怪談を聞いたその後

やあ、こんにちは。話の会に参加しているということは怖い話が好きなんだね。


どんな話を聞いてきたのかな?聞いた人は何日に以内に怪異に会うとか。対処方法に同じ話を何人かに聞かせないといけないとか。そんな話を聞いたことはある?嫌だよね。不幸の手紙とかチェーンメールっていうの?ネズミ式に人の不安を広げようとするなんてひどいよね。今はフェイクニュースが流行かな?


僕もそんな話を聞いたんだ。おっと、嫌な顔しないでくれ。君に押しつけようというわけじゃないんだ。聞いたのはずいぶん前のことさ。三日以内に五人に同じを話を聞かせないと怪異が来る。そんな怪談話を友達から聞かされたんだ。僕は信じてなかったから、誰にも話さなかったよ。偉いだろう?


話を聞いて三日後にいつものようにぐうぐう布団で眠っていたんだけど、急に夜中に目が覚めてね。時計を見たら夜中の十二時さ。初めてだったよ。一度寝たら朝までぐっすりだからね。


起きたとき変な感覚があったんだ。空気が重く、息苦しさを感じたよ。時計の針の刻む音がやけに耳に響いたよ。


時計の音に混じってギーってなにか壁に金属でひっかいているような音が聞こえてきたんだ。ペタペタと廊下を裸足で歩いているような音も聞こえたよ。その音は僕の部屋に近づいてくるんだ。泥棒かと怖くて布団に潜り込んだよ。


足音は僕の部屋の前で止まり、部屋のドアが開く音がしたんだ。誰かが入ってきたんだね。親だったら僕に声をかけるか、ただ様子を見に来ただけですぐに出て行くはずだからね。知らない人だとわかったよ。


はあはあという息づかいが聞こえてきたよ。僕は怖くて布団の中で縮こまっていてね。そこであのとき聞いた怖い話を思い出したよ。三日以内に五人に同じ話をしないと怪異が来る話さ。今部屋にいるのはその怪異なんじゃないかと思ったね。でも何もしてこないんだ。部屋にいる気配はあるんだけどね。


しばらく布団に入っていると冷静になってきてね。好奇心がわいてきたんだよ。怪異はどんな姿だろうって。今思えば止めておけば良かったと思うよ。布団の隙間から覗こうと思ったんだ。ほんの少しだよ。指が通るぐらいの隙間を空けて目を近づけて覗いてみたんだ。目が合ったよ。ぎょろぎょろと血走った目とね。怪異もこちらを覗いていたんだ。


そこから記憶がなくてね。おそらく僕はあの怪異に殺されたんだ。この会に参加したのは僕の死因を誰かに知ってほしくてさ。話を聞いてくれてありがとう。満足して成仏できるよ。君も気をつけてね。

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