦用武器がハンドガンのみ、大型シールドが付いている所。それ以外の仕様は同じとなっている。

レックスティーナは1番機は変形機構を取り入れており、上半身を折り畳み、脚部を変形させて、ティラノサウルスのような形態となり、大型レールガンによる遠距離狙撃が可能となるらしい。勿論、変形状態でも接近戦は可能だが、攻撃方法が噛み付きとキックとタックルのみとなる。装甲はミサイルを数十発を受けても殆どダメージを受けないらしい。しかし、装甲が重いので、通常形態では機動力が遅いし、空を飛べないと言う欠点も。

「1番機は変更無しのままでいくのね。私には無理だったけど。ツカサさん、使いこなせるのかな…」

1番機に対して2番機は変形機構を排除、バックパックもエールユニットと普通な仕様となっている。武器もハンドガン内蔵の高周波ロングブレイドと高周波ダガー、レックスティーナ1番機以外のティーナシリーズ共通の武装、キャパシタ直結の腹部ビーム砲と、武装少なめ。なので、機動力はエールユニット装着機としては最速となっている。

「ワトソンさんは騎士道精神を重んじる人だから、武装が少なくてもいいのかな?まぁ、本人が良いというのならいいけど…」

アイレミスティーナはフィオレンティーナの2番機なので、武装は接近戦用のブレイドがフィオレンティーナがロングとショートに対し、ミドル一本になっている所と、ビームライフルが1丁、大型シールドが4枚付いている所だけが違う所。その他の武装はダガー、レールガン、腕部のビームガトリングはフィオレンティーナと共通。

この大型シールド、シェミリールミューナ2番機は実弾とビームを受ける前提に対して、アイレミスティーナはビームを受ける前提となっている。表面には特殊コーティングにより、ビームを受けると熱エネルギーとして吸収、熱エネルギーを電力に変換し、キャパシタに蓄積、腹部のビーム砲で反撃すると言う。欠点は吸収しすぎて、キャパシタの容量を、オーバーすると、熱エネルギーを変換出来ず、機体がオーバーヒートしてしまう所だが。尚、この大型シールドを装備しているため、高速戦闘ユニットは付けれず、エールユニットとなっている。

「デヴィッドならそんなヘマはしないと思うし、問題無いよね」

それぞれの仕様を理解した所で戦略を考えおく。

更に数日後、エクスフェイトとの模擬戦の日がきた。私は全員に大まかな指示を出しつつ、フィオレンティーナの説明書を読んでいます。

「えっと、確か説明書によるとシミュレーションモード起動方法は…」

エクスフェイトを含む、新型の機体にはアルテミューナにあったシミュレーションモードと言うのがあり、実際に機体に乗って戦うと言う、画面上では、ビームやミサイルが飛んでいくが、実際は撃っておらず、機体だけが動いているので、実戦に近く、体にかかる負荷も感じられると言う、事らしいのだが。

「ティーナシリーズに乗ってる皆に連絡しましょうか」

最初にアヤに連絡した所、アヤが瞬時に全員へ連絡し、イラストリアスの甲板にはティーナシリーズの6機の他に、アルテミューナとエストがいます。

「えーっと、リーザさんはともかく、何故サリナまで?」

[えぇ!ゆかちゃん私をのけ者にする気!?]

「そう言う訳じゃないけど…」

エスト、もといエストミューナなので、改修されているとはいえ、旧式なのでシミュレーションモードは無いはずだが…。

[大丈夫です、由華音さん。シャウラさんに頼んでエストにも大規模改修と共にシミュレーションモードを入れて貰いました]

「あ、そうなのね」

[あら?由華音、私がいると何か不都合が?]

「いえ!問題無いです!」

[エクスフェイトと戦える機会なんて、そうそうにないしね]

リーザってこんなに戦闘狂だったかなと、思っていると、エクスフェイトがやって来た。

[ゆかみーん!準備おっけー?]

「こっちは準備大丈夫よ」

[じゃ、始めよっかっ!見せてもらおうか、イラストリアス部隊の機動兵器の性能とやらをっ!]

