第27話白鳥恭子は悟を食べたい 田園ピアノ版は魅了する。

私、白鳥恭子は、悟が面白い、と言うより、それを越えて「欲しく」なりました。

何しろ、悟は、マジにピアノが上手。

今弾いている「皇帝」もすごい、完璧。

(聞きやすいし、グッと来るものが、ある)

(ピアノに、歌心がある、そんな感じ)

(これは、プロのピアニストでも、なかなかいないレベル)

(もちろん、私は、とっくに負けを認めています)


おっと・・・悟が欲しくなった話でした。

「どう欲しいか?」

そんなの決まっています。

(私は音大時代から、胸自慢の肉食系女子)

(いろんな先生に食べられたり、若い子を食べたり、中身は想像に任せます)

だから、気に入ったからには、悟も、押し倒して、食べたい。

(教師なんて、どうでもいい)

(たまには、若い子を食べたいなあと)

(女が男を食べて、どこが悪いのかな、何が悪いのかな、そう考えています)


音楽室に詰めかけた生徒たちは多いです、200人を超えたかな。

ほとんどの先生方も聴きに来ました。

(・・・山崎顧問?何しに来たの?演歌しかしらないくせに)


まあ、それはともかく、「皇帝」を少し弾いて、悟は「ニヤッ」と笑いました。

そして洋子に目配せ。(おい!何するの?)


そうしたら、呆れました。

ベートーベンの田園交響曲を、ピアノで弾き始めたのですから。


「うわ・・・いい感じ・・・・」


少しゆったり目に・・・あの楽しいメロディを鳴らします。

聴きに来た生徒も先生方も、これには「うっとり」。

少し身体を揺らしたくなる、ノリがある、悟ならではの田園。


「いいなあ・・・ベートーベン」

「こんなにいい曲だったんだ」

「田園のピアノ版もいいね、マジに聞き飽きない」

(いろんな声が聞こえて来ます)


悟を押し倒して「食べたい」けれど、今は田園を聴いていたい。

そんな心の中のモヤモヤ(欲望?)を吹き飛ばすような、悟の田園なのですから。


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