「男の子みたいな私?」

 私はある女の子から告白をされた。


 ―――ずっと森田くんのことが好きでした。付き合ってください。


 いやいや、ちょっと待って?私女子だよ?しかも何、森田って。

 私女だけど?なにか勘違いしてるんじゃないの?


「あ、あの、私、女なんです。」


 女の子はとても驚いたような顔をしていた。


「え?!男の子じゃないんですか?!だって、森田有希もりたゆうきって名前…男の子っぽくて、見た目もかっこいいし…」


 多分これは褒められてるんだよね?だとしたらとてもありがたいことなのだけど。

 確かに私の見た目は、世間一般的に言う、『ボーイッシュ女子』だ。それも、別に女の子にモテたかったから、男の子になりたかったから、とかじゃない。ただ単純に、私の好きな格好がこの格好だっただけ。でも、この状況は、どう捉えても、『モテてる』という言葉に置き換えられるのは事実だけど。


「えっと、私から言えるのは、男の子じゃなくて女の子ってこと。」


「だとしても、私と付き合ってもらえないですか?」


 え?女子同士で付き合うの?私レズじゃないし、そもそも、女の子に恋愛感情持ったことないし…。好きでもない相手と付き合うなんて無理でしょ。


「ごめん、どちらにせよ付き合えない。私は女の子に恋愛感情は持たないんだ。だから、その…ごめんね。勘違いさせた上に告白断っちゃって。」


 その女の子は、首を横に振って、


「私こそ勝手に男の子だと判断してごめんなさい。あの…有希ちゃんのタイプってなんなの?」


「え?」


 いきなりすぎない?私のタイプか…。私、人にあんまり恋愛感情を持たない人間だからな…。タイプはないんだけど、唯一私が惚れてしまう人の特徴は…


「自分のために努力してる人、周りに流されない人、意見がちゃんと言える人とかかな。」


 女の子は、え〜?!と言った。


「私全然当てはまんないじゃん!最悪ぅ…有希ちゃんの眼中に私はないってことかぁ…。」


 なんかすごい申し訳ない気がする。でも私は悪くない気がする。タイプを聞かれて強いて言えばの特徴を言ってあげたのにがっかりされた。これって、私に原因あり?


「なんかごめんね。私は人に恋愛感情を持つことはないけど、これから努力してくれたら私が惚れるかもよ(棒)」


「それってさぁ…遠回しに、近づいてくんなって言ってない?だってさっき言ってたじゃん。努力してる人って。それってさ、有希ちゃんのため、つまり人のために努力してるから、有希ちゃんのタイプには全く入ってないよね!」


 くそ…見破られた。でも別に、近づいてくんなまでは思ってないけどね?そこまで酷い人間ではないよ。でもまあ、人にモテるっていうのは、悪い気はしないな。







※この話はフィクションです

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