エクスフェイトもその部隊の1機と言う、ツッコミはしないでおこう。そしてシミュレーションモード起動し、全員いることを確認する。

「全員、いるね?」

[ヴァンテージさん、大丈夫です]

エクスフェイトは高く飛び上がるので、レックス1番機以外の全員で追いかけます。

[先手必勝!高出力ビームっ!]

エクスフェイトのツインアイの辺りからビームが出たので難なく回避する。

[これでもくらえぇ!ブレストバーナーっ!]

エクスフェイトの胸部ハッチが開き、3連装ビームが放たれる。

[ヴァンテージ大佐はやらせん!]

デヴィッドのアイレミスティーナがシールドを展開し、ビームを受け止める。そして、反撃とばかりに腹部のビーム砲を放つ。

[援護するよ!サリナ!スイハ!]

[分かった!みなちゃん!]

[了解!]

だが、エクスフェイトはエストとシェミリールミューナ2番機の射撃を軽々と避ける。

[当たらなければどうという事はないっ!エクスブーメランっ!]

エクスフェイトはショートセイバーを二個連結させて、大袈裟な野球の投球フォームをして投げつける。ショートセイバーは高速回転しながら飛んで来るのでアイレミスティーナは難なく回避しますが…。

[由華音!後ろだ!]

「え?」

突撃、ボーセルからの通信が入ったので、私は直感で飛んできたショートセイバーを回避する。

「危なかった…ツカサさん、サンキュー」

[む、まさか、地上にいたツカもんに見切られるとは]

[小娘達!あたしを白兵戦しか取り柄がないと思ってたら大間違いだぜ!]

エクスフェイトはショートセイバーをキャッチし、変形して瞬く間に離れて行く。

「リーザさん!アヤ!追いかけて!デヴィッドはツカサさんと共に!サリナとワトソンさんは私の後に!」

[言われなくても!逃がさない!]

[了解です!]

アルテミューナとシェミリールミューナ1番機が変形し、追いかけて行く。

「お姉さま!私達も追いますよ!」

「えぇ!」

フィオレンティーナを変形させ、2機の後を追いかける。私の後ろをレックスティーナ2番機、エストが続く。

[はわはわ!どうしましょう!?スイハちゃん!みんな行っちゃいましたぁ!]

[落ち着いて、ロジェ!由華音さんの指令を思い出して!私達の任務は遠くからの援護と観測だから!安地を探して移動するよ!]

[う、うん、分かりましたぁ]

「ロジェの舌足らずな喋り方が可愛いね」

「それは同感ですが、今は演習専念してください」

「はぁーい」

遠くでは、2機が協力して、エクスフェイトを追い詰めています。

「流石姉妹ね、息ぴったり」

[エクスフェイトもこれで!]

アルテミューナとシェミリールミューナがエクスフェイトに向かって大量のミサイルを放つ。

「それで勝ったつもり?シュートアウト!」

エクスフェイトにミサイルがあたる瞬間、イレアの謎の掛け声と共に、エクスフェイトがバックパックと分離し、全てのミサイルがバックパックへ向かっていく。

[残念ながら今回はそう簡単にやられないのだよっ!シレア、レグルスの制御をお願い!]

[分かったわ、お姉ちゃん]

エクスフェイトのバックパック、レグルスは機体が無くなった事により、軽くなり、更に速度が増し、ミサイルを突き放すと、逆に3機は翻弄されるようになってしまった。

「速い!逃げ切れない」

[くっ!]

[あれが、対Gを無視して出来る機動力なのですね]

[機体を失ったレグルスは通常の3倍以上の機動力なのだー!]

一方、エクスフェイトはバックパックを失った事により、落下していく。

[ようやく隙を見せましたね]

レックスティーナ2番機がエクスフェイトに襲いかかる。

[重力下での自由落下は、言葉で言うほど、自由じゃないんだよっ!]

[何を?]

[飛ばっせー!鉄拳!ロケットパンチー!]

イレアが歌いながらエクスフェイトの両腕が発射し、それぞれレックスティーナ2番機の頭部と腹部に当たる。

[くっ!油断した!]

