第25話私(愛)は洋子と悟の二人デートが気に入りません!

私(愛)は、実に気に入りません。

(でも、クラスメートも見ているから、大声で文句は言えないし!)


そう、アホバカ悟が洋子の誘いに「ホイホイ」とOK出してしまったことですよ!


だいたい!同じ音楽部仲間だからといって!どうして差し向いでお昼食べるの?

(嫉妬・・・ではないです、悟は私と食べてよ!と思うだけです)


悔しいなあ・・・夜のデートだ・・・それも洋子と二人で・・・。

それは、悟も洋子も音大志望で、現役プロオケの方々に面識を持つ・・・受験にも有利になるし、演奏を聴いて役立つこともある、理解しています。


でもね、あそこまで公然と二人デートの約束は・・・実に気に入らないんです。

(秘密にされても、蹴飛ばしてマウント責めしたいくらいに怒りますが・・・)


(嫉妬でなくて・・・えーっと、間違いがあっても、困るよね、なので)

(その間違いって何?・・・言わせるんですか?)

(恥ずかしいから言わないよ)

(健康少女の私だって、花も恥じらう乙女ですから)

(そこで笑った人!笑う場面でなくて、私は怒っているんですから、真面目に聞いて!)


えーっと話が進まないなあ・・・

三条春香に言ったところで解決しないしなあ・・・(あいつもフラれた女だしね)


悟ママに泣きつく?うーん・・・連続技は使いたくないんです。(女がスタる)


私のママは、皮肉言うから言えないし。

(またフラれたの?そう言いながら悟の肩を持つし)

(愛は、テニスで真っ黒、健康だけが取り柄で、子供のまま)

(悟ちゃんは、あれで考えている、将来のことも一歩ずつ、着実に)と、この前言われた。


そんなことを思っていたら、ようやく洋子と悟が、お昼を食べ終えました。

悟は・・・あ・・・こっちを向かないんです。(おい!また無視?)


・・・洋子と仲良く廊下を出て歩いて行くし・・・


後をつけようかな。

(何のため?いや、夜の間違い防止のため)(臨時の風紀委員です)

でも、まるで嫉妬みたいで、できなかった。

(悔しいよ、またしても、アホバカ悟に苦しまされる)



少しして、音楽室の方から、ピアノの音が聞こえて来ました。

すぐにわかりました。

「ベートーベンの皇帝:ピアノ協奏曲」でした。

音楽の雰囲気は、間違いなく悟です。


廊下に出たら、たくさんの生徒が音楽室に向かって歩いて行きます。

(おそらく、聴きに行く、そんな雰囲気)


三条春香もいました。(密告・・・厳密にはクラスで周知ですので)

「ねえ、洋子に悟を取られた、二人で東都フィルの定演だって、しかも夜!」


三条春香のお嬢様顔が、真っ赤なお怒りの顔です。

「安全パイだと・・・、油断もスキもない!」

(どうやら、同じことを考えていた?)

(でも、皇帝がいい感じなので、音楽室に急ぎます)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る