「母さんと父さん」
今回の作品には少々残酷描写が含まれております。
今俺の目の前には、母さんと父さんがいる。何も普通のことなのだが、俺にとっては普通ではない。なんせ、俺の両親は半年前に亡くなっている。だからきっと、俺が見てる二人は、幻か夢であろう。もし夢なら、俺の目が覚めないうちに母さんと父さんとやりたかったことができる。
「母さん、父さん。」
「今日はどこかお出かけしましょうか。」
「いいじゃないか母さん。ユウジはどこに行きたい?」
俺は母さんと父さんが死ぬ前に行っておきたかった場所がある。それは…
「観覧車に乗りたい。」
俺がそう言うと、母さんはそうしましょう、と言って車へ行った。これが夢なら、車には乗れないんじゃないか?俺がそう思った瞬間、目の前が白く輝いた。眩しい…!!
目の前が明るくなくなったと思ったら俺は横たわっていた。家だった。ああ、やっぱりあれは夢か。じゃあ、母さんも父さんももういないか。そう思ったら、聞き覚えのある声がした。
「ユウジ!早く起きなさい!昨日から楽しみにしてた遊園地行くわよ!」
「母…さん…?」
なんでだ。夢から覚めたんじゃないのか。今度は幻か?やけにリアルだな。まあいい。母さんもああ言ってることだし、遊園地楽しむか。すると、またあたりが眩しくなった。
目を開けると俺は母さんと父さんと観覧車に乗っていた。もう何がどうなってんだ?これが全部夢なら、母さんが言ってた昨日ってなんだ?俺がそんなことを考えているのにもかかわらず、母さんと父さんは楽しそうに笑っている。
なんなんだよ。俺のことは完全無視かよ。それでも親かよ?観覧車がとうとうてっぺんまで上り詰めた。楽しみにしてたはずなのに全然楽しくない。母さんと父さんは表情を一切変えないし。
なんだかイラついてきて、俺はいつの間にか母さんの胸ぐらを掴んで、ドアの方へと押し込んでいた。
頭が状況整理を怠っていて、気づけば俺は母さんの胸ぐらを掴んだまま、空中にいた。やばい。このままじゃ死ぬ。なんで、、なんで母さんは笑ったまんまなんだよ…!!!
そんな温厚な顔をした母さんの右手からナイフが出てきた。まずい。俺は咄嗟に母さんを落としてしまった。そこで俺は気がついたんだ。
母さんは父さんに助けを求めて、腕を掴んでいた。父さんをも突き落としてしまった。
そうだ。母さんと父さんは死んだんじゃなくて、俺が殺してしまったんだ。その事実に夢のような幻のようなもので気がつくこととナッタ…。
※この話はフィクションです
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