第26話テニス部の山崎顧問のカタキ討ちは、なかなか、進まない。

俺はテニス部の山崎顧問だ。

自他共に認める完全体育会系人間だ。

(昭和スポ根世界に憧れる人間でもある)


そういう俺だから、今風、令和風とも言うのか、軽い風潮は大嫌いだ。

それと、何でも数値を測りたがる練習は採用しない。

とにかく、ランニング、ダッシュ、腕立て伏せ、腹筋で基礎体力を付けさせる。

長時間練習?そんなことは昭和では当たり前。

(昔から当たり前だ)

ロクに試合で勝てもしないのに、短時間練習なんて、甘っちょろいと思う。


困難辛苦を乗り越え、試合では粘りに粘って、相手のミスを誘い、最後は根性と体力で勝つ、それこそが高校生に、いや世界の選手に体格で劣る日本人選手に求められることだと確信している。

(血ヘドを吐いても練習せい!と先輩には、よく言われたものだ)


そんな俺の愛弟子が、クマゴロウだった。

とにかく、飯をたくさん食べて、俺の言う通りに、懸命に朝から晩まで練習していた。

しかし、とんでもない事が起こった。

朝の登校時らしいが、音楽部の若宮悟と、トラブル。

テニス勝負をして、負けてしまったのだ。(しかもアッサリと)

その上、クマゴロウは罰ゲームで校歌を歌ってグラウンド3週だ。

(情けねえ!そのままショボンと帰っちまった)


こうなると、俺も黙ってはいられねえ。

何としても、愛弟子のカタキ討ちをしなければならない。

(大の大人が?いや、そういうものじゃなくて)

(テニス部の名誉もあるんだ)


何とかして、どんな手を使ってでも、悟をテニスコートに引っ張り出して、コテンパンにしないと、気がおさまらない。


そしてコテンパンにしたら、どうするって?

クマゴロウを一度でも負かせたんだ。

テニス部に入れるに決まっている。

(そこで、鬼のように鍛え上げて、うっぷんを晴らす)


悟が音楽部?そんなの俺には関係ない。

そもそも、若い男が、音楽なんて、気に入らねえから。

若い男なら、身体を鍛えるべし、昔から、そう言うじゃねえか。


音楽部の白鳥顧問と対決?

それは面倒だ。

(あのかん高い声、・・・豊胸)

(俺は胸派だからなあ・・・)

(少々垂れていても、でかければいいし)



※そんなことで、山崎顧問のカタキ討ちは、なかなか、進まないのである。

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