第11話悟vs白鳥恭子

私、白鳥恭子は、若宮悟を、思い切り叱った。

(もちろん、教育のため)(悟の保護のため)


「悟君!あなたね、音楽部のコンマスで部長、指揮者なの!その自覚あるの?」

(悟は、シュンと下を向いた)(言い方きついかな)

(でも、心配させ過ぎだよ、君は)


「テニスやって、腕を壊したら、ヴァイオリン弾けない、わかるよね!」

(たたみ込んだら、ますます、しょげた・・・可哀想になって来た)


悟は、ポツリと弁明。

「愛はお隣さんなんです」


「うん、だから?」(それだけの理由ではないでしょ?)


「守ってあげないとなあと」(うーん、それだと弱い)


「それがテニス勝負なの?どうして、その発想に?」(わけわからないし)


「少しくらいなら、勝てるかと」(???)


「は?まあ、勝ったけれどね」(事実を追認かな)


「熊田さん、力まかせなタイプで俊敏性に欠けて、勝つ自信もあって」

(ふむ・・・自信があったのか)


窓からグラウンドを見れば、熊田君が汗だくになって、校歌を歌いながら走っているし・・・(ざまあみろ感もある、文化部の体育部勝利で)


でも、勝ったとは言え、音楽部にとって、悟君にとっても、あれは、危険な行為としか思えない。


私は、グッと、悟君との距離を詰めた。

(少し、胸揺れたかも)

(最近、豊かさは増した、でも、張りが危ない、やはり26だ)

「二度としないって約束して」


悟君は、素直に頭を下げた。

「ごめんなさい。心配かけて」


(・・・なんか・・・可愛いかも)

(美少年苛めが趣味かなあ・・・だから指揮者にして、細々と言って、絡むの)

(それにしても、肌きれいだ・・・若い男の子は、いいな・・・)

(私がマウント取っているし)


「わかったなら、いいよ」(大人の女の余裕を見せてあげた)

悟君は、腰を浮かしかけた。(つまり、教室に帰るサイン)


思い出した。

「中山愛をかばったんだよね」


悟君

「はい、お隣さんなので」


突っ込みたくなった。

「彼女ではないんだよね」


悟君は「はい」


「よろしい」


(何故、よろしい?それは、悟君を、もっと弄びたくなった)

(彼女がいると、邪魔で仕方がないし)

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