レックスティーナ2番機は体勢を立て直せず、落下していく。

[エクスフェイトに死角は無いのだー!]

[小娘達!あたしを忘れちゃ駄目だぜ!]

[ふわあ!ツカもん忘れてたー]

地上付近に降りていたアイレミスティーナをレックスティーナ1番機が踏み台にして跳躍する。エクスフェイトは胸部のビーム砲を撃とうとするが。

[サリナ!ミサイルでツカサさんの援護を!]

[え?大丈夫なの?]

[ツカサさんなら大丈夫!]

[分かった!みなちゃん!つかちゃん!援護するね!]

[おう!頼むぜ!]

エクスフェイトは射撃を中断し、エストの放つミサイルを回避するが、ミサイルに紛れて跳躍したレックスティーナ1番機がエクスフェイトの頭部を掴み、地面へ叩きつける。

[やったなー!ロケット、パーンチ!]

[そんなもんがきくかぁ!]

エクスフェイトは寝転がりながら、腕部を飛ばすと、レックスティーナ1番機は変形し、腕部を正面から受ける。しかし、レックスティーナ1番機は装甲が厚く、重量があるので腕部は弾かれた。

[はわわわわわわ!つかもんは化け物かっ!]

[おらぁ!]

レックスティーナ1番機がエクスフェイトの頭部に噛み付き、振り回す。

[わぁぁぁぁぁ!目が回るー!]

[地上であたしのレックスに敵うと思っているのかぁ!]

[お姉ちゃん!?今助ける!]

[あら?姉の所に行けるとでも?アヤ!スイハ!]

[了解!姉さん!]

[は、はい!]

上空ではシェミリールミューナ1番機、2番機が射撃で翻弄すると、アルテミューナが変形を解き、レグルスにしがみつく。

[リーザさん、無茶苦茶ですよ]

[あら?シレア、私の性格を忘れたの?]

[いえ…認めたくないものね、私達自身の、若さ故の過ちというものを…]

ラストフィート姉妹が降参した事により、演習終了した。現在、イラストリアスの食堂に集まっている。

「ゆかみんの部隊、強いねっ!」

「まぁ、数で押しきった感じもするけど…」

「ヴァンテージさんの的確な指示もあってこその勝利です。例え、一人一人が強くても連携が取れなければ、数で押しきられてしまったら負けます」

大半は個々の判断で動いていたような気が…特にリーザさん。

「あら?由華音、何か言いたそうね?」

「いえ!何でもないです!」

慌てて否定し、難を逃れます。リーザを怒らせたら面倒な事になりますから。

「それより、どうでしたか?新しい機体は」

「凄くいいよ、思い通りに動く」

「それはよかったです。シャウラ曹長が連日残業してまで、調整してた甲斐がありました」

「そ、そうなのね」

大半は半身瑞穂が動かしてるのである意味思い通りなのだが。しかし、連日残業してまでする事なのでしょうか。でも、そこまでして私の為に機体を仕上げてくれるとは、嬉しいですね。

「さて、そろそろケイさんを迎えに行きましょうか」

「了解です」

私と違ってケイは治りが遅く、リハビリもしていたのでようやく退院だ。つか、私の治癒力が異常なのだが。

イラストリアスを降りてケイのいる病院へ向かう。病院のエントランスで待っていると、ケイがやってきた。

「よう!皆久し振りだな!」

「ケイさん!またよろしくね!」

「ケイ、またよろしくね」

「イマ…じゃなくてリーザ!おう!よろしくな!」

「ケイさん!久し振りです!」

「雛子も元気してたか?」

「はい!」

確か、ケイのアルマスはミューンズブリッジ基地で修理、保管してたので、すぐにでも動かせる状態のはずだ。

「ケイさん、どうする?早速アルマスに乗って訓練する?」

「そうだな、そうさせてもらうぜ!」

「ケイさんの機体は基地にあるから」

「分かった!行ってくるぜ!」

ケイは確か、接近戦が得意なのでツカサが適任だ。ツカサに連絡すると、直ぐに返事が帰ってきました。そして、イラストリアスからレックスティーナが出てきて、私の前に着地する。

「ツカサさん、アルマス相手にそれ使うのね」

例え相手がアルマスでも手加減はしないと言う事だろうか。

携帯端末を起動し、レックスティーナ1番機に繋げる。

「あー、ツカサさーん、程々にねー」

[えー?全力じゃいかんのか?]

