第40話事故発生

コンサートそのものは、無事に終了した。

悟、洋子、ひかり、(愛は付添)は、全員プロ楽団員と面会を果たした。

2人デートか、4人デートか、不明だったけれど、結局仲良く4人で夕食を食べ、演奏を聞くだけだった。


ただ・・・その帰りに事故が発生した。

駅に急ぐ雑踏の中で、子供が押されて転んだ。

その結果、小さな将棋倒しが発生した。

(混乱の詳述は省きます)


悟は、サッと周囲を見回し、洋子、ひかりの安全を確認した。

しかし、「お隣の愛」が見当たらない。

悟は、いつもからは信じられないような大声を出した。

「愛!」「どこ!」


洋子が、すぐに見つけた。

約10メートル先、愛は、老婦人をかばって、倒れていた。


悟の動きが速かった。

すぐに、愛と老婦人を抱き起した。

ただ、老婦人は、「ありがとうございます」と立ち上がったけれど、愛は無理。

足首を抑えて、泣いている。


悟は、愛の足首をハンカチ(洋子とひかるのハンカチもつなげて)で、ガチガチに固定。

そのまま背負って、歩き出した。


「洋子、タクシー拾って」

「ひかるちゃんは、道を開けて」


歩道橋をおりて、タクシーはすぐにつかまった。

悟は、運転手に行先を告げた。

「明大前に上野先生の接骨に」

(そのまま、スマホで「明大前上野接骨」に連絡を取っている)


「愛、もう少し我慢して」


愛は、また泣く。

「痛いもん・・・我慢できない」


タクシーに同乗しながら、洋子とひかりは、何も言えない。

とにかく、「悟が愛にやさしい」「愛が子供のように悟に甘える」ので、安心のような、ほほえましいような、不思議な感情に包まれていた。

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