第33話悟は生徒会長三田村涼子を、大勢の前で、フッてしまいました。

私、真田洋子は、生徒会長三田村涼子が好きではない。

あの高飛車な言い方は、生徒会以外の生徒を「格下」に見ていることの証しだから。

三田村涼子の父親も政治家(都議)で、学園長も、いつもペコペコと頭を下げているから、娘がますます、つけあがる。

三田村涼子は、高飛車とは別に、悪い噂がある。

「いろんな部活でのエース級に、次々に声をかける」というものだ。

その目的は、「男ゲット」あるいは「なびかせて自尊心をたかめる」だろう。

実際、何人かのエース級が、一旦は三田村涼子と付き合った。

(でも、期間は、全員短かった)

(三田村涼子は、付き合っても、すぐにフラれる)

(話が固過ぎて、男が二度目のデートに興味を示さない)

(三田村涼子は、自分から別れたと言い張るけれど)


さて、そんな三田村涼子が、ついに我が音楽部に顏を見せた。

目的は、言うまでもない。

「私の悟」を奪おうとしているのである。

(愛?春香?もう、敵ではないよ、悟はあげないから)


しかしなあ・・・三田村涼子が、マジにスケベな顏で、悟を見ているし、気に入らない。

(女の淫欲むき出しだ、マジにキモいし、ウザい)

でも・・・悟は計算高いから、他の部のエース級みたいには簡単に落ちないはずと、わかっていたけれど。

(特に、三田村涼子みたいな、見え見えのスケベ女には)


・・・練習が終わりました。

三田村涼子は、「もう、ウキウキと(淫欲むき出しで)」悟に迫りました。

「悟君、行こうか、お話しましょう」


ところが、やはり悟もさるもの、笑いながらあっさりと、断ったのです。


「ああ・・・そんなこと言いましたっけ」

「よく覚えていなくて・・・ごめんなさい、またの機会に」

「まだ、弦がイマイチ弱いから、練習に付き合います」

「本番も近いですし、満足する演奏にしたいので」

(三田村涼子は、数十人の音楽部の前で、公然とフラれてしまった)

(真っ赤な顏、涙目になっているし・・・ザマアって感じ)


悟は、そんな三田村涼子に振り返りません。

「はい!弦楽器だけ、二楽章のアタマから!」

(そのまま指揮棒を振っています)

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