「相手は久し振りに乗る上にアルマスよー?」

[でも、パイロットはアルグの中でも白兵戦が得意な方なんだろ?機体の出力は制限するから、全力でやらせてくれ!]

少し悩んだが、止められないと思い、承諾する。

「…ツカサさんがそう言うなら、いいよ」

[了解だ!]

通話を切ると、ケイのマーキングが入ったアルマスがやって来た。

[お待たせ!久し振りだから操作方法忘れちまったぜ!相手はその機体か?由華音は戦わないんだな]

「私より適任な人がいいかなと思って」

私はどちらかと言うと中距離派なので、接近戦は少々苦手。以前、機体の状態が完璧では無いとはいえ、ツカサに惨敗してる。

[なるほど、了解だ!]

それぞれ演習用の剣を持つと、私が合図するまでも無く、始める。

「ちょ!私を踏まないでよ!」

踏まれぬよう、走ってイラストリアスへ逃げる。

「はぁ、はぁ、勝手に始めるんだから」

少し息を整えると、ブリッジへ向かう。ブリッジにはラストフィート姉妹は居なく、元ラツィオの仲良し3人組しかいなかった。

「お疲れ様です、由華音さん。これをどうぞ」

「ありがと、葵さん」

葵から受け取った珈琲を一口飲む。

「それで、二人は?」

「正面のモニターにドローンの映像を映します」

映し出された映像を見るとアルマスが善戦してるように見える。アルマスがレックスティーナ1番機に唯一優れてる所は機動力のみなので、その機動力を生かしているようだが、被弾を恐れないツカサの突進に少々戸惑ってる感じだ。

「レックスの性能を落としているとは言え、ケイさん、復帰したばかりでツカサさんと互角とは」

「即戦力は大歓迎ですよ」

葵はそう考える当たり、ワーカホリックじゃないかと気がする。外見は髪を束ねていると、瑞穂の世界にいた若くして亡くなったシンガーソングライターにそっくりなんだが。

「どうしましたか?由華音さん。私の顔に何かついていますか?」

「いえ…葵さん、歌が上手そうだなーって」

「実際、葵ちゃん歌うまいよ」

「ちょっと!ユイさん!それは秘密にしてって…」

「別に由華音さんならいいのでは?因みに葵さんの十八番はHazardsの心を開放して、ですよ。つか、Hazardsの曲ばっか歌ってますね」

「アスナまで!」

適当に誤魔化したのだが、合っているとは。

普段、真面目で落ち着いている葵が慌ててるのは新鮮だ。それにしても、曲名がさっき言ったアーティストの曲と似ている。

「そうだ!今度由華音さんを誘って4人でカラオケ行きません?」

「いいですね、行きましょう。由華音さんの歌声を聞きたいですし」

「私、上手か分からないけど、いいよ」

「由華音さん!?いいのですか!?」

葵が驚いているようだが、皆でカラオケは楽しそうだ。

ふと、画面を見るとツカサとケイの模擬戦は終了していた。結果は僅差でツカサが買ったようだ。

「終わったみたい、帰還指示を」

「了解、ボーセル少佐、ユイット少尉、イラストリアスに帰還してください」

指示を出している葵の姿はいつもの姿だ。さすが葵、オンとオフの切り替えが早い。

「由華音さん、アブレイズ大将から指示が来ました」

「ん?何かな?」

「えっと、18時、僕のコンサートやるから見に来て…と」

「…え?」

一瞬、何を言ってるのか分からなかった。

「場所は…ミューンズブリッジ基地、第一格納庫…」

「行かない場合、何かペナルティあるのかぁ…」

「えっと…1週間、僕の付き人にと…」

「…それじゃ、行こっか」

「それと、何故か歌詞が転送されてます。由華音さんの端末に転送しますね」

私は転送されてきたデータを確認する。アスナとユイも覗きこんできた。


'真紅の薔薇が美しく咲くように

天使のベルを鳴らすように

僕を虜にする罪な存在よ

出会うのは運命なんだ


さぁ、君を招待する

二人だけの舞踏会に

ただいるだけでいいんだ

僕に全てを任されてほしい


僕が君を見つめれば 君は瞳を閉じる

その仮面の下の花を見せてくれ

恐れる物なんて僕が取り払うよ

僕だけが君の運命を変えられるから'


