配信17:校長のヤバイ秘密
校長の秘密……それは“盗撮写真”だった。
しかも、ひとつやふたつではない。
何百、何千枚もあった。
「こ、これってウチの生徒だよな」
女子生徒の生着替え、プール、体育館などなど様々な場所で撮影されている。俺は数え切れないほどの写真を眺めていく。
すると田村さんは「……うわ」っと引きまくり。牧野さんはボソッと「サイテー」と言葉を漏らし、椎名さんは「気持ち悪いです」とハッキリと言い放つ。
ですよねぇ……。
というか、俺が言われているみたいで何か嫌なんだが!
「校長だからな! 校長の悪行だからな!?」
「分かってるよ、猪狩くん」
不快感を露わにしながらも、田村さんは俺の肩に手を置く。本当かよっ。
「これは大問題だね。一刻も早く警察に通報しなきゃ」
「まて、牧野さん。あの倉坂がこのUSBメモリーを俺に託して、暴いて欲しいと言ったほどだ。普通に通報してもダメなんだ」
「そ、そうなのかな? 通報した方が早いんじゃ」
「多分、一度やっているんだろう。ほら、ここに詳しいメモデータがある」
「本当だ」
メモのデータによれば、校長と警察内部に癒着があるらしく、この不正がもみ消されているらしい。このままでは校長の悪事が世に出ることはなく、被害者が増え続ける。しかも、校長に加担している警察関係者がいる事実……。
なるほど、これはそう簡単に解決できる問題ではない――ということか。
「この件は俺に任せてくれ」
「で、でも……」
「心配するな田村さん。俺は今までこういう不正を世に知らしめてきた男だ。俺の力ならきっと何とかなる。明日にはトップニュースだぜ」
「分かった。でも、気をつけてね」
それにしても、校長が盗撮魔だったとはな。
証拠の写真データは、どれも美少女ばかり。……む、これは田村さんか?
「これ……」
「いやああああああああ!! それ、わたし!!」
叫んで大騒ぎする田村さんは、俺の目を両手で塞ぐ。い、今のはヤバかったな。田村さんの着替えシーンがバッチリと映っていた。
多分、女子更衣室だな。
「あたしの友達も映ってますよ!」
椎名さんも指摘をはじめた。
被害者はほぼ全校生徒に及ぶようだな。これは酷い。
「……うあぁぁぁん! わたし、学校に来られないよう……」
田村さんは本気で嫌がって泣いていた。……校長め、許せん!! 田村さんのような被害者が沢山いると思うと、俺は怒りが込み上げてきた。
盗撮なんてクソだ!!
このデータを今直ぐにでも消してやりたいが、証拠だからな。
「田村さん、しばらくは我慢してくれ」
「……でも」
「校長に勝つためだ。今は耐えてくれ」
「うん、絶対だよ。約束だからね……」
「信じろ。俺には二百万人の同胞がいるからな!」
「お願いね、猪狩くん」
今夜にでも配信を使って、校長のことを知らしめてやるさ。
この話はいったん保留となり、俺は配信部の件を進めることにした。
「そういえば、配信部向けの機材を購入した」
「ほんとー!!」
「本当だよ、牧野さん。早ければ三日以内には全てそろうはずだ」
「ありがと、猪狩くん! まさかこんなに頼りになるなんて! でも、そんなにお金を使わせちゃっていいのかな」
「構わないよ。俺は今までの配信でかなり儲けている。欲しいものも、あまりなくてね。将来はライブ配信会社を設立しようと思っていたくらいだ。なら、この配信部から初めてもいいんじゃないかなってさ」
この知名度とか拡散力を使えば、きっと人も集められるだろうし。それにこれからは配信の時代だ。すでに数多くの配信サイトが誕生しつつあるのだ。
波に乗っていかないとな。
「そこまで考えていてくれたんて、感激の極みだよ~。嬉しいな」
俺の手を握ってくる牧野さん。……はじめて女子に手を握られた。指細っ! こんな感謝されるとは思わなかった。いい気分だ。
「とにかく、今日のところは流行りのホラーゲームをプレイしてみよう」
「へえ? タイトルは?」
「
「コンビニが舞台なんだ。なんか凄いね」
昼休みを利用し、軽くゲームをプレイすることにした。まずは、田村さんだ。
「え、わたし!? 昨晩プレイしたし、もういいよぅ」
「ああ、そうだったか。じゃ、牧野さんか椎名さんで」
牧野さんが名乗り出た。
「私がやるよ~。初見だし」
「了解。じゃあ、準備するよ」
俺はゲームをインストールして、設定を完了させた。さっそくプレイだ。……こっそりと配信しながらな。
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