第16話三条春香の野望
私、三条春香は、若宮悟が欲しい。
名門学園の名門オーケストラの指揮者の彼女、その地位が欲しいのだ。
(高校に入学した時から、悟の才能、実力、指導力に目を付けていた)
(だから、悟の指揮者就任は、大賛成、実際弾きやすいし、音楽も極上)
その目的のために、今まで邪魔(かなり邪魔!)だったのは、中山愛。
愛は、「お隣さんだことの、誕生日が同じだことの、幼馴染だことの」そんな、程度の低い理由をつけて、ずっと悟の登下校に「彼女」みたいに一緒だった。
でも・・・悟は音大希望で、愛は一般大学(テニスで有名な大学)なので、将来の方向性が全く違う。
部活の終了時間も、全く違った。
悟が実質仕切っている音楽部の練習は、午後5時半でピシャリと終わる。
悟は、その決まった時間にベストを尽くそうと言う。
本番で失敗しても、やり直しはできない。
だから、毎日緊張感を持って、ミスをしないように、全員、周囲の音をしっかり聞いて、演奏するようにと。
(音楽部全員が賛成しているので、だんだん、一糸乱れなくなった)
ところが・・・音楽部が終わっても、テニス部はダラダラと練習。
悟も、最低1時間は待たされ、可哀想だった。
(いかにお隣さんでも、彼女でもないのだから)
さて・・・今日は音楽部で、3人デートだ。
(もう一人の真田洋子は、ホルン)
(今日は、悟を中山愛から切り離す一歩で、実は共謀)
(洋子も悟を狙っているのは知っている)(でも・・・容姿で負ける気がしない)
(安全パイだから、まあ、いいや、と思った)
テニスコートを通り過ぎる時は、快感!(愛の悔しそうな顔)
(悟は、洋子と音楽話に夢中)
目的地の楽器店では、和気あいあい。
洋子はマウスピースを買って、私は弦を買った。
悟が楽譜を見ていたので、協力。(ヘンデルとバッハを買った)
「弾いて」と言ったら、少しだけヘンデルを弾いてくれた。
(上手かった、聞き惚れた)
その後は、近くのドーナツ店。
たわいもない話で、盛り上がった。(マジに青春だなあって、楽しかった)
ちょっと気にかかっていた、「愛へのお土産ドーナツ」は買わなかった。
悟いわく「愛は最近、丸々としている」が理由だった。
ただ、愛のお母さんへのドーナツは買っていた。(意味不明だった)
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