「何?この歌詞、めっちゃださいし、痛いし」

1番しか読んでないが、それ以上読む気にならない

「アブレイズ大将が自ら作詞したようです。なので、あまり酷評するのは…」

「アスナさんはダサくないと思うの?」

「えっと!…それは…その…こ、個性的な歌詞だと…」

(無難な解答に逃げたな、これは)

「聞きたくないけど…はぁ、しょうがない、行くか」

「お気をつけて、由華音さん」

「いってらっしゃいませ、由華音さん」

「いってらっしゃーい!由華音さん」

「何言ってんの?貴方達も行くよ!少し位可愛い娘が増えても文句言わないでしょ。旅は道連れってね!」

「「「え?」」」

ブリッジ三人娘を無理やり引き連れてコンサート会場へ。道中でアヤと雛子に会ったので目的地言わずに連れていく。


「はぁ、疲れた…」

コンサートが終わり、イラストリアスの自室へ戻ってくる。

会場でもみくちゃにされた私達は疲労困憊常識でイラストリアスに帰投する。コンサート会場は女性客でいっぱいになっており、アブレイズの女性人気がよく分かった。

あのださい歌詞の歌は最後に歌ったしアンコールもされた。

メロディは悪くないんだが、歌詞のせいで好きにはなれない。しかし、一番盛り上がったのも事実だ。

「やっぱり、女性の人気高いのね」

シャワーあびる体力も無く、そのままベッドへ倒れこむ。


次の日、ブリッジでミーティングをしていると、再びアブレイズから指示がくる。

「また、コンサートに来いじゃないよね?」

「いえ、まともな任務です。大陸北部で発生している紛争地域にいる住民の保護と支援です。此方に危害を加える場合、反撃、撃墜の許可も出てます。尚、該当地域は内陸ですので、近くまではイラストリアスで行き、輸送機とウィンダムMK-IIで機体と支援物資を運びます」

「りょーかい。じゃ、皆を呼び戻して物資を積み込もうか」

「了解です」

「休暇も終わりか、さ、仕事するよ瑞穂」


"うん!"


瑞穂の元気な返事を聞くと私は搬入用の出入り口に向かうのだった。

そして、搬入用の出入口にたどり着いた私は携帯でフィオレンティーナのロックを外してもらい、瑞穂にお願いして、来てもらう。

「お、来たね、今、物資を持ってきて貰ってるから待っててね」


"うん!"


今は瑞穂が動かしているので、フィオレンティーナが女の子っぽい可愛い動作しているのがすごく可愛い。

数分程待機していると、続々と機動兵器がやってきます。それらを見ながら今回はかなりの大荷物になるのだと感じる。

そして、コンテナを積んだトラックの列がやってきた。

「さぁ、皆!積み込んでいって!」

フィオレンティーナを先頭に次々とコンテナをイラストリアスへ積んで行く。

10分程で全て積み込み終えると、資料に目を通し、全て積み込んだか確認する。

「忘れ物は無いね」

ブリッジに行くと既に発艦準備は終わっているようだ。

「あ、お姉さま、おかえりなさい

「おかえりなさい、ヴァンテージさん。準備は終わってます」

「ただいま、雛子、アヤ。さて、出発しよっか、ダンフリーズ艦長!」

「了解、イラストリアス、第三戦速、目的地、大陸北部!」

イラストリアスはゆっくりと動き出す。

(今日も世界を平和にする仕事をするよ、瑞穂)


"うん!"


ブリッジから水平線を見ながらそう、思うのだった。

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