第36話愛は、上四方固めで、腹黒悟を無理やり制圧する

三田村涼子はともかくとして・・・私、愛は、悟が実に気に入らない。

だって、帰り道で一緒に歩いて、私より三条春香と話が弾んでいたから。

(モーツァルトの話で、割り込めなかった・・・それは音楽部同士ってのは、わかるけどさ・・・嫉妬でないけどさ)


家に帰って、自分の部屋に入っても、なかなか落ち着かない。

(悟も三条春香も気に入らない!)

だから、カーテンをバッと開けて、向かいの悟の部屋に向かって文句だ!(あれ…嫉妬女かな?でも止まらない)

「おい!アホバカ悟!」

(私は、口喧嘩でも、レスリングでも柔道でも、悟には勝つ)


・・・しかし、悟の反応がない・・・遅い・・・


ようやく向かいの部屋のカーテンが開いたと思ったら、アホバカ悟は、とぼけた顔だ。

「愛、どうしたの?」

(頭の上には、バスタオルだ)

(私の了解も得ずに、お風呂入ったのかな、この鈍感男め・・・)(了解はいらないかな、でも腹が立っていたから)


「何よ!春香とばかり話して!」

(あ・・・そのまま言っちゃった)


悟は、ニヤッと笑った。

(また腹黒だ・・・怖い感じもある、最近負け続けだし)

「ああ、愛がわからない話だよ、対位法とかの」


私は、ここで間違えた。

(今から思うと、実に恥ずかしい、真っ赤になる)

とにかく怒ってしまったの・・・

「体位?この!ドスケベ!」

(男女の営みのカタチと・・・字を間違えたの・・・)


悟は、頭を抱えた。(確かに、私の間違いも酷過ぎたし・・・)

「その・・・どこが、どういうふうに・・・?」

「メロディと伴奏があって、伴奏もメロディにして調和するテクニックが対位法」

「ちょっと来て、そのスケベを解説してみてよ」


そこまで言われて、私は気が付いた。(あ・・・字が違うって)

でも、「来い」言われて、「ごめんね」と言おうと思った。

(その部分は謝るかなと)


バタバタと階段を降りて、ママには呆れ顔をされ(聞かれていた?今さら・・・)悟の家に。

悟ママは大笑いで「はい!どうぞ」「あいつボコボコにしていいよ」を聞いて、また勝手知ったる階段をスタスタと。

(ドタバタではない、美脚だから)


ノックなんてしないよ、そんなことしたことない。

バンとドアを開けて、悟のベッドに寝転がる。

(これ、好きなんです、子供の頃から)


でも謝った。

「字を間違えただけだよ、ごめん」


悟は、納得しない。(PCで体位の画面を見ていた)

「だから、説明してみて」

(・・・マジに性格悪い・・・こいつ)

だから、首根っこをつかんで、ベッドに・・・

腹が立ったので、上四方固め(柔道です)攻撃。


体位?ではないけれど・・・悟は、あえなくタップ。

(胸圧迫で呼吸困難ですよ)

(でも女子高生の胸・・・最近厚みを増した)

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