第29話悟は、洋子(腹黒女王)のエジキになっちゃうの?

悟の演奏が終わった。

ものすごい拍手の中、私(愛)は、悟に近寄った。

(お隣さん保護のため、決して独占欲ではない)

(しいていえば、洋子から奪い返す・・・え?嫉妬?)

(なんでもいい、悟は私の保護監視対象だから)


雑踏の中、ブンと肩をぶつけて、悟を確保。

(洋子から奪い取った!)(洋子は一歩遅れた)


そのまま一緒に歩いて確認した。

「ねえ、洋子とデートするの?」

(音楽鑑賞とは言わせない、気に入らないから)


悟は、真面目顔だ。(可愛いけど、まだ気に入らない)

「うん、あのオケに尊敬する人がいてさ、できればレッスンにつきたい」

「洋子のお姉さんに紹介してもらったら、ラッキーだなと」

「受験にも、有利になるかなと思った」

(そう言うから、文句が言いづらい)

(でも、念を押すのが私の性格)


「洋子目当てではないと、それでいいんだね?」


悟は、ニヤッと笑った。(ヤバい!これ、腹黒顏だ)

「何だ、愛、嫉妬なの?面白い」

「俺が洋子を好きと?」


私は、気に入らないから、悟のお尻を叩いた。

(お尻フェチでないよ、別に・・・)

(悟の可愛いお尻は知っているけどさ)

「だって、夜に二人って、アヤシイもの」


悟は、ますます腹黒顏だ。

「そうか・・・夜の街を・・・洋子と二人か」

「うん、いいかもな」(おい!私の保護観察対象を忘れるな!)


そして、また腹黒口撃を仕掛けて来た。

「愛、クラシックコンサート苦手だろ?」

「いつも、ヨダレ流して、イビキかくしさ」

私は、焦った。(確かに、そう言われると・・・身に覚えが)


でも、粘り強いのも、私だ。

(スタミナでは、悟に勝つ)(胸圧迫でも勝った)

「一人の夜を私に過ごせと?」

(あ・・・順番違った・・・墓穴か?)

言い直した。

「もう一枚ゲットして・・・寝ないから」

(珈琲をたくさん飲んで寝ない!)


(でも、これが失敗だった)

悟は、洋子に相談をかけているし・・・

洋子(こいつも腹黒の女王)は、私にマウント顏で首を横に振っているし・・・

おい!悟は・・・腹黒女王のエジキになるの?

(嫌だよ、泣いちゃう)

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